News 2001年12月18日 10:02 PM 更新

日本MMOのビジネスモデルはどうなってるの?

何かと話題のファイル交換ソフト「ファイルローグ」だが,同サービスを提供する日本MMOのビジネスモデルがどうなっているのか,疑問を抱く人が少なくない。

 「日本MMOはどうやって利益を上げているのだろうか?」

 ファイル共有サービスについて取材をしていると,「ファイルローグ」を提供する日本MMOについて,こんな声をよく耳にする。特に,強く疑問を抱いているのが,コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)である。ACCS事業部事業調整課の葛山博志課長は,「私が心配してもしょうがないが,無料でやっていて,どうやって会社を経営しているのだろうか」と首をひねる。

 金額は公表していないが,現状では,日本MMOの売り上げは微々たるもの。ソフトは無償配布し,収入はバナー広告のみなのだから,それも当たり前である。だが,日本MMOの松田道人社長は「ファイルローグで金儲けしようとは,最初から考えていない」とあっけらかんと言う。

 「ファイルローグのサイトには,音楽関係や,MP3再生ソフトなどのバナーの引き合いがあるが,それを掲載すると,ファイルローグが音楽配信に特化しているというイメージを与えてしまう恐れがある。それに,他人の著作物で儲けていると思われたら,訴訟になったときも不利だろう」(松田社長)。

 ファイルローグについては,ビジネスモデルがないというよりも,ビジネスモデルを構築する考えがないと言ったほうが正確のようだ。

 というのも,松田社長は先日のインタビューの中で,ビジネスの本命は,有償で配布予定のプッシュ型ファイル交換ソフト「DropBox Express」(2002年3月リリース予定)だと説明している(これまでは松田社長の個人的な資金でやってきたらしい)。

 ファイルローグでファイル交換サービスの運用ノウハウを蓄積し,信頼性が重要な企業向けサービスにつなげる,というのが松田社長の考えだが,ここである問題が生じる。

 「DropBox Expressは,企業向けに販売しようと考えているだけに,ファイルローグが訴訟沙汰になって,日本MMOのイメージが悪くなるもの得策ではない。仮に,Napsterが今さら企業向けソフトを発売しても,誰も買わないだろう」(松田社長)。

 「訴訟になれば最高裁まで戦う」と断言していた松田社長だが,ファイルローグに固執していては,DropBoxの立ち上げもままならない。

 日本MMOの使命は,今後の著作権法のあり方について一石を投じることなのか,DropBoxの販売で事業を軌道に乗せることなのか──松田社長は,“落としどころ”を探っているところなのかもしれない。

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[中村琢磨, ITmedia]

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