通話だけではなく“安心”も──ココセコムEZ開始

セコムは29日，KDDIの新端末“GPSケータイ”に向けた新サービス「ココセコムEZ」を発表した。簡単なボタン操作で救急信号を送信でき，位置情報に基づいて救急車やセコムの隊員が駆けつける。携帯電話を利用して“安全”を提供するサービスだ。

【国内記事】

2001年11月29日更新

　セコムは11月29日，万一の時に携帯電話端末から簡単な操作で救急信号をセコムに送信できる新サービス「ココセコムEZ」を12月1日から開始すると発表した。

　KDDIが12月に発売する新端末“GPSケータイ”向けのもので，サービスの利用には，携帯電話とは別に，加入料金3500円と月々の基本料金300円が必要。各種サービスの利用ごとに別途，料金が発生する。

　ココセコムEZは，GPSケータイに搭載された精度の高い位置情報取得機能を活用し，契約者に“安全”を提供する。GPSケータイが用いるgpsOneという技術は，GPS衛星のほかに携帯電話の基地局からの電波も測位に利用するため，精度が高く，衛星が捕捉できない場所でも位置を特定できるのが特徴（4月4日の記事参照）。「最良の条件なら誤差は5〜10メートル」（セコム）だという。

現場急行など3つのサービスを提供

　位置情報を利用して，提供されるサービスは3つ。

　1つめは，対応携帯電話を持つ人の現在位置を，即座に高い精度で確認できるサービス。子供や高齢者に持たせておけば，家族などが携帯電話やPCのWebブラウザから，またセコムのオペレータを通して現在位置を確認できる。

　2つめは，携帯電話のボタンを決まった順で押すことで，セコムに救急信号を送信できるサービス。携帯電話の救急信号を受信すると，セコムは本人に確認の連絡を行い，状況に応じて消防に通報する。「位置情報も取得できるため，“救急車を呼んでください”と言うだけで，セコムから救急車を手配できる」（セコム広報）。

　3つめの現場急行は，家族などから要請があった場合，セコムの緊急対処員が現場に急行するサービス。24時間365日の体制で，本人を捜索してくれるという。救急信号が送信され，本人と連絡が取れなかった場合も，セコムの判断で現場に急行するという。

対応機種は日立製端末「C3001H」，来春以降は標準機能に

　ココセコムEZに対応する携帯電話は，KDDIが12月に発売を予定している日立製作所製の「C3001H」（11月12日の記事参照）。サービス開始時の対応機種が1つだけなのは「（救急信号送信などの）ソフトウェアの組み込みが間に合わなかった」（セコム）ため。gpsOneはKDDIの端末の標準的な機能であり，「来春以降の端末では，（ココセコムEZはKDDIの端末の）標準機能になる」（同）という。

対応端末となる日立製作所製の「C3001H」

　セコムは既に4月1日から専用端末を使った「ココセコム」サービスを開始している（7月19日の記事参照）。この専用端末もKDDIの携帯電話ネットワークを利用した端末だが，“通話ができない”のがココセコムEZとの大きな違いだ。

　またココセコム用端末では「ボタンを押すことで緊急情報を送るという機能はない」（セコム）ため，車両の盗難や子供やお年寄りの位置を確認するために，主に利用されている。

　11月27日，1億円相当の宝石が入ったバックが盗難にあうという事件が起こった。1時間ほどでバックは無事発見されたのだが，その解決に大きな役割を果たしたのがココセコムだ。バッグに忍ばせてあった端末が，常時セコムに位置を通報。警察との協力で犯人逮捕，スピード解決となった。

ココセコムの専用端末。通話はできないが，電話番号を持った立派な携帯電話だ

　2つのサービスでは料金も異なっている。ココセコム用の端末はレンタルで，月額500円（人の場合）/900円（車の場合）の料金に携帯電話のネットワークを使う料金も含まれている。

　一方，ココセコムEZの場合，月額300円と安い上に機能も向上しているが，位置情報の測位のために必要なデータ通信料金・ネットワーク使用料金は，携帯電話通信費として別途必要となる。

　ココセコムEZのサービスは，利用ごとに別途料金が発生する。例えば端末を持っている人の位置を知りたい場合，インターネット経由の場合1回100円（毎月2回まで無料），オペレータに電話する場合は1回300円だ。

　しかし月々わずか300円で，いざというときの安心が買えるのはありがたい。家族と連絡が取れなくなった場合の不安を，インターネットや携帯電話を通じて即座に払拭でき，いざ事故に遭ったときでも通知された位置情報に基づいて救急車が駆けつける。

　いまや子供やお年寄りも携帯を持つ時代だ。単なる通話だけではなく“安心”も提供してくれるココセコムEZは，GPSケータイとセコムが切り開いた携帯の新たな利用法ともいえるだろう。

[斎藤健二，ITmedia]

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