News 2002年10月1日 10:04 PM 更新

急ピッチで開発が進む次世代光ディスクレコーダ――CEATECレポート(2/2)


前のページ

 Philipsでは、レコーダの試作機とBlu-ray Discの技術を応用した「SFFO(Small Form Factor Optical disc)」が出品されていた。


Philipsが開発したBlu-ray Discレコーダの試作機

 SFFOは、同社の開発したわずか直径3センチのメディアを採用した世界最小の次世代小型光ディスクストレージ。記録容量は1Gバイトで、使用用途は、ポータブルオーディオ機器やPDA、携帯電話、ノートパソコン、デジタルカメラおよびビデオカメラなどのポータブル機器が想定されている。

 ドライブも参考出展されており、こちらは、幅34ミリ、厚さは約7ミリしかない小型ドライブ。世界最小の対物レンズと駆動装置を採用することでこのサイズを実現したという。

 SFFOはまだ規格化されたものというわけではなく、同社では、「今後、規格化を進めていきたい」と話している。3センチというメディアのサイズについても、「現在はこのサイズだが、規格化されたわけではないので、製品化する場合は変更になる可能性もある」(同社)。


Philipsの開発したSFFO試作機。メディアは直径30ミリとコイン大の大きさをしている

 ビクターでは、自社開発の開口数0.85のBlu-ray Disc用のレンズとそれを採用したレコーダの試作機の再生デモを行っている。同社によると、自社開発したレンズは、作動距離はわずか「0.4ミリ」で、実際の製品でも採用する予定という。今回の試作機では、日亜化学製のレーザーを採用しているということであった。

 また、単層で25Gバイト、2層で50Gバイトの容量を持つBlu-ray Disc用の自社開発メディアの展示も行っており、カートリッジは、松下電器産業同様に記録面のみを保護するタイプのものであった。


ビクターの開発したBlu-ray Discレコーダの試作機。この製品だけ、カートリッジに納められていないむき出しのメディアが再生されていた

 パイオニアでは、Blu-ray Disc互換の再生専用メディアとそれを使用した再生デモが行われていた。展示されている再生専用メディアは、反射層が付けられた状態でも「透けて」見えるのが特徴。同社によると、「この構造でも再生に必要な反射率を得ることができ、Blu-ray Discと同等かそれより少し高い程度の反射率を得ることができる」という。


パイオニアが開発したBlu-ray Disc互換の再生専用ディスク。反射層があってもメディアの裏に手を回すと透けて見える

 東芝では、DVDフォーラムで現在審議中の0.6ミリの保護層を採用した次世代DVDレコーダの試作機の再生デモとメディアの展示が行われていた。次世代DVDレコーダの試作機は、日亜化学製のレーザーが採用されており、再生のみで記録はできないというものだった。

 また、同社によると「DVDフォーラムでは0.6ミリの保護層を採用した次世代DVD規格は、順調に審議が進み、現在、メディアの検証を行っている段階にある」という。年内に規格化が終了するかどうかは分からないが、駆け足で審議を行っていることは間違いないようだ。


東芝が開発した0.6ミリの保護層を採用した次世代DVDレコーダの試作機

 さらに同社では、DVDフォーラムで現在検討が進められている片面2層8.5Gバイトの現行DVDメディアにハイビジョン並みの映像を収めたディスクとそのレコーダの試作機が展示され、それを使用した再生デモが行われていた。こちらは、試作機といっても完成度が高いもので、規格化が終了すれば、すぐにでも量産できるといった感じのものであった。


DVDフォーラムで検討が進んでいる現行の片面2層メディアのDVDメディアにハイビジョンを記録したディスクの再生に対応したレコーダの試作機

 各社で展示されている波長405ナノメートルの青紫色レーザーを使用した次世代光ディスクレコーダは、製品化に向け、開発が急ピッチで行われていることを印象づけるには十分の出来だった。特にソニーの意気込みはすばらしく、これだけを見れば、製品化がすぐにでも行えるのではと思えるほど。次世代光ディスクは、その製品化に向け、順調に開発が進んでいるようだ。

関連記事
▼ 特集:CEATEC JAPAN 2002

[北川達也, ITmedia]

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

前のページ | 2/2 | 最初のページ