日本初! 400万画素の衝撃−FOMA D901iS
進化したスライドで“ここ”が変わった──開発陣に聞く「D901iS」
2代目となるスライド携帯「D901iS」をリリースした三菱電機。初代の「D901i」から、どこが進化したのか、どこが使いやすくなったのかを開発陣に聞いた。
端末名 D901iS D901i
サイズ 106×50×24ミリ 106×50×26ミリ
重さ 128グラム 136グラム>

 2代目スライド携帯として登場した「D901iS」。FeliCa機能やレンズカバー、ワンプッシュオープンボタンなど、新たな機能を取り入れながらも、前モデルより薄型・軽量化が図られている。


Photo 左が2代目スライドFOMAの「D901iS」。右が初代スライドFOMA「D901i」

 D901iSを手掛けたのは、三菱ムーバの集大成ともいえる「D506i」を担当した企画・開発陣。「D506iで好評だった機能や使い勝手を、可能な限りスライド携帯に取り入れよう」というコンセプトで開発が始まったという。

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企画・開発を担当した井上将志氏
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デザインを手掛けた山名新二氏

 進化したスライドは、どこが使いやすくなったのか。デザインはどう変わったのか。三菱電機モバイルターミナル製作所 第一プロジェクトグループの井上将志氏と、デザインを手掛けた三菱電機デザイン研究所の山名新二氏に聞いた。

ムーバで培った使いやすさをFOMAに──カメラ

 400万画素という記録画素数ばかりに注目が集まるカメラ機能だが、ユーザーインタフェース面の改善も見逃せないポイントだ。

 1つはレンズカバー。レンズを保護するだけでなく、カバーの開閉とカメラの起動/終了が連動する機能を持たせた。カバーを開くと即座にカメラが起動するので、撮りたいシーンを逃さず写真を撮ることができる。

Photo カメラの起動/終了と連動したレンズカバー

 2つ目は、24種の撮影モード。「スポット測光」や「逆光補正」「感度アップ」といった実用的なものから、「美白」「日焼け」「版画」などの遊び機能、「トワイライト」「スポーツ」「サーフ&スノー」といった撮影環境に合わせた最適化まで、幅広いモードを用意した。

「24種の撮影モードは、ムーバで好評だった機能で、開発陣の間でも思い入れがあるもの。D506iのいいところを極力取り入れようと思ったときに、はずせない機能」(井上氏)

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日焼けやネガポジなど、お遊びモードも

 3つ目は、どんなサイズで撮っても簡単にメール送信できる「UIの工夫」だ。「記録画素数400万画素というのは、A4サイズなど大きくプリントするときに活きてくる。でも携帯である以上、どんなに大きなサイズで撮ったとしても、簡単にメールで送れるようにしなければ楽しくない」

 D901iSでは、どんなサイズで撮影した写真でも、メールボタンを押せば送信可能なサイズに変換できるインタフェースを用意した。

「例えば1728×2304ピクセルで撮った写真でメールボタンを押すと、『壁紙サイズの写真に変換しますか』と聞いてくる。これを選べばQVGAサイズに自動変換した画像をメールに添付する。『NO』を選ぶと撮影サイズはそのままに、添付可能な500Kバイト以内の容量に写真を再圧縮する」

 ユーザーが撮影サイズを気にせず、写真を楽しめるようにという配慮だ。

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どんなサイズで撮った写真でもメールボタンを押すだけで、待ち受けサイズか、原寸で500Kバイト以内の容量に収めた写真のいずれかに変換できる。原寸での変換は、689.2Kバイトの画像が308.5Kバイトに圧縮された

“スライドならでは”の使いやすさを追求──FeliCa

 三菱FOMAとしては初搭載となるFeliCaにも、スライド携帯ならではの工夫が盛り込まれた。「液晶が表に出ているスライドボディはFeliCaと相性がいい。残高などの確認も、端末をいちいち開くことなく行える」(井上氏)

 D901iSには決定キーの長押しで、あらかじめ割り当てておいたアプリを一発起動できる機能を備えているが、デフォルトでは電子マネーの「Edy」アプリが起動するよう設定した。「メニューをたどることなく、残高確認や各種設定の変更ができる」

Photo 決定キーの長押しで、Edyアプリが起動

 面白いのは、端末をかざしてFeliCaが通信可能な圏内に入ると、着信LEDが青く光るところ。「信号の電界強度を受信して、圏内だというのをアピールする。『携帯のアンテナが3本立っている』のと同じ感覚をFeliCaにも取り入れた」

