News 2002年2月26日 07:56 PM 更新

Intel――サーバプロセッサのロードマップ

Intelはかねてから発売が告知されていたハイパースレッディング技術搭載の「Xeon DP」とチップセット「E7500」を,「IDF 2002 Spring」で発表した。同社はこのプロセッサを皮切りに,エンタープライズ向けの新プロセッサを立て続けに投入する見込みだ。

 Intelはハイパースレッディング(Hyper-Threading)技術搭載のデュアルプロセッササーバ向けプロセッサ「Xeon」と,ローエンドのデュアルプロセッササーバ向けチップセットの「E7500」を,開発者向け会議「Intel Developer Forum 2002 Spring」で発表した。クロック周波数は1.8〜2.2GHzまでの3種類が用意されている。

 デュアルプロセッサ向けのXeon(Xeon DP)は,それ以上のマルチプロセッサをサポートするXeon MPに搭載されている3次キャッシュメモリが搭載されない。その代わりにローコストに仕上がっており,久々のサーバ向けIntel製チップセット共に,低価格かつ高性能なサーバプラットフォームを提供するという。

 一方,E7500は200MHzのDDR DRAMを最大16Gバイトまでサポートし,I/Oでは64ビット133MHzのPCI-Xを6スロット,サポートする。その性能はPentium III Xeon/1GHz採用のデュアルプロセッササーバと比較して,メールサーバで1.4倍,Javaアプリケーションで1.49倍,Webサーバで1.8倍の性能に達する。

 ハイパースレッディングを生かすには,対応アプリケーションの増加が鍵になる。同社によれば,IISやApatchといったWebサーバはもちろん,アクティブディレクトリやRSA暗号化アルゴリズム,SymantecおよびMcAfeeのサーバ向けアンチウィルス,インターネットゲートウェイソフトウェア,あるいは各種ビデオサーバ,DBMS,ERP,あるいはWebSphereやBizTalkといったミドルウェアに至るまで,幅広い範囲に広がってきたという。

 今回の発表を皮切りに,Intelはエンタープライズ向けの新プロセッサを立て続けに投入する見込みだ。同社は一昨年からインターネットやイントラネット上で使われるアプリケーションサーバの能力が圧倒的に不足すると予測。それに対応するためのパフォーマンス強化を約束してきたが,その成果が今年中に現れてくる。

 今年後半にはItaniumの次世代アーキテクチャであるMcKinleyがi870チップセットと共に登場。これは0.18ミクロンプロセスで1GHz動作,3Mバイトの3次キャッシュメモリを内蔵する。システムバスの帯域は3倍で,実行ユニットの増加やパイプライン段数の短縮などの改良が加えられ,性能はItaniumの2倍になる。

 対応するi870チップセットは4個までのMcKinleyに対してスケーラブルな性能を発揮させることが可能。さらに2組のi870を接続すれば,8プロセッサのサーバを構築することが可能だ。

 説明を行ったIntel上席副社長兼エンタープライズ・プラットフォーム事業本部長のMike Fister氏によると,1GHzのMcKinleyは,金融アプリケーションの性能でPentium III Xeonの10倍に達するという。


エンタープライズ・プラットフォーム事業本部長のMike Fister氏

 さらに来年にはMcKinleyの次世代プロセッサMadisonも0.13ミクロンプロセスで登場する。Madisonは6Mバイトの3次キャッシュメモリをオンチップに搭載。2004年には製造プロセスが0.09ミクロンまで進んだMontecitoへと繋げていく計画。

 一方,世代的にはMadisonと同一世代になるデュアルプロセッサ専用,Deerfieldが2003年にも登場する(なお,Montecitoの世代では普及価格帯のIA-64プロセッサとハイエンドのIA-64プロセッサが同一のコアに統合されている)。

 2003年には低消費電力プロセッサのBaniasも登場するが,この技術を用いた高密度サーバもエンタープライズ向けのロードマップには組み込まれている(ノートPC向けBaniasよりは遅い登場となる見込み)。Baniasは消費電力あたりのパワーを重視したプロセッサで,ブレードサーバ向けにも適しているという。


サーバプロセッサのロードマップ

 Intelはこうしたプロセッサの強化とともに,ソフトウェア開発環境の整備も行っており,IDFでは同社のソフトウェアチューニングツールのVTuneに3-Tierのネットワークアプリケーション性能を最大化するツールを追加すると発表した。

 また,ハイパースレッド技術やマルチプロセッサ環境下でのソフトウェア性能を高めるため,スレッド単位の性能チューニングに関する情報提供やツールの機能強化を図っていく。

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[本田雅一, ITmedia]

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