News 2001年6月5日 09:31 PM 更新

FTTHに乗り出す東電,100Mbpsで実験サービス開始

東電とTTNetが7月より大田区内の2地域を対象として最大100MbpsのFTTH実験サービスを開始する。将来的には,TTNetを主体として事業化する方針だ。

 東京電力と東京通信ネットワーク(TTNet)は6月5日,7月より都内でFTTH(Fiber to the home)の実験サービスを開始すると発表した。この実験は「高速回線の利用状況などに関するデータ収集に加え,インフラ構築からコンテンツ配信までを総合的に検証することが目的」(東電)。将来的には,TTNetを主体として事業化する方針だ。

 実験では,東京電力グループが保有する光ファイバー網を利用して,最大100MbpsのFTTHサービスを行う。期間は,7月〜12月の半年間。東京都大田区内の2地域(田園調布,東雪谷)を対象とし,一般から300人のモニターを募る。東電によると,「サービス可能な家庭にチラシを投函し,6月11日から29日の期間に郵送により受付を行う。募集人数をオーバーした場合は,抽選によってモニターを決定する」という。モニターになると,工事費や接続料金が無料となるほか,デルコンピュータ製のPCも無償貸与される予定だ。

 コンテンツ面では,吉本興業および吉本の関連会社であるファンダンゴがバックアップ。バラエティ,音楽,映画などエンターテイメント系の幅広いコンテンツをそろえるという。ストリーミングビデオはMPEG-2形式で,ビットレートは4Mbps程度になる見込みだ。このほか,東急電鉄が提供する渋谷のリアルタイム情報や首都高の用賀インターチェンジのライブ映像など,地域密着型のコンテンツも予定している。

さまざまなインフラを用意する東電

 5万3000キロにおよぶ敷設済み光ファイバー網を活用し,グループを挙げて“統合的な情報サービスインフラ”の構築を目指す東電。今回のFTTH実験もその一環であり,事業化については「TTNetのネットワークオペレーションやアット東京の持つデータセンター機能を合わせ,どこよりも安く,付加価値の高いサービスを早期に実現する」(東電)構えだ。また,FTTHにかぎらず,スピードネットの無線アクセスやTEPCOケーブルテレビのCATV回線など,さまざまな接続手段をそろえてユーザーのニーズに応えるという。

 ただし,そのスピードネットも今夏より10MbpsのFTTHサービスを開始する予定であり,TTNetが事業化する100Mbpsサービスとの棲み分けは気になるところ。東電の築山宗之常務は,スピードネットのサービス開始時に「TTNetとスピードネットは協調,あるいは面的な棲み分けになる」と話していたが,現状では「検討中」(スピードネット)とするに止まっている。

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[芹澤隆徳, ITmedia]

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