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つくりかた
 [第12回]

電波がいっぱいになる? 回線を確保せよ〜携帯電話の通信方式〜

携帯電話の利用者数は増加の一途。“電波がいっぱいになる”日も近い……?? 今回は通信方式の変遷とその未来についてのお話です。ちなみに皆さん,cdmaOneって何だか説明できますか? CDMAは? FDMAは? TDMAは?

【国内記事】 2001年7月25日更新

 こんにちわー。もばいるのつくりかた第12回です。

 突然ですが,私が今使っている携帯電話は,「cdmaOne」です。と,本体にも説明書にも書いてあります。これは携帯電話の方式の1つらしいのですが,では,ほかにはどんな方式があるのか,皆さんはご存じですか? 

 それらにはどんな違いがあるのでしょう? ……うーん,正直,私には分かりません。そもそもcdmaOneが何かということも,はっきりは知りません。ということで,今回は携帯電話の方式について,勉強してみたいと思います!

cdmaOneとは?

 それでは,分からないことがあったら,とにかく聞いてみよう! ということで,早速例の「ケータイ博士」の家を急襲してみます。博士-,はーかせー,おはようございます!(AM6:00)

 どんどんどんどん……ドアを叩いていると,のっそりと博士が顔を出しました。おはようございます! 突然ですがcdmaOneって何ですか?

「あー……ケータイの方式。日本だとauが使ってる……」

 それくらいは知っていますよー。もっと詳しく教えてください!

「CDMAの一種。世代的には2.5世代。FDMAとTDMAの次だね……」 

 ?? 分からない言葉が出てきましたね。

 じゃ,CDMAって何なんですか〜?ー「符号分割多元接続」……FDMAってのは?ー「周波数分割多元接続」……TDなんとかって〜?ー「時分割多元接続」それって違うものなんですか?ー「全部違う」

 じゃぁcdmaOneって? 「だから,CDMAの一種だって。規格の名称。ちなみにNTTドコモのはPDCっていってTDMAの一種。日本オリジナルで……ぐー。。。」

 博士,寝ちゃダメー! もう,お経みたいな言葉の羅列で全然意味が分かりませんよう。ちゃんと目を覚まして説明してくださーい。

ケータイの歴史と種類の簡単なおさらい

 ということで,濃くて苦いコーヒーを無理矢理飲んでもらって,博士に講義を始めてもらいました。

 「……んー,絵本さんって携帯電話を初めて持ったのっていつ? 何使ってたっけ?」

 えーと,今はauの「C406S」ですよ。実は,2カ月くらいにJ-フォンから変えたばかりです。J-フォンを最初に持ったのが……4年前かな? それが始めてのケータイでした。

 「そっか,ということはアナログの携帯電話って知らない世代なんだね。自分の持ってる携帯が“デジタル方式”と言われてるものだってことは,知ってるかな? 今はほとんどがそうなっちゃったね。もうすぐアナログ携帯のインフラ自体もなくなっちゃうのかもなー」

 と,博士は少し遠い目をしながら,携帯電話の歴史について話し始めました。

 「最初,携帯電話は“自動車電話”と呼ばれていた頃があったんだ。だいたい80年代の終わりごろから一般化してきて,92年ごろには今の携帯電話と同じようなものが出てきた。でも,それは“アナログ方式”と呼ばれるもので,残念ながら電池も1日くらいしかもたなかったし,通話できる範囲も狭かったんだ。その後携帯電話はどんどん普及してきて……。

 そこで問題になったのは“もうすぐ電波がいっぱいになる”ということだった。これは,方式がFDMAという方式だったから。いわゆる第1世代携帯電話(用語)ってやつ」

 うーん,「電波がいっぱいになる」というのが分からないです……。電波だらけになっちゃうってこと?

 「いやいや,違うんだ。携帯電話は電波を使って話すでしょ? その電話は特定の周波数帯を使用しているんだけど,アナログ方式の携帯電話が使用していたFDMAって方式は,もともとあまり広くない周波数帯を1人の通話が占有していたんだ。そんな理由で,アナログからデジタル方式になったんだ」

 ううむ……と悩む私に博士が説明してくれたのは,以下のことでした。ちょっとおさらいしますね。

FDMA,TDMA,CDMAの違い

Photo

1. FDMA方式(第1世代 応用例:アナログ携帯電話)
 周波数帯,という土管の中を「スロット」という線が何本も走っていて,それをつかんで通話する。話している間はつかみっぱなし。

2. TDMA方式(第2世代 応用例:NTTドコモ方式のデジタル携帯電話方式PDC)
 周波数帯の中の土管をつかんで通話するのはTDMAと同じ。ただしこれまで1人が(通話している1組が)占有していた「スロット」を,1秒の何百分の1,というタイミングで数人(数組)で共用できるようにした。PDCの場合だと,現在1つのスロットを1000分の40秒ごとに切り替えて6人で使っている。

3. CDMA方式(2.5〜第3世代)
 土管の中の「スロット」時間で分割するのではなくて,沢山の人の通話しているデータを圧縮・分解してID番号を付けた上で重ねて(混ぜて)飛ばしている。だから,電話機はほかの人のためのブロックと自分のためのブロックを判別して必要な分だけを選別して音声を再生する。これまでは沢山の人が話すには周波数帯を広く確保していくしかなかったが,CDMAでは高度なデジタル技術で,1つの電波幅でたくさんの人間が同時に通話できるようになった。

 ううう,分かったような,分からないような……。だって,cdmaOneって,CDMAと違うんですか? あと,PDCってなんなんですか?

 「そうだね,それはたぶん言葉の種類が混じっているからだね。あのね,携帯電話の通信方式を指すのには“技術的な世代を表す名前”と,“各通信会社が採用した最終的な技術規格の名前”があるんだ。

 さっき説明したFDMA,TDMA,CDMAは,データをどうやって通信するかという基本的な技術についての名前。だから,どんな携帯電話の技術もこの3種類のどれかにあてはまるんだ。たとえばcdmaOneとかPDCっていうのは,さっきの3方式をそれぞれ応用して作られた具体的な技術名称の名前。例でいうと,cdmaOneはその名前の通り一番新しい世代の技術CDMA方式を応用した方式の1つで,PDCはTDMA方式の1つ」

 なるほどなるほど。そんなふうに言葉を整理すれば分かりますね。

 「そうそう,絵本さんはIMT-2000とかGSMとか,W-CDMAとか……ほかにもいろいろ言葉を知ってるはずだけれども,これも整理しようか?」

 ぜひぜひ!お願いします!

 ということで,来週はさらにもっと新しい技術についてのお話です。最近雑誌などでよく見かける言葉などについても取り上げてみたいと思います。う〜ん,トレンディ。

 それでは,また来週!

[絵本 智,ITmedia]

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