News 2001年1月25日 11:37 PM 更新

ブロードバンド事業を中核に――ソフトバンク事業戦略

 ソフトバンクは1月25日,事業戦略説明会を開催。同社の孫正義社長は「市場が弱腰になっている今こそ,絶好のチャンスだ」との考えを示した。

 「タイムマシン経営」を軸に,米国製ドットコム企業の輸入に邁進してきたソフトバンクだが,同社の孫正義社長は事業戦略説明会で1月25日,今後の指針は,インフラからサービスまで,ブロードバンドのトータルソリューションを提供する「群戦略〜ストラテジック・インテグレーター」であるとアピールした。

アジアにブロードバンドを

 ソフトバンクはこの日,米Cisco Systemsとの包括的な業務提携を発表。孫社長は,この提携の意義について説明するのに多くの時間を割いた。Ciscoとの提携内容は,Ciscoを割り当て先とする2億ドルの第三者割当増資を行うほか,Ciscoはソフトバンクの投資ファンドであるソフトバンク・アジア・インフラストラクチャー・ファンド(SAIF)に10億ドルの出資を行うというもの(別記事参照 )。

 ソフトバンクとCiscoは,日本シスコシステムズ(現在はシスコシステムズに社名変更)設立以来の付き合いだが,孫社長は「今回の提携で,より強固な関係を構築できた。今後はCiscoと連携して,インターネット人口が急激に増加しているアジア地域において,ブロードバンドインフラを構築する」と語る。

 「SAIFでの投資案件は,インフラに関わるものだけに1件で100億円を超えるものも想定される。これまでのように,2〜3億円で立ち上げるものとは異なる。その場合,ソフトバンクだけで投資を行うのはリスクが大きい。さらに,Cisco以外にも世界的に有名な企業に非公式に参加を呼びかけており,最終的にはSAIFには4000〜5000億円の資金が集まるだろう」(孫社長)

株価低迷のときこそ拡大戦略

 アジア地域のインターネットインフラ事業に限って見た場合,ソフトバンクはこれまでに,日米海底ケーブルを敷いたアジア・グローバル・クロッシング,中国で無線インターネットサービスを提供しているUTStarcom,ならびに韓国では76万世帯が加入している大手ケーブルインターネットサービスのthrunetなどに出資している。

 また日本においては,無線アクセスのスピードネット,xDSL事業者のエックステージ,ならびに光アクセスサービスのアイ・ピー・レボリューション(IPR)というブロードバンドインフラ企業を持つ。ただ,現段階で商用サービスの具体的なスケジュールが決まっているのはIPRだけで,残りの2社はまだ試験運用を行っている(1月12日の記事参照 )。また,ブロードバンド向けのサービスとしては,オンラインストレージサービスのエックスドライブを設立した。

 「群戦略とは,資金を集め,テクノロジーを持っている企業とブロードバンドインフラを構築し,その上でYahoo!のようなコンテンツを提供するという一連の流れを示す。ソフトバンクグループの総力を結集させて取り組んでいく。株価が下がっているときこそ,ふんだんな資金を投下して拡大戦略を推進するチャンスだ」(孫社長)

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[中村琢磨, ITmedia]

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