News | 2001年10月24日 11:55 PM 更新 |
ヤフーは10月24日,企業ポータルサイトの構築支援サービス「コーポレートYahoo!」の販売を開始したと発表した。企業が「MyYahoo!」の仕組みを利用して,自社独自のポータルサイトを構築できるようにするもの。同社は広告,コマース,ブロードバンドに次ぐ第4の事業の柱として企業向けサービスを育成しようとしているが,これはその第一弾になる。
「コーポレートYahoo!(以下,CY!)」は,「MyYahoo!」プラットフォームの利用ライセンス,企業ポータル構築に必要な情報や機能をカスタマイズするポータル作成ソフトウェア「コーポレートYahoo!」のライセンス,およびサイト構築のためのコンサルテーションサービスからなる。「企業ポータル構築に必要なプラットフォームとツール,アイディアを提供する」(ヤフー・エンタープライズサービス部)。
エンドユーザーが企業側のサーバにポータルページを要求すると,サーバはヤフー側にそのリクエストを送信する。これを受け取ったCY!サーバは,要求された配信内容を含むパーソナライズされたページを作成,企業側のサーバに送る。企業内のサーバでCY!ソフトウェアが社内の情報を収集,ヤフー提供の情報と組み合わせてユーザーページを生成し,エンドユーザーに配信するという仕組みだ。
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コーポレートYahoo!の仕組み(拡大画像) |
「MyYahoo!」同様,個々のユーザーがページをカスタマイズすることが可能。一方,企業側が特定の情報・内容を必ず表示させることもできる。これらは,システム管理者がGUIベースで設定でき,組織や権限などに応じて表示内容をコントロールすることも可能だ。
ヤフー側では従来,MyYahoo!で提供していたコンテンツをCY!でも提供する。「天気予報や株価情報など,動きのあるコンテンツを加えることで,企業ポータルも視聴率を上げることができる」(同)。また,プレミアムサービスとして,それぞれの企業が必要とする専門性の高いコンテンツを有償配信するといったことについても,相談に応じていく方針だ。
一方,同サービスでは,企業の既存の社内システムとの共存についても配慮している。グループウェアなどについては「JavaのAPIを使って直接表示することが可能」であり,ERPやCRMなどのコンテンツを統合させることもできる。またTIBCOベースのEAI(Enterprise Application Integration)ミドルウェアとの円滑なやり取りもサポートしている。メールは「Yahoo!メールも要望に応じて提供するが,基本的に企業側の既存のメールシステムを利用することを想定している」(同)。
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コーポレートYahoo!導入ページのイメージ(拡大画像) |
CY!サービスは,当面5000クライアントから提供する。5000クライアント時のソフトウェアライセンスは1ユーザーID当たり3600円なので,初期導入費用は1800万円からとなる。また,ランニングコストとしては,プラットフォームの利用料として一人当たり250円/月がかかる。これらの価格は契約ライセンスが一定以上になると単価が割安になっていく仕組みだ。この他,サイトデザインのコンサルテーション(一時費用)やメンテナンス&サポート(月次)などがオプションサービスとして提供される。SQLデータベースやLDAPサーバなどは別途用意する必要がある。
同社では比較的規模の大きな企業や,自治体などの団体を中心に,CY!の営業を行っていく方針。SIパートナーとして日本ヒューレット・パッカードや内田洋行,マーケティングパートナーとしてはNRIネットワークコミュニケーションズやソフトバンク・コマースなど都合6社とのアライアンスを組む。パートナーは「これで終わりではなく,増やしていく。ただ,それぞれの企業にはすでに組んでいるSI業者などがある。この関係は尊重していけるようにする」(同社)。
CY!の利用例としては,B2E(企業従業員間),B2C(企業消費者間),B2B(企業間)などが考えられる。米Yahoo!の同サービスではこのうちB2Eが主力になっているが,「日本ではB2Cの普及がまだまだなので,食い込む余地が十分ある。できればB2EとB2Cを半々ぐらいにしたい」(野々村正仁エンタープライズサービス部長)という。B2Cであれば,コンシューマにユーザーIDを配布する形になるので,10-20万ライセンスでのサービス利用も期待できるからだ。「B2Cをテコに,事業規模を早期に米Yahoo!並に拡大したい」(同)。
企業向けのポータル構築支援はビジネスとして“おいしい”分野だけに,CY!には競合相手も少なくない。他社サービスとの差別化については同社では,十分な運用実績があり,多くのユーザーが既に慣れている「MyYahoo!」のプラットフォームを利用する強みや,短期間での導入が可能な点を挙げている。米Yahoo!の同サービスを利用しているノースカロライナ州の場合,実質45日間で稼動にこぎつけられたという。
ヤフーでは,今回のCY!を手始めとするエンタープライズサービス事業を行うため,7月にエンタープライズサービス事業部を立ち上げている。同部の野々村部長は「社内で(同部は)Y!ESという略称になっているが,企業のいろいろなリクエストに“Yes”と答えられるよう,事業を持っていきたい。ポータルとしてのノウハウをそのままサービスに活かしていく」と,その抱負を述べていた。
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