News 2002年7月3日 11:08 PM 更新

プラズマTVの大型市場は30インチ台、インチ1万円の実現は2003年

薄型大画面TVの主役として期待されている「プラズマTV」。フラットパネルディスプレイ製造技術展の基調講演で、プラズマTVの製品動向や技術課題、将来展望などが語られた

 薄型大画面TVの主役と期待される「プラズマTV」。“普及元年”になった2001年に続き、今年もW杯需要を追い風にして、市場を順調に拡大している。

 ビッグサイトで6月3日から開催したフラットパネルディスプレイ製造技術展(ファインテック・ジャパン)の基調講演で、富士通日立プラズマディスプレイ副社長の角田義人氏が、このプラズマTVの製品動向や技術課題、将来展望などを語った。

 PDP(プラズマディスプレイパネル)の出荷台数は、2001年がワールドワイドで約35万台。前年(18万台)のほぼ倍増という伸びを見せた。だが、その内訳は、業務用が20万台に対してTV用(一般向け)が15万台と業務用が中心だった。しかし角田氏によると、2002年はTV用が業務用を追い越し、出荷台数も80万台と大きく拡大。さらに2005年には、500万台市場に成長するという。「500万台のうちTV向けが8割を占めるなど、PDPが一般に広く普及していく」(角田氏)。


2005年には500万台に達するPDP市場

 普及の原動力になるのがコストダウン。プラズマTVの本格普及には、「1インチ1万円」が1つのターニングポイントといわれている。現時点でも、WVGA(800×480)タイプでは1インチ1.2万〜1.3万円台にまで価格が下がっているものの、大画面が特徴のプラズマTVでは、高精細なハイビジョンタイプが今後主流となっていくとみられている。

 現在、32インチのハイビジョン機で実売50万円以下のものが登場している。このように、PDPとして比較的小さな画面サイズでは1インチ1.5万円となっているが、40〜50インチクラスになると1インチ1.8万〜2.3万円となり、製品価格は100万円前後とまだまだ高嶺の花だ。

 ハイビジョンタイプの“1インチ1万円”は、いつごろになるのだろうか。「PDPモジュールの直材費では、1インチ2万円以上だった2000年を100%とすると、2002年は65%、2003年には55%になると見込んでいる。つまり、今年末には1.2万円/インチぐらいになり、来年末には50インチのハイビジョンタイプでもインチ1万円を達成する」(角田氏)。


2003年末には、インチ1万円を達成

 大画面化が容易なプラズマTVは、40インチ以上が主流になっていくといわれているが、角田氏によると、30インチ台というプラズマTVとしては小型に属するサイズに対してのニーズが市場で高まっているという。

 もともと欧州や日本では、住宅スペースなどからTVは42インチ以下のニーズが高いが、角田氏によると、調査会社が行ったプラズマTVの購入意思調査では、全体の7割以上が32〜37インチを求め、その中でも最適サイズは32インチと答えたユーザーが1番多かったという。ちなみに40インチ以上はわずか12%だった。


プラズマTV小型サイズのニーズが高まっている

 「欧州や日本は、30インチ台にプラズマTVの大型市場がある。ブラウン管のリプレースとして、30インチ台のボリュームゾーンを拡大することで、小型の市場を創生すれば、連動して40〜50型という既存市場も急速に広がる。30インチ台は、徐々にインチアップしている液晶TVと競合するが、このゾーンはマーケットとしての規模が大きいので、十分共存できる」(角田氏)。

関連リンク
▼ フラットパネルディスプレイ製造技術展

[西坂真人, ITmedia]

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