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最安「1分10円」も auが新料金コース導入、端末高く料金安く

» 2007年10月04日 18時09分 公開
[ITmedia]
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 KDDIは10月4日、新料金サービス「au買い方セレクト」を11月12日から導入すると発表した。従来と同様に安価に端末を購入できるコースに加え、端末購入費は高くなるが、その分基本料金と通話料金が安くなるコースを加入者が選べる。

 携帯電話会社が販売店に支払われっている販売奨励金(インセンティブ)が通話料に跳ね返っており、端末の機種変更をあまりしないユーザーにとって不公平な料金になっている──という批判を受けて導入する。NTTドコモも新料金プランを12月に導入する計画だ。

1分10円の業界最安通話料も

 au買い方セレクトで選べるのは、従来と同様の「フルサポートコース」と、端末購入費は高いが、通話料が安くなる「シンプルコース」の2つ。

 フルサポートコースは端末購入時、同じ端末を2年使うことを条件に、店頭販売価格から2万1000円(税込み)を「購入サポート」として補助し、安価に購入できるようにする。その代わり、2年以内に解約・機種変更などをする場合は「解除料」として、12カ月以内なら1万8900円などの支払いが必要になる。

 ただしヘビーユーザー向けの配慮も。利用額に応じて付与する「auマンスリーポイント」の付与率(現行は100円ごとに一律2ポイント)を、2〜3.5倍に引き上げる。貯まったポイントはフルサポート解除料の支払いにも充てられるため、「使えば使うほど買い替えタイミングを早くできる」(KDDIの高橋誠常務)という仕組みだ。

 シンプルコースは、「購入サポート」がないため、購入費は店頭販売価格から一律2万1000円高くなる。その分、同コース向けに通話料を安くした新料金プランも導入する。

 「シンプルプランL」は基本使用料が2625円/月・通話料が10.5円/分で、通話料は国内最安としている。「シンプルプランS」は基本使用料が1000円/月・通話料が15円/30秒とし、基本料金はソフトバンクモバイルのホワイトプラン(980円/月)に迫った。

 現行料金では、通話料が15円/分の「プランLL」があるが、基本料金は「誰でも割」利用時で7875円/月。新導入するシングルプランLは基本料金をその3分の1に抑え、通話料も3割以上安くなる計算だ。

 販売店に支払っている販売奨励金を減らす分、ユーザーに料金で還元する。高橋常務は「最近議論されている『分離プラン』に応じたもの」と説明している。

 申し込みは新規契約か機種変更で端末を購入する際。フルサポートコースで2年経過すれば、シンプルコースを選択することもできる。

中長期的には収益プラス要因と

photo 高橋常務

 総務省の「モバイルビジネス研究会」は販売奨励金について議論し、「販売奨励金の負担額を通話料に上乗せすることで回収しており、長く同じ端末を使っている人が損をする仕組み」と指摘し、販売奨励金と通話料を切り離した「分離モデル」の導入などを携帯電話会社に求めた。

 高橋常務は「買い替え頻度による不公平感が課題の1つだった」と問題を認める。端末購入補助金を明示と利用期間の縛り、一定期間経過後に割安料金を選択できるフルサポートコースと、端末は高い代わりに通話料を安くするシンプルコースの導入で、こうした不公平感を解消するのが新サービスの狙いだ。

 ソフトバンクモバイルが割賦販売と組み合わせたモデルを導入しているが、高橋常務は「利用期間の長さによる不公平感を解消できていない。決して『分離モデル』ではない」と指摘する。

 au事業への収益インパクトは「ほとんどないと思う」。今期はポイントを引き当て済みだが、収益には影響ないとの見通し。ひんぱんな買い替えが是正されればコスト負担が減らせるため、中長期的には収益にはプラスになると見込んでいる。

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