HPドがTablet PC第1弾として発売したTC1000は、ノートPC、Tablet PC、デスクトップPCの3スタイルを必要に応じて切り替えることが可能という斬新なコンセプトを持って登場した。元々Tablet PCコンセプトが発表される前から独自に開発されたTC1000は、初めてのTablet PCとは思えない完成度だった。その後継機はさらに熟成が進んでいる。
日本ヒューレット・パッカードがTablet PC第1弾として発売したのは、旧コンパックが開発していたTC1000だった。そのTC1000は、ノートPC、Tablet PC、デスクトップPCの3スタイルを必要に応じて切り替えることが可能という斬新なコンセプトを持って登場した。元々、Tablet PCのコンセプトが発表される前から、独自に開発を続けてきたというTC1000は、初めてのTablet PCとは思えない完成度を示していた。
そのTC1000の後継機種として発売されたのが本機、TC1100である。見た目には従来機種とほとんど差違はないが、その中身は全くの別物。TC1000で採用していたトランスメタのCrusoe TM5800/1GHzは、TC1100ではインテルの超低電圧版Pentium M/1GHzへと改められている。
よく知られているように、Crusoeは低消費電力で発熱が少ないが、アプリケーションの動作レスポンスが悪い。特にI/O性能の低さが目立ち、HDDアクセス時のもたつきを嫌うユーザーが多かった。実際にツボにはまった時のパフォーマンスは言われているほど、あるいはベンチマークの数値ほどには悪くはないのだが、体感速度が悪い。同じTM5800でも改良が施されたバージョンでは、かなり体感速度も向上していたのだが、インテルも消費電力あたりのパフォーマンスが高いPentium Mを投入したことでイメージ回復とはならなかった。
TM1100は、そうしたパフォーマンス面での不満を解消するに当たって超低電圧版Pentium Mを採用している。この効果は大きく、アプリケーション起動や操作レスポンス、I/O性能などは確実に向上している。メモリも標準512Mバイト、最大2Gバイト(SO-DIMMスロット×2)と強化されており、グラフィックも独立チップのnVIDIAのGeFORCE4 Go 420を採用。
CrusoeからPentium Mへの切り替えでは、基板面積や熱設計容量が足りなくなることも十分に予想されたが、見事に小型筐体にハイパフォーマンスを押し込めた。ベンチマークなど、高負荷のソフトウェアを連続稼働させると、多少、筐体に熱を感じることもあるが、一般的なビジネス系アプリケーションを動かすだけであれば、不快さを感じることはない。
ハードウェアとしての使いやすさに視点を移してみると、従来機との変化は見られない。筐体デザインはオプションも含めてTC1000と同じで、以下に紹介する特徴もTC1000と基本的に同じである。
本機は基本的にピュアタブレット型のTablet PCで、ディスプレイとプロセッサ部が一体になった構成。この状態の重さは1.4キロで、TC1000の40グラム増しと誤差範囲程度の差に収まっている。これをデバイスベイやUSBハブが搭載されたドッキングステーションに取り付けるとデスクトップPCとして、キーボードユニットを取り付ければノートPCとしても利用できる。
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