NECの「VALUESTAR T」シリーズが新しくなった。本シリーズは、TVチューナー付きビデオキャプチャーカードや、記録型DVDドライブを搭載するスリムデスクトップPCだ。
VALUESTAR Tシリーズは「パーソナル」向けのカテゴリに分けられているので、基本的には個人での利用をターゲットにしている。NECのファミリー向けのカテゴリとしては「VALUESTAR F」シリーズがある。
しかしVALUESTAR Tシリーズも、大画面液晶となると、1人で使うというよりは家族みんなと一緒に、リビングで使用するホームAVマシンといった趣を強く感じる。本体のデザインもAV機器ライクで、PCであることを感じさせないようになっている。
新モデルにおける最大の特徴は、最上級モデルの「VALUESTAR T VT900/8D」(以下、VT900/8D)にTVチューナーを内蔵する23インチのワイド液晶を搭載した点だ。今回評価したのはこのVT900/8Dだが、大画面液晶のためか、価格が37万円前後と高価である。
VT900/8DのチップセットはIntel 865Gで、前モデルからの変更はない。このチップセットはメインメモリとしてPC 3200対応のDDR SDRAMが利用でき、デュアルチャネルアクセスに対応しているので、6.4Gバイト/秒という高速なメモリアクセスが可能だ。
同じチップセットを搭載する製品の中には、標準でメモリモジュールが1枚しか搭載されておらず、シングルチャネルアクセス(3.2Gバイト/秒)となり、メモリアクセス性能が半減してしまう製品もある。
VT900/8Dは256MバイトのPC3200対応DDR SDRAMを2枚(512Mバイト)搭載しているので、この広帯域が利用できる(最大2Gバイト搭載可能)。
なお、メモリスロットは2つ用意されているが空きがないため、メインメモリを増設したい場合は、既存のメモリモジュールを取り外し、差し替えることになる。スリムデスクトップなので仕方がないとはいえ、メモリスロットに余裕がない点は残念だ。
CPUはハイパースレッディング・テクノロジに対応したPentium4/2.80C GHzで、前モデル(Pentium4/2.60C GHz)からクロックが若干上がっている。スリムデスクトップのCPUとしては必要十分な性能であると言えよう。
参考までにベンチマークテスト結果を示しておく。
VT900/8Dのチップセットにはグラフィックス機能が内蔵されているが、それを利用せず、別途LowProfile仕様の外部AGPスロットにグラフィックスカードを搭載している。
グラフィックスチップはATI Technologiesの「RADEON 9600SE」だ。RADEON 9600SEはRADEON 9600XTを低クロック動作にしたモデルで、コアクロックが325MHz、メモリクロックが400MHzと、RADEON 9600XTのコアクロック500MHz、メモリクロック600MHz動作と比べると性能が落ちてしまう。
しかし現在の3Dゲームであれば、十分快適に動作させることができる性能は持っているし、低クロック動作のおかげで、ヒートシンクだけのファンレス化が実現されているのはうれしい。グラフィックスカードの冷却ファンという騒音源をなくすことができるので、静音化につながるからだ。
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