News 2001年3月8日 11:59 PM 更新

携帯電話はユビキタスネットワークの萌芽──NRI調査

NRIの調査によると,従来のインターネットとは明らかに異なる利用方法が,先進ユーザーの間で始まりつつあるという。

 だれもが,至るところに設置された端末を使い,いつでもどこでも情報をやり取りできる「ユビキタス・ネットワーク」。野村総合研究所(NRI)が提唱するこの構想は,ブラウザフォンの爆発的な普及やCATV・ADSLなど中高速インターネット接続の広がりによって,現実味を増してきているようだ。NRIが3月8日に公表した調査結果によると,「従来のインターネットとは明らかに異なる利用が,先進ユーザーの間で始まりつつある」という。

 この「情報ネットワーク社会に関する調査」は,首都圏50キロ圏内に住む15〜69歳までの男女を対象として,1〜2月に行われたもの。2段階無作為抽出法と予備調査によってインターネット/映像分野の先進ユーザー500人を選び出し,310の有効回答を得た。

ブロードバンドで映像

 まず,今後普及が見込まれているブロードバンドインフラに関する設問では,携帯電話ユーザーと固定インフラユーザーの間に若干の温度差が見られたようだ。インターネットを1日1時間以上利用している人の中では,「既にDSLやCATVを使っている」あるいは「すぐにでも使いたい」というユーザーが4割近くを占めていたのに対して,携帯電話ネット接続を1日1時間以上利用している人ではその半分の2割程度。また,「わからない」と答えた人が,逆に倍以上の23.9%となった。

 一方,映画を週に6本以上鑑賞するという“映像先進ユーザー”では,「既に利用」「すぐに利用したい」が3割以上。「様子をみてから利用したい」ユーザーを合わせると,7割に上る。NRIでは,「分からないと答えるユーザーも多い(3割)が,映像先進ユーザーは高いブロードバンド利用意向を持っている。また,映像先進ユーザーは必ずしも現状のネットワーク利用頻度が高いわけではないので,ブロードバンド利用については今後有望であると言える」と分析している。

メール用途ならノートPCより携帯?

 間もなく6000万台に達しようとする携帯電話のうち,半数以上がインターネット接続機能を持っている(Mobileの記事を参照)が,同社の調査結果によると,電子メールを利用している人のうち,40.1%が携帯電話を利用していると回答したという(複数回答)。これは,ノートPC(29.8%)を大きく上回り,1位のデスクトップPC(82.4%)に次ぐ結果だ。NRIでは「PCが前提であったネットワークへの接続が大きく変化する。携帯電話はその萌芽的なもの」と言う。

 一方で,ユビキタスネットワークの「至るところに設置された端末を共有」という発想は,今のところ浸透していないようだ。今回の調査では,ユーザーは“個人の使い慣れた端末を持ち歩く”傾向にあることも分かった。「あなたの望む今後のネットワーク利用の進化の方向として,A,Bどちらの考えが近いですか?」という設問では,「A:自分の所有する端末を常に持ち歩く」に近いと回答した人が約35%。どちらかというとAに近いという人を合わせると,実に71%に及んだという。「今後は,マルチメディア・キオスクと携帯端末のすみ分けが進むものと考えられる」(NRI)。

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