PDABOOKはPocket PCのキラーコンテンツになるか?

PDA専用のオンライン書店「PDABOOK.JP」が12月1日オープンする。講談社,集英社,文藝春秋などそうそうたる出版社の作品をラインアップ,気軽に魅力ある本を入手できるというのがそのコンセプトだ。

【国内記事】 2001年11月27日更新

 たいていの人は移動中のヒマつぶしに本や雑誌を読んでいる。PDAの利点はいつでもどこでも持ち歩けること。ここに目を付け,PDA専用のオンライン書店を12月1日オープンするのが「PDABOOK.JP」だ。

 「PDABOOK.JP」は,音楽配信を手がけるミュージック・シーオー・ジェーピーが運営。販売するのは,ボイジャーの電子本ビューワ「T-Time」のPDA版で閲覧可能な電子本だ。音楽配信で培った配信や電子決済のシステムを,今度はPDAで生かそうというわけだ。

 ラインアップされる出版社はそうそうたる顔ぶれで,12月1日のサービス開始時には講談社,集英社,祥伝社,シンコー・ミュージック,新潮社,ダイヤモンド社,中央公論新社,PHP研究所,双葉社,文藝春秋,リットーミュージックなど20社が参加する。

 サービス開始時点の取扱い書籍は100冊の見通しで,毎週新たに100冊の作品を提供していく計画。ミュージック・シーオー・ジェーピーの佐々木隆一代表取締役会長によると,「12月中に30社300冊の品揃えが目標」 だという。サイトはすでにプレオープンしており,サービスの概要をかいま見ることができる。

 サイト公開時に対象となるPDAは,Pocket PC (Pocket PC 2002搭載デバイスも含む) とWindows CE 3.0ベースのPDA「ラジェンダ」。提供される電子ブックは著作権保護の観点から,ボイジャーの「T-Time」に最適化された「.BOOK」形式のみとなる。

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Pocket PCで.BOOK形式の電子ブックを閲覧したところ。ビューワの「T-Time」はhpのjornada 568,東芝のGENIO e 550Xシリーズ,カシオ計算機のラジェンダに同梱されるほか,ボイジャーのサイトから無料でダウンロードが可能

 取り扱う書籍は既刊本が中心になるが,人気作品が多数登場する予定だ。「これまでWebサイトでダウンロードする書籍は著作権切れの古いものというイメージがあったが,うちで販売する書籍は違う。紙との同時販売が既に決まっているものもある。また,新たな試みとして,新刊の刊行にさきがけてダイジェスト版を先行発売したり,雑誌の特集の一部を公開するといった,紙媒体と連動した動きも考えている」 (同)。

 .BOOK形式への変換は,基本的には出版者側が行うことになっているが,同社が受託することも可能だという。

本屋で買うのと変らないぐらい気軽に電子本を

 PDABOOK.JPの購入方法には,PCで購入してダウンロードし,そこからPDAに入れる方法と,PDAでWebから直接購入し,ダウンロードする方法の2通りが用意される。

 手順はどちらの方法でも基本的にほぼ同じで,PDABOOK.JPで会員登録を行い,サイトにログイン。欲しい書籍を探して,買いたい本が決まったら,クレジットカード番号を入力してダウンロードする。カード番号は一度登録してしまえば,次回からはいちいち入力しなくても済むが,毎回カード番号を入力する方法も選択できる。

 「書籍の平均的なサイズはだいたい200Kバイト。欲しい本さえ決まれば,ほんの2〜3分で自分のPDAにデータを送り込むことができる」 (佐々木氏) 。ちなみに電子ブックの価格は,市販の書籍より1〜2割ぐらい安くなるという。「たいていのユーザーには,紙の本としてずっと持っていたいものと,読み終わったらそれっきりの本がある。後者の場合,電子ブックで割安な価格で気軽に読めばいいのでは」 (同)。

 品揃えに関しては,現状では8割が出版社側の意向によるもので,2割がPDABOOK.JPのこだわりを見せられる部分だという。PDABOOK.JP側では,ビジネス,カルチャー,音楽など,30代から40代の人が読みたいと思う書籍を選んで出版社にアプローチしているという。

 電子ブックの利点について佐々木氏は,「再版には至らないが需要がある本をリリースできるので,出版社は資産を眠らせておかずに済む。一方,ユーザーは再版を待たずに読みたい本を入手できるようになる」という。電子ブックにはまだまだ未知数の部分も多いが,「定着してくれば,電子ブックに向いているのがどんな本なのかといったことも分析できるだろう。紙と電子ブックとの出荷の割合のバランスをうまくとって返本率を減らすことだってできるのではないか」(同)。

 しかし,肝心のインフラであるPocket PCは,まだ一部のニッチなユーザーが利用しているという状況。一般に広く普及するのはこれからといったところだ。にも関わらず,この時期にPDAのコンテンツ市場に参入するのは,リスクが大きいように思える。

 この点について佐々木氏は,「CF型PHSデータ通信カードが普及し,ストレスなくデータをダウンロードできるようになった。それに,Pocket PC側も画像付きの電子ブックを読むのに十分なパワーとストレージを備えるようになった」と参入に踏み切った理由を説明,市場がまだ小さいのではという懸念を「Pocket PCの普及を待つのではなく,電子ブックがPocket PCを普及させるぐらいの気持ちで取り組んでいる」と,一笑した。

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