News | 2003年7月2日 02:28 PM 更新 |
東北パイオニア、半導体エネルギー研究所、エルディスは7月2日、3社共同で開発を進めているアクティブマトリックス型有機ELディスプレイの試作機を、同日から開催している「フラットパネルディスプレイ製造技術展」に参考出展。1枚の有機ELパネルで表面と裏面の2表示が行える1画面2表示の「デュアルエミッション型有機ELパネル」を初公開した。
会場で展示されていた試作機は、2.1インチ(176×220ピクセル)で約26万色の表示が行える有機ELパネルを、携帯電話を模したモックアップに組み込んで展示。静止画や動画の表示は、表側が鏡像となって裏側に表示される。
表裏の鏡像反転表示や、回転表示も可能。展示された試作機では、表側のサブディスプレイ表示を鏡像反転と90度回転させ、横画面で表示するデモンストレーションも行われていた。
デュアルエミッション型の有機ELパネルは、半導体エネルギー研究所が開発したもの。厚さ1.5ミリの超薄型有機ELパネルを使って、1枚のパネル(1画面)でトップエミッション(表側表示)とボトムエミッション(裏側表示)の2表示を行える。
半導体エネルギー研究所代表の山崎舜平氏は「1画面2表示が可能なデュアルエミッションは、薄型・軽量で自発光デバイスである有機EL独特の機能。液晶での両面表示は、理論的にできない。0.7ミリのガラス基板を使って1.5ミリという薄さに収めており、モバイル端末に最適。裏(メイン)と表(サブ)の両方のディスプレイで同じ画面を見ることができる」と説明する。
今年3月に、エイディシーテクノロジー(名古屋市)が「2画面を有する携帯電話に関する特許」を取得したと発表。メイン液晶ディスプレイと背面ディスプレイを持つ携帯電話端末は、同特許にほとんど抵触しているとされ、“2画面表示”が携帯電話の主流になりつつある中で大きな話題を呼んでいた。
今回試作されたデュアルエミッション型有機ELパネルを携帯電話に応用すれば、メインディスプレイの表示と背面ディスプレイの表示が有機ELディスプレイパネル1枚で行うことが可能となり、「エイディシーテクノロジーの“2画面特許”に抵触しない可能性が高い」(山崎氏)という。
偏光板を使った非透過型のほか、有機ELパネルの向こう側が透けて見える透過型も可能。携帯電話以外にもさまざまなアプリケーションに応用できそうだ。
「実用化には封止技術の向上など、信頼性を高めるための課題が残っているが、本格的な開発を始めれば、1年後ぐらいには可能。展示会の出展でユーザーの反応を見て、事業化への検討を行いたい」(山崎氏)
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[西坂真人, ITmedia]
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