News 2002年3月1日 03:32 AM 更新

ブロードバンドにはショートフィルム?

最近,ショートフィルムという言葉をよく耳にする。カルチャー雑誌でも頻繁に取り上げられるこのショートフィルムだが,ブームに先駆け,ビジネスチャンスを見出していたのが,アトムショックウェーブである。

 ブロードバンド時代のキラーコンテンツは何だろうか? 動画配信か? P2Pか? 本命が見えない混沌の中,ブロードバンドコンテンツプロバイダーとして着実に足場を固めている企業がある。マクロメディアの「Flash」や「Shockwave」を使い,Web上でリッチメディアを提供するアトムショックウェーブだ。

 アトムショックウェーブ副社長でビジネスデベロップメント&マーケティング担当の瀬戸浩次朗氏は,「FlashやShockwaveコンテンツが,“重たいから見ない”と言われたのは昔のこと。Shockwaveベースのショートフィルムやゲームはブロードバンド時代にふさわしいコンテンツだ」と意気込む。その瀬戸氏に,アトムショックウェーブのビジネス展開について話を聞いた。


ビジネスデベロップメント&マーケティング担当の瀬戸浩次朗副社長。ティム・バートン監督作品「ステンボーイ」と。

ZDNet:昨年より,ショートフィルムの配信(10〜30分の短編映画)に力を入れてきましたね。

瀬戸:はい。いよいよ今年の1月よりショートフィルムの有料配信を開始しました(1月15日の記事参照)。月額500円で10本の作品を見られるサービスなのですが,2002年末までに1万ユーザーの獲得を目指します。事業的には,その半分の5000ユーザーを獲得できれば黒字になります。

ZDNet:米国では自動車メーカーのFordと組んで,コンパクトカー「Focus」のショートフィルム広告を展開していましたが(2001年5月31日の記事参照),国内でも同様のビジネスを検討しているのですか?

瀬戸:現在,ショートフィルム関連のビジネス展開として,一番やりたいのが,そのショートフィルム広告です。残念ながら,今のところまだ具体的な話はありませんが,2002年の目標の1つです。ただ,シューティング(撮影)は国内のクリエーターに頼むのではなく,米国でやることになるでしょう。

ZDNet:国内にはいいクリエイターがいない?

瀬戸:われわれは,米Atomが所有していたショートフィルムを配信しているのですが,クオリティはかなり高いと思います。日本のCMクリエーターなどもショートフィルムに非常に高い関心を持っているようなのですが,作品はというと,テレビの延長のような感じがしますね。

 最近,カルチャー雑誌などでショートフィルムが取り上げられ,ブームになっていますが,ネット上にショートフィルムコンテンツが増えたとしても,われわれの競争力が低下することはないと考えています。

ZDNet:アトムショックウェーブのショートフィルムは,ほかのサイトでは見られないのですか?

瀬戸:現状ではそうです。ただ,ブロードバンド関連のサービス事業者数社から,引き合いがきています。ショートフィルムは,ブロードバンドコンテンツの課金ビジネスとして成り立っていますから。非常に魅力的に見えると思います。

 また,現在アトムショックウェーブでは決済方法としてクレジットカードにしか対応していないので,独自決済手段を持つISPなどと協力できたらいいと思っています。コンテンツをライセンス供与することになるので,プラットフォームも拡大します。

 もちろん,Webマネーの導入など,アトムショックウェーブのサイトでも決済手段にバリエーションを持たせるつもりですが,導入費用がかさむものは入れられませんよね。商品の単価が安いから,きっと回収できない(笑)。

ZDNet:個人的には,PCのディスプレイで映画を見るのはあまり得意でないのですが(笑)。

瀬戸:そういう人もいますよね(笑)。だからというわけでもないのですが,DVDのパッケージと組み合わせたビジネスを考えています。例えば,アーカイブはDVDで販売して,最新版が見たい人はわれわれのサイトにアクセスしてもらうなどといったやり方です。コスト的にはそれほどでもありませんし,プロモーションにもなりますしね。これも,今年中になんとかできればと考えています。

(文中敬称略)

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[中村琢磨, ITmedia]

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