今度は悪質電話──知らずにかけた場合に請求は？

携帯の着信履歴に残っている番号に，友人かと思って電話をかけるとダイヤルQ2のような応答メッセージが……。そんな悪質電話が増加している。

【国内記事】

2001年11月27日更新

　「ふと携帯を見ると，見慣れぬ番号から着信履歴が。知り合いか？ と思ってその通知番号に電話をかけると，ダイヤルQ2のようなメッセージが流れる……」

　このような手口の“悪質電話”が増えているようだ。しかも電話をかけてしまうと，携帯の通話料とは別に10万円程度の請求がくるのだというが……。

携帯電話代に請求が上乗せされることはない？

　携帯電話の各キャリアにも，このところ「着信履歴に残っていた番号に電話をしてしまったのだが，請求がくるのかどうか」という問い合わせが来ているという。NTTドコモでは270件もの問い合わせを受けたと話している。

　ユーザーの不安は，“間違ってかけてしまっただけで，課金されるのか”“携帯電話の請求書に料金が上乗せされるのか”という部分にあるようだ。

　このような手口で思い出すのは，ダイヤルQ2。情報ダイヤルに電話をかけると，通話料とは別に情報料が発生し，NTTの電話代といっしょに請求がくるというNTTの課金代行サービスだ。今回の悪質電話がダイヤルQ2である可能性はあるのだろうか？

　NTT東日本によると，「携帯電話からダイヤルQ2にかかることはない。またダイヤルQ2はすべて0990から始まる番号で，03番号はあり得ない」。またNTTではダイヤルQ2以外にも，03番号を対象とした課金代行サービスを行っているが「ユーザーから登録があった場合のみ行う」（NTT東日本広報部）としており，知らぬうちに料金が発生することはなさそうだ。

　では携帯電話の通話料へ情報料が上乗せされることはあり得るのだろうか？

　J-フォンは「“課金されるのか？”と心配して問い合わせをもらっている」というが，「J-フォンからの請求書に（悪質電話の）料金が上乗せされることはない」ときっぱり。KDDIも「（上乗せすることは）ない。請求書は通話料のみ」だという。

　ドコモでは「0990」で始まる有料情報ダイヤルサービス「モバイルQ」を提供しているが，ダイヤルQ2とは別個の体系で，ユーザーが利用するには事前の申し込みが必要だという。

実際に請求が来ることはあるが……

　キャリアからの請求書に料金が上乗せされることはまずあり得ないと考えてよさそうだが，何をしても請求がないかというと，そうでもないようだ。KDDIは「実際に料金の請求があったという問い合わせも受けている」と語る。

　悪質電話の業者が，電話をかけたユーザーに料金を請求するには少なくともユーザーの住所，氏名が必要だろう。しかし悪質電話にかけてしまっても，伝わるのは携帯電話の電話番号だけ（非通知に設定してあれば番号も伝わらない）。携帯電話の番号から住所氏名を特定するのは簡単なことではない。固定電話と異なり，「名簿もそう出回ってはいないはずだ」（通信キャリア関係者）。

　実際に料金の請求をされたユーザーは，電話をかけた際に何らかの形で個人情報を伝えてしまった可能性が高い。

　「（悪質ダイヤルに電話してしまったユーザーが）そこでオペレータと話して登録を行ってしまったようだ」（KDDI）

　実際に料金の請求を受けたというユーザーが極めて少ないことを見ても，電話をかけてしまっただけで料金の請求がくることはまずないはず。間違っても案内に従って名前や住所を伝えないようにすることだ。

明確な対処法はないが

　今回の手口は，ユーザーの電話をワンコールだけ鳴らして切る，という俗に「ワン切り」などとも言われているもの。相手に着信履歴を残せることから，電話帳登録の際などに便利に使われることも多い。

　しかし今回のような使われ方は悪質だ。「心当たりのない電話番号から着信があってもかけ直さないように」。そんな対処法がささやかれることもあるが，仕事で携帯電話を使っている人なら着信を無視することは難しい。大事な顧客が別の電話からかけてきているかもしれないのだから。

　この“迷惑電話”騒動も，迷惑メールと同じく，簡単に解決できるものではなさそうだ。現在のところは不明な着信履歴にはできるだけ電話をしないようにし，かける場合でも「184」を先にダイヤルして相手に自分の電話番号が伝わらないようにするくらいしか，自衛の手段はないのかもしれない。

[斎藤健二，ITmedia]

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