「SD10」は、撮像素子「Foveon X3ダイレクトイメージセンサー」を搭載したシグマ製レンズ交換式デジタル一眼レフカメラの第2弾である。まず、米Foveon社が開発したこのユニークなCMOSイメージセンサー、Foveon X3について説明しておきたい。
一般的なデジカメの撮像素子は、画素の表面にカラーフィルタを載せて光のカラー感度を得ている。1画素に適用されるカラーフィルタは1種類。つまりRGB原色フィルタであれば、1画素に対して赤(R)、緑(G)、青(B)のいずれかを割り当てているのである。割り当て比率は、ベイヤー配列方式の場合は、赤と青がそれぞれ25%、緑は50%である。つまり、たとえばCCD自体の画素数は600万だとしても、赤と青はそれぞれ150万画素、緑は300万画素分の情報量しか取り込めず、不足する色要素は補間処理することによってCCDと同じ画素数のフルカラー画像を作り出しているのである。
これに対し、Foveon X3は赤、緑、青の3層のピクセルセンサーを一体化しており、1画素でフルカラーの情報を取り込むことができる。このため、イメージセンサーの有効画素数は343万画素(2268×1512ピクセル)ながら、各画素が3層分(×3)の色情報を取り込めるため、約1030万画素に相当する解像力を持つのである。さらに、補間処理による疑色ノイズが発生しないため、クリアで鮮明な色を再現できるという特徴もある。
Foveon X3は前機種のSD9にも搭載されていた。今回のSD10では搭載CMOSイメージセンサーが600万画素×3層に発展することが期待されたが、それは成らなかった。当面はSD9と併売されるとのことだ。進化した主なポイントは次の通りである。
グリップが握りやすい形状になった
このほか、露出補正単位が1/2から1/3EVステップに変更されたり、オートフォーカス精度が向上するといった細かな改良が施されている。しかし多くのスペックは従来通りであるため、マイナーなモデルチェンジ、という評価が多数派のようである。
SD10の主要スペック
撮像素子 | FOVEON X3 |
有効画素数 | 約1029万画素(2268×1512×3層) |
レンズマウント | シグマSAバヨネットマウント |
実撮影画角(35mmカメラ換算) | レンズ表記の約1.7倍の焦点距離に相当 |
対応レンズ | シグマSAマウントレンズ群 |
感度 | ISO100/200/400/800相当 |
オートフォーカス | TTL位相差検出方式 |
最大画像解像度 | 2268×1512ピクセル |
シャッタースピード | 1/6000〜15秒(ISO100,200)、1/6000〜4秒(ISO400,800)、バルブ(ISO100、200:15秒まで、ISO400、800:4秒まで)、拡張モード1/6000〜30秒(ISO100〜1600)、バルブ(30秒まで) |
露出補正 | あり |
内蔵ストロボ | なし |
液晶モニタ | 1.8インチ |
動画記録機能 | なし |
記憶メディア | コンパクトフラッシュ(マイクロドライブ対応) |
画像ファイル形式 | ロスレス圧縮RAW(12bit) |
バッテリー | CR-V3リチウム電池×2または単3型電池(ニッケル水素、ニッケル)×4 |
PCとのインタフェース | IEEE 1394、USB 1.1 |
対応OS | Windows 98SE/Me/2000/XP、Mac OS 9.2.1以降、Mac OS X 10.1.3以降 |
サイズ(W×D×H) | 152×79×120mm |
重量 | 785g |
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