News 2000年11月1日 11:59 PM 更新

CSKグループ総帥の大川功氏,セガについて大いに語る(2)

「これだけチャンスがブワーッと待っているんだから,やらん奴はアホや」

 そんな同氏にとって,現状の証券市場からの低評価は,仕方がない部分があるところがあるとはいえ,承服しかねるようだ。

 「ネットワークゲームでセガは1年から1年半の差が(競合他社と)ある。サーバの立ち上げやゲームの数なんかがそうだ。インターネットがブロードバンド化すると,インタラクティブコンテントが重要になる。映画の垂れ流しなんかじゃだめ。そうなるとゲームしかない。そのゲーム(のアーキテクチャー)をやっているのは3社。このうち2社はゆっくりやっている。残るは1社だけなんです」

 「セガにはハードのOSやCG技術,ライブラリなどの資源がある。高い授業料は払ったが,ハードをやっていたから,こうした蓄積ができた。それとCSK。ネットワークゲームにはサーバを立てる技術と体力が要るんです。これは他が真似できない」

 「Dreamcastはこれまで600万台売れた。今年度までに1000万台売れる。(現時点までに)155万人というネットワーク接続者がDreamcastには居るが,これが300万人になる。さらにこれからは,セガはモバイルとPCを狙っていく。理由はマーケットが大きいからだ。セットトップボックスは2003年ごろの予定だ」

 「流通なんかは縮小させている。ボクは任天堂の山内さんにでも売ってこいといったぐらい。セガはこれからES(e-サービス/エンターテイメントサービス)を目指していく

 「(今回の転換についていろんな評価があるだろうが)これだけチャンスがブワーッと待っているんだから,やらん奴はアホや。」

「長い目で見てくれれば,損はさせん」

 同社は今回の新しい事業戦略に伴い,経営陣も一新した。同氏が会長兼社長(CEO)として全体の方向性を見る元で,佐藤秀樹氏が代表取締役副社長(COO)として,実際の業務遂行を行っていく。

 コンテンツ事業の統括にはメディアファクトリー常務だった香山哲氏をスカウト,11月1日付けで特別顧問として迎えた。ネットワーク事業の統括には元日本アイ・ビー・エム取締役で,現同社取締役兼ISAO代表取締役社長の大山俊道氏が専務に昇格して,その任に就いた。アミューズメント事業は生え抜きの永井明専務が管掌し,この3人が佐藤体制を支えていくことになる。一方,前社長で代表取締役副会長だった入交昭一郎氏は取締役相談役に退いた。

 「方向は決まった。あとはそれをできるだけ速く,正確に遂行していくだけだ。それには佐藤が適任と判断した」

 「入交体制はダメだった。彼はGPSとか技術を語らせると素晴らしいが,経営はダメ。中山君も経営がダメだった。上は良いが,下を全部隠している。今回,彼に退任してもらったのは,入交君と佐藤君たちのグループが合わなかったから。彼がそう言うんで,それなら,ということになった」

 「人材のスカウトはこれから積極的にやる。特に大事なのは,交渉の人材。これからセガはいろんな会社とアライアンスをやるが,それには交渉の人材が不足している」

 意気軒昂な同氏だが,実は7月25日に食道ガンと診察され,医師から手術を勧められた身体だったそうだ。だが,それを断り,放射線治療と免疫療法を受けながら,セガの再建策を練ったという。「死ぬかもしれん」という気持ちと「生き長らえなあかん」という気持ちが交錯したという同氏だが,9月中旬の検査で奇跡的にガンが消えていたという。

 「命をもらった」という同氏。「ガンになってから何でも言える」「死ぬときは裸」と,CSK/セガグループの再建に文字通り命を賭ける覚悟だ。

 セガ/CSKグループに対する市場の懸念は,そのまま株価となって反映されているが,同氏は言う。「CSK/セガグループについてはいろいろと言われて,迷惑もかけているが,長い目で見てもらえれば,損はさせません」

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[中川純一, ITmedia]

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