News | 2001年7月19日 07:24 PM 更新 |
今年もぱそまるの季節がやって来た。子どもたちが夏休みに入る7月末に開催されるこのイベントは,個人的には,夏の風物詩である(取材に訪れるのは今年で3回目になる)。ぱそまるは,「パーソナルマルチメディア」の略称で,思いっきりコンシューマー側に降られたIT関連イベントだ。「CEATEC」や「PC EXPO」の“正統派”イベントとは異なり,ぱそまるの会場でビジネスマンの姿を見かけることはあまりない。メインは主婦と子どもたち。もう何年も長期休暇など経験していないが,ここに来ると,自分も明日から1カ月間,夏休みのような気がしてくる(3連休などという子どもだましではなく)。
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楽しそうにマルチメディア学習ソフトを体験するお嬢ちゃんと,もはや遊園地のアトラクションと化したジャストシステムのブース。ぱそまる的なシーンだ。 |
会場の雰囲気,展示内容もほかのどのIT関連イベントとも違う。萬有製薬が「健康の森」と題して,インターネットを利用して薬の副作用や骨粗しょう症についてレッスンしているところに,20分待ちの行列ができるIT系イベントなど,ぱそまる以外には思い当たらない。また,ぱそまるではお馴染みの資生堂ブースには,ITを利用して「美を追求しよう」という志の高い女性たちが集まっている。一介のサラリーマンが誤って足を踏み入れたら,白い目で見られそうな雰囲気だ。
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毎年人気の資生堂ブース。みんな目が真剣だ |
そういえば,入り口の前でお店を開いてていたコジマは,「ちょこちょこ扇風機が売れている」と話していた。扇風機が売られていたり,それを買う人がいたり──これが,ぱそまる風なのだ。
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扇風機やかき氷製造器を販売するコジマ。品揃えもぱそまる用。 |
とはいっても,ぱそまるもIT関連イベントのはしくれ。“普通のIT企業”も出展している。例えば,日本アイ・ビー・エム(IBM)だ。毎年,音声認識ソフトの「ViaVoice」を出展し,高齢者の熱い視線を集めている同社のブースだが,今年は直球勝負のもよう。「Broadband」や「Wireless」といった,文字が目に付く。それでも,ぱそまるにあっては“脇役”な日本IBM。行き場を無くした(?)ビジネスマンたちの憩いの場と化していた。
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ぱそまるにあって,ビジネスマン度が高かった日本IBMのブース。ワインの試飲会もビジネスマンだらけ(まだ勤務時間中のはずなのに……) |
一方,NTT東日本は,まさに“ぱそまる的”サービスである「Lモード」を引っさげての登場。人気爆発かと思いきや,午後に同社ブースを訪れた際には閑散としていた。「やはりLモードよりも資生堂か」と推理してみたが,早朝からぱそまる会場にやって来た某IT関連ニュースサイト記者(開会式の写真を取って来いといわれたが,そういったイベントはなく,ニューヨークから届くMACWORLD Expo/NYの原稿を校正していたらしい)によると,「午前中は主婦でごった返していた」とのこと。やはり,八代亜紀が効いたのか。
また,技術的な取り組みを分かりやすく伝えようとしていたのはJCBだ。ブース入口でICチップを組み込んだ“擬似JCBカード”を受け取れば,ICクレジットカードによる買い物を体験することができる。とりあえず,ベビースターとラムネを購入したのだが,なんとこれだけで20ポイントもたまった。そこで,ポイントを使って眼球洗浄剤の「アイ・リフレッシュ」をゲット。
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きれいなお姉さんが案内してくれるJCBブース。わざわざ買い物にやってくるほかの出展者もいた |
こんなにいろいろただでもらうとも,そんなに高価なものではなくても,なんだか悪い気がしてくる。当然,ブース出口にはJCBカード申し込みコーナーが設置されていたので,カードを作ろうかなとも考えたが(作戦かもしれないが,付き添ってくれたコンパニオンのお姉さんもきれいだったし……),これ以上カード地獄に陥ったら大変なことになるので,とりあえずパス。
取材というよりも,なんだかこちらも楽しんでしまうぱそまる。来場者だけでなく,ブースにいる関係者もリラックスしていることも,その要因だろう。
あえて説明する必要はないかもしれないが,ぱそまるに出展している各社の目的は,来場者にサービスを体験してもらい,実際にユーザーになってもらうよう導くことにある。つまり,いかに“楽しませるか”が重要であり,言い換えれば,“いかにそのサービスが楽しいものかということを刷り込ませる”必要があるのだ。
そういう意味では,楽天は大いに成功しているのではないだろうか。楽天は「リアルオークション」と題して,1円からスタートするオークションを実施しているのだ。午前中に開催したエルメスのスカーフのオークションは,まだ人が少ないこともあり,数千円で落札されたという。
同社ブースを訪れた際には,ちょうど最後の1円オークションとして,三木谷治史社長が実際に使用したというゴルフのドライバーとパターのセットが出品されていた。もちろん,輪を作っているのはここぞとばかりに集まってきたビジネスマンたちだ。楽天ブースのお姉さんによれば,三木谷社長は,“アマチュアゴルファーの憧れ”と言われるシングルプレーヤー。そして,出品しているドライバーとパターを操り,70台でホールアウトしたそうだ。ビジネス手腕だけでなく,ゴルフの腕前も一流のようだ。
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中古といっても,程度はなかなか良かった。惜しげもなくオークションに出してしまうところは,三木谷社長の“余裕”か |
個人的には,ゴルフは休日に打ちっぱなしに行く程度なのだが,ドライバーに張ったままの値札には「8万円」とある。パターもTitlistの名器らしいので,これはゲットするしかないと意気込み,当然参戦。2万5000円まで吊り上げたところで,「やっぱり経費で落ちないよな」と我に帰り白旗。結局,わずか1000円の差で恰幅のいいおじ様に破れてしまった。落札したら,Yahoo! オークションで売っぱらおうと思ってたのに……。
最後になったが,「ぱそまる2001」は東京ビッグサイトで7月22日まで開催されている。入場料は一般が1000円,高校生が500円,中学生以下ならびに満65歳以上は無料となっている。会場時間は,午前10時から午後5時までだ。夏休み最初のイベントとしては,家族連れでなかなか楽しめるのではないだろうか。
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ぱそまる2001公式サイト
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