News | 2002年11月11日 09:58 PM 更新 |
11月11-12日、東京・有楽町の東京国際フォーラムで「Universal Plug and Play(UPnP) Forum Asia Summit」が開催されている。UPnPに特化したこのカンファレンスは、ソフトウェア/ハードウェアメーカーの開発者を対象にしたもので、UPnPのコアテクノロジーやUPnPの現状、アプリケーションテクノロジー、UPnPデバイス設計などが紹介されている。
基調講演では、Microsoft東アジアWindows部門製品開発担当の加治佐俊一氏が、次世代のネットワークデバイスとしてのUPnPの可能性について語った。
北米中心で行われてきたUPnP Forumのカンファレンスが、今回初めてアジアで開催された。加治佐氏は「デジタル家電では日本や韓国などアジアの製品が先進的で、ブロードバンドやワイヤレス、モバイルといった分野でも世界をリードしている。アジアでの(UPnP Forumの)カンファレンス開催は、当然の流れ」と語る。
そのアジアで今、問題となっているのが「IPの枯渇」だ。UPnPによって、PCやネットワーク機器だけでなくあらゆるデジタル家電がIPを持ちネットワークにつながっていく。特にIPの割り振りが少ないアジアでは、UPnPの実現にはIP枯渇問題は避けて通れない。
この点について加治佐氏は、UPnPがIPv6をサポートしていることを強調する。
「UPnPをサポートしたWindows XP EmbeddedとWindows CE.netバージョン4.0の出荷が今年の2月に始まって、UPnPの本格普及が始まった。Windows CE.netでは、今夏にリリースしたバージョン4.1でIPv6をサポートしており、Windows XP Embeddedでは今秋のService Pack 1の提供によってサポートが始まる。次世代のネットワークを開発する近道が、(UPnPやIPv6をサポートする)これらのOSを使うこと」(加治佐氏)。
今後のデバイストレンドについて加治佐氏は、PCとデジタル家電との垣根がなくなって全てのデバイスがネットワークでつながる世界になっていくが、その一方でPCとデジタル家電がホームネットワーク内でいかに簡単かつ安全に接続できるかが重要になってくることを指摘。「それを解決するのがUPnP」(加治佐氏)。
UPnPは、IPネットワークに接続されたデバイスが相互に自動認識して相互運用を実現し、デバイス同士のダイナミックなP2Pを可能にする。PCやPC周辺機器だけでなく、ビデオカメラやオーディオといったAV機器、冷蔵庫やエアコンなどの家電、携帯電話、ホームサーバなどさまざまなジャンルの製品をサポートできるのが特徴だ。
「UPnPはIPを利用する。つまり、IPパケットを流せるネットワークなら、それはUPnPが使えるということ。物理層に依存しないそのネットワーク構成は、すべてのネットワーク機器が1つのセグメントのネットワークに存在することになり、シンプルかつ強固なネットワークになる」(加治佐氏)。
さらに加治佐氏は開発者サイドのメリットとして、プログラミング言語など開発ツールの選択肢の豊富さや自由度、オープン性、ロイヤリティフリーなどを挙げる。
「UPnPはプロトコルの定義が分散オープンネットワークアークテクチャなので、特定のOSやプログラミング言語、インターネットのような物理メディアから独立している。また、UPnP自体はAPIを指定しないため、OSベンダーがユーザーニーズに合わせて自由にAPIを作成できるのも特徴。UPnPデバイスやサービスの定義は、インターネットベースでの通信規格に基づいて行い、これらはすべて公開している。今後はインタオペラビリティの確保や、実装面で軽いものを目指す」(加治佐氏)。
Microsoftでは現在、Windows MeとWindows XP(Embedded)、Windows CE.netでUPnPのv1(バージョン1)をサポートしているが、次期OS(開発コードネーム「Longhorn」)では、v1とv2(バージョン2)の両方をサポートする予定という。
「MicrosoftはUPnPを強力に推進していく。簡単に接続できるデバイスを作ることで、家庭内や企業でのネットワークの実装を簡略化していくUPnPは、次世代ネットワークのキーテクノロジーとなる。今後、ネットワーク市場はどんどん大きくなる。(開発者の)皆さんと一緒に頑張っていきたい」(加治佐氏)。
[西坂真人, ITmedia]
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