News 2002年2月14日 11:18 PM 更新

コダック,DPE最大手と提携――デジタルプリント事業展開も視野に

DPE最大手の日本ジャンボーとコダックが,DPEラボ事業における提携を発表した。両社出資の新会社を設立し,ラボ事業を展開していく。将来的には,デジタルプリントサービスに関する共同事業も進めていく方針だ。

 DPE最大手の日本ジャンボーとコダックは2月14日,DPEラボ事業における提携を発表した。今年3月に両社の共同出資による新会社「ケイジェイ イメージング」を設立し,共同でラボ事業を展開していく。また将来的には,デジタルプリントサービスに関する共同事業も進めていく方針だ。

 フィルムを現像し,印画紙へのプリントを行うラボ(現像所)には,店内に小型ラボ機器を設置してスピード現像を売りにする「ミニラボ」と,DPE店のフィルムを集めて工場で一気に現像/プリントを行う「集中ラボ」とがある。日本ジャンボーは,後者の集中ラボを手掛け,同分野では国内最大手の実績を誇る。

 提携発表に臨んだ日本ジャンボーの高橋弘会長は「集中ラボでは,他社の追従を許さない確固たる地位を築いてきた。しかし,近年の技術革新で写真のデジタル化が急速に進んでおり,ラボを取り巻く環境は厳しくなっている。コダックとの合弁事業は,厳しい写真事業分野において勝ち組になるための大きな柱となる」と厳しい口調で話す。

 一方,コダックの堀義和社長は「日本市場でシェアアップをはかってきたが,全国ネットのラボサービスが弱点だった。その意味でも,ラボ事業で全国展開を行う日本ジャンボーに対しては,ずっと“片想い”をしていた。コンピュータシステムを活用し,効率よいオペレーションを行っており,ラボのどこにも無駄がない。今回の提携は,うれしくてしょうがない」と,待望の提携に満面の笑顔で語った。


提携を発表する日本ジャンボーの高橋弘会長(左)とコダック掘義和社長(右)

 ずっとコダック側の片想いだった両社の関係が,“両想い”に変わったのはなぜだろうか。堀社長は「朝日メディックスが,結果的に“仲人”になった」と語る。

 今回の提携の背景には,DPE店を全国展開する朝日メディックスの身売りがある。今年3月に,同じくDPE店を展開する55ステーションが,経営不振となった朝日メディックスの全株式を譲り受け,事業を引き継ぐことになっている。

 しかし55ステーションとしては,朝日メディックスの有するDPE店を系列に取り込む点ではメリットがあるものの,集中ラボは必要ない。このような経緯から,ラボ・卸売り事業をコダックに営業譲渡する話が起こったというわけだ。

 「ただ,朝日メディックスのラボ事業は,ファミリーマートを窓口としたDPEサービスが中心。コダックもラボを所有しているが,24時間体制での効率よいサービスは得意じゃなかった。そこで,日本ジャンボーに相談したところ,今回の提携に至った」(堀社長)。

 新会社の出資比率は,日本ジャンボー66%,コダック34%で,当面の事業は朝日メディックスから譲渡される予定のラボ・卸売り事業を軸に展開する。日常の事業運営は,日本ジャンボー,技術・経営面のサポートはコダックが主体となって行う。

 今回の提携で,コダック側のメリットとしてすぐに表れるのは,印画紙や薬品といったラボ製品だ。これまで日本ジャンボーは,日本アグファ・ゲバルトのラボ製品を使用してきたが,高橋会長は「この提携を機会に,印画紙や薬品はコダックの製品を使っていきたい」と話す。

 DPE最大手だけに,ラボの処理量もハンパではない。「コダックの(ラボ製品の)シェアは,一気に25%にまで拡大するだろう」(堀社長)というから,コダック側が今回の提携にご満悦なのも当然だ。

 さらに長期的な視点では,デジタルプリントサービスにおけるメリットがある。

 堀社長は以前より「デジタルカメラの普及には銀塩写真のようなプリントサービスが必要」とアピールしていた(別記事を参照)。

 コダックの「Kodak EasyShareシステム」や富士写真フイルムの「FDiネットサービス」,コニカの「オンラインラボ」など,フィルムメーカー各社はインターネットを経由してプリント注文ができるオンラインプリントサービスを展開。デジタルカメラのプリント促進に力を入れている。ブロードバンドの普及によってデジカメのデータをネットで送る環境も整いつつある。

 しかし一方で,プリントした写真を受け取る手段としては,郵送という方法もあるものの,やはり店頭で受け取れる方が便利だ。「フジカラーのお店」として全国に系列DPE店を展開する富士写真フイルムは,その点で有利となる。

 今回の提携によって,全国規模のラボシステムを手にしたコダック。「日本ジャンボーとは,いろいろなバリエーションで事業を展開していきたいが,特にデジタル化対応には期待している。事業内容はこれから検討していくのだが,日本ジャンボーの持つラボ/プリントサービスのノウハウを活用した良いサービスができるような気がしている」(堀社長)。

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[西坂真人, ITmedia]

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