逆に「MCE2004マシンってそんなに高いスペックのマシンじゃなくてもいいんじゃないか? ほかのマシンを選ぶということは、高性能マシンを無理やり買わされているのではないか」という気がしないでもない。
実際、もっともCPUパワーを消費するはずのビデオ録画は、ハードウェアエンコードなのでそれほどいらないし、MCE2004のインタフェースである「メディアセンター」には光学記録がないのでビデオの編集等を行わないから、高スペックのCPUを生かす再圧縮もない。
DVD Videoの再生、つまりMPEG2のデコードも、ローエンドマシンでも今は余裕にこなせるので、現在のMCE2004マシンを使う分には、高クロックマシンは不要ともいえる。
MCE2004マシンを単なるHDDレコーダーとして見るならば、VT-50程度のスペックでもなんら問題ないように思える。しかし「ホームエンターテイメントサーバ」という目標からすると、家庭内ネットワークビデオ配信を行う際、再エンコードを行うのが望ましい。だが現在のWindows Media Center 2004にはその機能がない。
エントリー製品でメディアセンターを利用して、DVDを見たりテレビを見たりといった程度の使い方をする、あるいは日本のメーカーが強い、MCE2004以外の「TVパソコン」を使って録画したビデオをDVDに焼いたり、というのが、リビングでのPCの使い方となるのかもしれない。
先日開催された「2004 International CES(Consumer Electronics Show)」におけるビル・ゲイツ氏の講演では、ホームサーバ用途を具現化する「Windows Media Center Extender」が公表された。
ホームサーバとしてWindows XP Media Center Editionマシンを家のどこかにおいて、あとはテレビとホームネットワークを通じてパソコンにアクセスする使い方が具現化するならば、確かに当初の話通りミッドクラス以上のCPUが必要となる。
また、MCE2004がWindows XP Professionalベースである理由も、将来「リモートデスクトップ」機能を使うならば納得できる。
とは言うものの、結局のところ、現在発売されているMCE2004マシンでこの将来像をそのまま実現できるかどうかは、まだ先にならないとわからない(少なくともリモートデスクトップ経由でビデオ再生を円滑に行うためには、Windows XP SP2が出るのを待つ必要がある)。
つまり、メディアセンターの機能を楽しむだけなら、VT-50程度のスペックでも十分だ、ということだ。
VT-50はHDDが80Gバイトで光学記録ドライブなし、というスペックのため、せいぜい1週間のビデオを週末にまとめて見る、という使い方しかできないかもしれない。
しかし、メディアセンターを体験したいという入門用マシンがVT-50の狙い目とも思われ、現実に即したマシンを購入するなら手ごろなマシンだと思う。
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