イメージしたのは付箋紙──バックライトオフでも見える情報表示行

 スライドならではの使い勝手を向上されるために新たに搭載されたのが、バックライトオフでも240×25ピクセルの表示行が確認できるメイン液晶。バックライトオフ時でも日時やメールの有無、電波状況など必要最低限の機能を確認できるようにしたものだ。

 バックライト点灯時には、ここにウィークリーカレンダー、メモ帳、スケジュールの3種から好きな機能を選んで表示させられる。

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ウィークリーカレンダー、メモ帳、スケジュールを表示させたところ。メモ帳とスケジュールは直近のモノが表示される

“この機能をどう使うか”を考えたときにイメージしたのは付箋紙だったと井上氏。「消えたときだけ生きる機能ではもったいない。点灯時にはPCに付箋を貼るように、ちょっとした情報を表示できるようにした」

もっとスマートにスライド──ワンプッシュオープンボタン

「ワンプッシュで開くようにしてほしい」──。ワンプッシュオープンボタンの搭載は、D901iユーザーから数多く寄せられたリクエストに答えたものだと井上氏。D901iでも途中までスライドさせると、あとはバネの力で開く「スライドアシスト」機構を備えていたが、それをさらに進化させた。

 難しかったのは力の調整だ。「あまり勢いよく開きすぎると使い勝手が良くないし、閉じる場合の力加減も考慮する必要がある。閉じる力を弱くしようとすると、今度は上まで開ききらない」

 さらにボタンを押さなくても、ある程度の力がかかると開くようにしなければ、故障の原因になる。「無理に力を加えても、“壊れないように”する必要があるため、ある程度以上の力がかかると開くように設計している」。こうしたバランスをうまく調整するために、何度も微調整を繰り返して完成したのが、D901iSのスライドなのだ。

Photo ワンプッシュオープンボタンは誤動作しないように、ボタンの周りに壁を立てている。「カバンの中に放り込んでも、鋭角的なものが当たらなければ開かないようにしている」

キーワードは知的な個性──デザイン

「スライド携帯3機種目のテーマは“スライドを極める”。それをデザインで表現した」。D901iSのデザインを担当した山名氏は、こう話す。

「スライド携帯は、“すぐ操作に移れる、すぐ画面にアクセスできる”というスマートな操作性がポイント。だから、デザインも“スマートに、かっこよく”という点を意識した」

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ボディカラーはクォーツブラックとガーネットピンク、ラピスシルバー。「ブラックは、深いツヤのある質感とキラキラ光る粒子が浮き出てくるような黒。ピンクは質感や手触りの良さをイメージさせるマットな和風のテイスト。シルバーは見る角度の違いでアルミの粒子が浮き出てくるようなカラーリング」

 デザインの要素は大きく3つ。1つは、“モノブロックのような、かたまり感”の表現だ。「よりスマートに使ってもらうために、ボディを徹底的にそぎ落とし、上と下のボディも一体感がある形に作り込んだ。前から見ても横から見ても、一つのかたまりのように見える」

Photo スライド携帯でネックといわれるのが、ダイヤルキー面と液晶下部の段差。「この部分の連続性を高めて、なめらかに操作できるよう、可能な限り先端部を薄くした。実装面とデザイン面、操作性をうまくバランスさせた角度になっている」。D901iでは表に出ていなかったクリアキーが新たに装備されたため、先端部の薄型化には苦労したという

 2つ目は“存在感”。「“スライドボディ”であることを、より主張する形。個性を強調して、存在感のあるデザインを目指した。キーワードは知的な個性」

 スライドボディならではの大きな画面をデザイン上のアピールポイントとして、具体的には円弧をモチーフに、メインディスプレイとキー部分が一体になるようなデザインにしたという。「キーの間にある支えをなくしてそれぞれの面積を大きく取り、その上を弧を描くように透明のパネルが覆う。このパネルがデザインのアイコンになるように」

Photo キーとディスプレイを円弧が覆うイメージ

 3つ目は、ハイエンド端末であることを主張するデザインにすること。「90xiシリーズは、FOMAのフラッグシップモデル。記録画素数400万画素のカメラやFeliCa、PDFなど高機能が凝縮されている。それを見た目で感じさせるデザイン」

 表に出ているキーを、隙間なく並べてデザインした「マトリックスレイアウト」で、凝縮された機能が詰め込まれた端末であることを表現したという。

Photo キーを隙間なく並べて高機能がされたイメージを表現。透明な方向キーの周りとソフトキーのキーの下にはシルバーメッキでアクセントを付けた

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