News 2000年11月17日 02:45 PM 更新

Java搭載iモードではこんなことができる!──ドワンゴ「サムライ ロマネスク」

「ロースペックで使い物にならない」と一部でささやかれる,Java搭載iモード。しかし,Javaが動くというだけで可能になることがこれだけある。

 2001年早々に迫った,Java搭載iモード「503i」シリーズの登場。しかし「携帯にJavaが載ったからって何ができるの?」と思う人は多いだろう。「釣りバカ気分」などのiモードゲームで有名なドワンゴでは,Java対応ネットワークゲームを開発中だ。Javaでゲームがどう変わるのか? ドワンゴに聞いた。

ミニゲームしかできない?……そうではない!

 iモードゲームにJavaが入ると何が変わるのか? ドワンゴの第一研究開発部,企画セクションのアーキテクトである清水氏はプレイスタイルが変化すると語る。

 【Javaで変わるゲームの要素】

  • 地下鉄でプレイ可能
  • アクション性の追加
  • 派手なアニメーション
  • BGMが演奏可能


サーバと通信せずに行える“修行”はJavaを使うことで初めて可能になった。もちろん地下鉄でも修行できる。修行が終わったら,成果をサーバに送信する
「これまでのiモードの最大の弱点は地下鉄だった」(清水氏)。24時間ゲームができるのがiモードの特徴。といっても電波の届かない地下鉄だけはどうにもならない。これまでのiモードゲームでは,何か操作をするたびにホストサーバと通信が行われていた。Javaが可能にしてくれることの1つは,端末のみで操作に対して反応が返せることだ。

 ドワンゴが開発中の「サムライ ロマネスク」は,戦国時代を舞台としたマルチプレイヤーRPG。エレクトリック・アーツ・スクウェアの「Ultima Online」を知っている人なら「UOみたいなゲーム」(清水氏)といえば分かるだろうか。

 RPGでは,プレイヤーは戦闘や訓練によって自分のキャラクターを鍛えなくてはいけない。サムライ ロマネスクには「修行パック」というJavaアプレットがあり,プレイヤーはサーバと接続する必要なくキャラクターを鍛えることができる。

10Kバイトの壁


ゲームの基本画面。96(横)×120(縦)ピクセルの画面で動作する。503iシリーズはすべてこれより大きな画面になるようだ。ちなみにN502iは120×160ピクセル
 サムライ ロマネスクは,3つのJavaアプレットに分かれている。1つは移動や戦闘,買い物などを司る「基本クライアント」だ。残りは先ほどの“修行パック”と,酒場などに使える「チャットアプレット」。

 「チャットアプレットは基本クライアントに入れたかった」(清水氏)。503iの仕様には,1つのJavaアプレットは10Kバイトという制限がある。なかなかに10Kバイトの制限は大きいようだ。しかも,Javaアプレットから別のJavaアプレットを起動することはできないらしい。したがってユーザーは修行したいと思ったら別途“修行パック”を起動しなくてはならない。

 端末内に保存しておけるJavaアプレットの数は,最低の機種で3つ,最大の機種で10個とのこと。端末によって異なるため,さまざまなJavaアプレットを手元におこうと思ったら端末も選ぶ必要がある。

Javaが可能にしたアクションゲーム要素

 町を歩き回るのもサーバと接続する必要はない。“基本クライアント”と呼ばれるJavaアプレット上でほとんどの操作ができる。

 サムライ ロマネスクでは,戦国時代の地名を使った町が数百あり,町から町へも移動できる。ただし,町と町の移動には現実と同じくらいの時間がかかり,この間は一定時間ごとにサーバに接続される。江戸から京都への移動中に,「突然携帯が鳴り出して」(清水氏)周囲で行動中のプレイヤーと戦闘になることもある。

 戦闘シーンは携帯電話の数字キーを連打して行う。修行で得られる奥義というものがあり,「越後鵬籐流奥義」なら「5」「8」「3」「7」の順で打ち込むと必殺技が出せる。まさにJavaが可能にしたリアルタイム戦闘方式だ。

 たとえプレイヤーが寝ているときでも,敵に襲われば負けてしまう。別に理不尽でもなんでもなく,ゲーム内のあなたの分身も眠っていたのだ! 「急いで別の町に動きたいなら,(ゲーム内の)お金を払って籠に乗ってください」(清水氏)なるほど,納得。お金を払えば馬を買うこともできるらしい。

24時間接続だからできた,合戦

 何千,何万という数のユーザーが参加するサムライ ロマネスクでは,国と国との合戦も行われる。「合戦は前日に予告され,必ず行われるんですよ」(清水氏)

 “越後の国vs信濃国”といった形で合戦は行われ,プレイヤーは相手の国のプレイヤーと戦っていく。この合戦は,50万人まで参加できるという。その50万人それぞれが,すべてiモードを持っているユーザーなのだからスケールの大きな話だ。

 合戦で活躍すれば,足軽から武将,総大将と身分が上がっていく。身分が上がると,戦闘を行いながら細かい戦局の判断も迫られることになる。

 しかも,合戦は現実の世界ともリンクしている。「鉄砲を用意しておいても,明日が雨だったらダメ」(清水氏)。翌日が雨なのか晴れなのか,そういったことも合戦に影響してくる。これは,気象情報を専門機関から提供してもらい,合戦に反映させているのだという。

パケット代の節約にもJava

 もう1つ,Javaにはパケット代の節約という面もある。いったんJavaアプレットをダウンロードしてしまえば端末内部で動作するため,あとは細かなグラフィックや数値だけをサーバとやり取りすればよい。

 「月々5万円というパケット代を稼ぐために,マクドナルドでバイトする高校生」と清水氏が言うほど,iモードのやりすぎによるパケット代の増加は社会問題化しつつある。

 サムライ ロマネスクでも,“チャットアプレット”が酒場でしか使えないのには理由がある。チャットのやり過ぎでパケット代が増えすぎないように,ある程度の時間が経つと酔っ払うというわけだ。

Javaはiモードゲームの1要素に過ぎない

 清水氏は,iモードゲームの要素は「ゲーム性」「会話強度」「価値観」だという。Javaはこれに1要素を付け加えるに過ぎない。

 「逆にいえば今までのゲームはここ(Javaによるアクション性)しかなかった」(清水氏)。サムライ ロマネスクをよくみれば,これまでの大ヒットゲーム「釣りバカ気分」や「海運ジェネレーション」の要素がふんだんに取り入れられているのが分かる。

 ゲームはJavaのみで作るにあらず。これまでのiモードゲームで欠けていた部分を埋めるためにJavaはある。Javaが搭載されるからといって,Javaだけで何かをやろうとしたらスペックが貧弱に見えるのは当然だ。HTMLにおけるCGIのような役割だと考えれば,おのずとJavaが生きる道は見えてくる。

 24時間常時接続,リアルタイムで進行するもう1つの現実。サムライ ロマネスクがもたらす革新的な世界は,503iと同時にスタートする予定だ。開発から2ヵ月が経った今,完成度は6割。Java搭載iモードのキラーアプリケーションとなり得る本作の完成を心待ちにしたい。

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▼ ドワンゴ TEL(03)3664-5477

[斎藤健二, ITmedia]

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