News 2002年3月5日 06:25 PM 更新

3種類のメモリカードに対応した“PCレスプリンタ”ColorioPTシリーズ新製品

エプソンが3種類のメモリカードに対応した“PCレスプリンタ”ColorioPTシリーズ新製品と,新顔料インクを採用したA3ノビ対応機を発表した。また,撮影者のイメージ通りに印刷する同社独自の画像ファイル技術「PRINT Image Matching(PIM)」を機能強化した「PIM II」の開発表明も行われた。

 セイコーエプソンは3月5日,インクジェットプリンタ「Colorio」シリーズの新製品として,3種類のメモリカードが使えるA4対応の「PM-850PT」(3万9800円)と,A3対応の最上位機種となる「PM-4000PX」(9万4800円)を発表した。PM-850PTは3月15日より,PM-4000PXは3月22日より発売される。

3種類のメモリカードに対応した「PM-850PT」

 A4対応インクジェットプリンタの新製品「PM-850PT」は,PCレス印刷機能が強化。コンパクトフラッシュ(CF)/スマートメディア/メモリースティックという3種類のメモリカード用スロットをそれぞれ用意し,アダプタなしでデジカメのメモリカードを挿入することができる。CFカードスロットはTYPE IIに準拠し,マイクロドライブも利用できる。前モデルのPM-790PTではTYPE IIのPCカードスロットを1基搭載し,アダプタを介して各種メモリカードに対応していた。


A4対応インクジェットプリンタの新製品「PM-850PT」

 1998年11月に発売された「PT-100」以来,“PCを使わずに写真プリントが行える”というのがColorio PTシリーズのキャッチフレーズとなっている。メモリカードスロットを本体に搭載することで,PCを使わなくてもメモリカードからダイレクトに印刷できる同シリーズの機能は,PCを使わないデジカメユーザーだけでなくPCユーザーにも好評を博していた。


3種類のメモリカード用スロットを用意

 ただ,最近デジカメで採用が増えているSDメモリカード用のスロットだけは用意されていない。SDメモリカードやマルチメディアカードは,市販のカードリーダを外部接続用USBインタフェースに接続することで,利用できるようになっている。

 さらにこの外部接続用USBインタフェースには,外部記録装置としてMOドライブを接続でき,PCを介さずに写真データのバックアップや,MOメディア上の画像データ印刷が行える。対応するMOドライブは,オリンパス光学工業やアイ・オー・データ機器など5社8製品。「従来機種では,撮影したデジカメ画像を保存する方法がなかったが,これで画像の印刷から保存まで完全なPCレスが可能となった」(同社)。


市販のカードリーダー(左)やMOドライブ(右)を接続できる

 そのほかのPCレス機能としては,用紙やプリントサイズの指定,明るさ・コントラストの補正といったプリンタ操作が可能なモノクロ液晶パネルを本体に装備。また,カラー液晶ディスプレイを搭載したプレビューモニタもオプションで用意しており,PCを使わなくてもプリント画像のチェックやレイアウトをモニタで確認できる。


本体にモノクロ液晶の操作パネルを装備

 印刷機能としては,同社プリンタの人気機能であるロール紙印刷をさらに便利にする「ロール紙オートカッター機構」を標準搭載した。オートカッターは,本体前面の排紙部に取り付け,カットされた印刷物の受け止め機構も用意している。L版の写真サイズと同じ幅127ミリのロール紙に次々と印刷することができ,印刷後にカッターやハサミで一枚ずつ切り取る手間も省ける。好評のフチなし印刷にも対応している。

 また,2880dpiの高画質ながら従来機に比べ約2倍の高速印刷を可能にした。4ピコリットルのインクドットと3サイズの異なる大きさのドットを打ちわけることで階調表現を行うMSDT(マルチサイズドットテクノロジー)を搭載している。

A3ノビサイズ対応の「PM-4000PX」

 PM-4000PXは,次世代顔料インク技術「PXインクテクノロジー」を搭載したA3ノビサイズ対応のインクジェットプリンタ。PXインクは,同社独自開発の顔料インクを進化させたもので,耐光性/耐水性/耐ガス性を強化し,発色性と用紙適応性を向上させた。「この顔料系インク技術は,今後のエプソンインクジェット事業の中心的なテクノロジーとなる」(同社)。


A3ノビサイズ対応の「PM-4000PX」

 印刷機能としては,2880dpiの高解像度に対応し,ロール紙印刷やフチなしプリントも行える。ロール紙オートカッターもオプションで用意している。

 発表会では,撮影者のイメージ通りにデジカメ画像を印刷する同社独自の画像ファイル技術「PRINT Image Matching(PIM)」を機能強化した「PIM II」の開発表明も行われた。従来のPIMにはなかった「ノイズ除去機能」や「撮影シーンカスタム設定」といった設定項目が追加されており,「デジカメ画像情報をより綿密に反映できる」(同社)という。2002年6月以降をめどに,同社ホームページからのダウンロード開始を予定している。

 現在,業界標準の画像ファイル規格としては「Exif」という国際規格があり,ほとんどのデジカメがこれを採用して画像や撮影情報を記録している。さらに,先月末には,現行のExif2.1をバージョンアップした「Exif2.2」が発表され,今年4月初旬には正式規格として認定される見通しだ。

 デジカメの画像ファイル規格がExif2.2で標準化されようとしている流れに逆行するかのようなPIM IIの発表だが,セイコーエプソンの木村登志男専務は「デジカメが急速に普及してきているが,当社はデジカメユーザーのイメージ通りに撮影画像が印刷できるPIMという技術を,業界に先駆けて2001年3月に発表した。PIMがきっかけとなって,そのエッセンスを取り入れたExif2.2が先日制定された。我々も積極的にExif2.2をサポートしてく予定だが,機能的にはExif2.2だけでは十分ではない。我々は,PIM IIをExifにアドオンするカタチで提供していく。デジカメメーカーにも賛同を得られると思っている」とし,PIM IIとExif2.2はあくまでも補完関係にあることを強調した。

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[西坂真人, ITmedia]

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