News 2002年9月19日 10:39 PM 更新

映像/音声を液晶TVにワイヤレスで伝送――東芝「液晶“FACE”」

東芝が液晶TVとプラズマTV6機種を発表した。注目は、テレビやビデオの映像/音声をモニタにワイヤレスで伝送してくれる「液晶“FACE”ワイヤレス」だ

 東芝は9月19日、液晶TV「液晶“FACE”」シリーズ3機種とBS・110度CSデジタル放送対応プラズマTV「プラズマ“FACE”」3機種の計6機種を発表した。全機種オープン価格で、11月1日から順次発売する。


ワイヤレス視聴を可能にした「液晶“FACE”ワイヤレス」

 新製品で注目したいのは、デジタル無線伝送でワイヤレス視聴を可能にした「液晶“FACE”ワイヤレス」シリーズだ。モニタとは別体になったワイヤレスステーションに、映像や音声をMPEG2データに圧縮して無線で伝送する機能を装備。ワイヤレスステーション側にTVアンテナやDVDプレーヤーなど外部AV機器を接続すると、テレビやビデオの映像/音声をモニタにワイヤレスで伝送してくれる。


ワイヤレスステーション(下)が映像/音声をモニタ(上)にワイヤレスで伝送してくれる

 データの送受信には2.4GHz帯(IEEE802.11b準拠)の電波を利用するため、データの伝送距離は約30メートル(見通し)におよぶ。「3LDKのマンションや2階建ての木造家屋ならば、どの部屋でもワイヤレスで映像を楽しむことができる」(同社)。

 ユーザーは液晶モニタだけを抱えて移動し、電源コードをコンセントに差すだけで、電波の届く範囲ならば家中どこの部屋でもTVやDVDを楽しむことができるというわけだ。無線伝送の実効転送レートは約6Mbpsだが「地上波やDVDの映像なら問題ない転送スピード」(同社)だという。


家中どこの部屋でもTVやDVDを楽しむことができる

 もっとも外部AV機器を操作するリモコンの赤外線信号は、見通しがきかない場所では使えない。移動先から操作ができなくなってしまうのだ。これでは役に立たない。

 この問題を解決するため、液晶“FACE”ワイヤレスでは、外部AV機器のリモコン信号をデジタル無線で伝送する「リモコンパススルー機能」を装備。モニタにリモコンを向けて操作するだけで、ワイヤレスステーションに接続されたDVDプレーヤーやBSデジタルチューナーを離れた部屋から操作できる。

 液晶パネルには、応答速度が16ミリ秒と「業界トップクラス」(同社)を実現した新開発の「ハイスピードレスポンスパネル」を採用。「TVは1画面が表示されるのに16ミリ秒かかるので、応答速度が遅いと速い動きの時に映像が2重になってボケてしまう。だが画面表示と同じ応答速度のハイスピードレスポンスパネルなら、速い動きでもクッキリと表示できる」(同社)。

 また、引き締まった黒と低反射を可能にする新しいコーティング処理「NEWブラックコート」を採用した。


高速応答速度とNEWブラックコートを採用した新開発の液晶パネル

 液晶“FACE”ワイヤレスは、20V型の「20LF10」(店頭予想価格23万円前後)と14V型の「14LF10」(同16万円前後)の2機種を用意。また、ワイヤレス伝送機能を除いた20V型の液晶“FACE”「20LC10」(同17万円)もある。

プラズマ“FACE”


BS・110度CSデジタルプラズマTV「プラズマ“FACE”」

 BS・110度CSデジタル放送対応プラズマTV「プラズマ“FACE”」は、セット輝度が420カンデラ/平方メートルと、「業界トップクラス」(同社)となる新開発の高輝度・高コントラストプラズマパネルを採用。BSデジタル/110度CSデジタル/地上波アナログと3つの放送信号を1チップでフルデジタル処理する独自開発のLSI「CONQUEST II」や、プラズマTV専用の映像処理回路「プラズマピクチャープロセッサー」を搭載した。

 プラズマ“FACE”は、50V型の「50PS300」(店頭予想価格110万円前後)、42V型の「42P3000」(同75万円前後)、35V型の「35P3000」(同63万円)の3機種が用意されている。

 「1チップ化したフルデジタル処理LSIをイチから開発できるのは、国内でも数社に絞られる。さらに当社は、ディスプレイの性能をフルに引き出す映像処理技術をこれまで培ってきた。今後は、商品ラインアップを充実・強化し、薄型TV事業に注力。プラズマTVで30%、液晶TVで25%のシェア確保を事業目標としている」(同社常務・デジタルメディアネットワーク社副社長の山崎銀蔵氏)。

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[西坂真人, ITmedia]

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