遠隔電子会議システムによるTCO削減とビジネススタイル革新をタブレットPCで実現:NECシスレポート

出張や会議に関する経費削減、コミュニケーション向上による意思決定のスピードアップ、さらに距離や場所の壁を越えた自由なワークスタイルの実現。NECシステム建設の業務改善の鍵となったのが、タブレットPCだ。

» 2004年01月27日 20時57分 公開
[ITmedia]

従来のTV会議システムとタブレットPCを融合した遠隔電子会議を実現

 NECシステム建設は、交換機やPBX事業などの音声システムの提供、LAN/WAN構築、さらにファシリティサービスや保守運用サービスなどにおいて、確かな実績や技術・ノウハウを積み重ね、2003年12月、創立50周年を迎えた。

 いま、市場では「ブロードバンド&モバイル」「ユビキタスネットワーク」「IP化」などITの進展に伴い、顧客ニーズの多様化やビジネスモデルの変革が急速に進んでいる。NECシステム建設でも、そうした市場の動きや変化にすばやく的確に対応し、『音声・データ・映像』を統合したソリューション提供など、より高い顧客価値の創造や事業領域の拡大を目ざしている。

 そういった背景のもと、NECシステム建設では、社員ひとりひとりの生産性向上や意思決定のスピードアップ、さらにはTCO削減、また『お客様に提供するシステムをまず自らが活用・体験し、検証した上で確かな価値をお届けしたい』という、トップの意思にもとづき、ビジネススタイルの変革を決断。タブレットPC導入による遠隔電子会議や、ユビキタスワークプレイスを実現した。

 いま遠隔電子会議システムは経済性やクォリティに加え、ビジネススタイルの変化などに伴って新たな要求が生まれている。中でも会議室やデスクなど場所に制約されることなく、どこにいても密度の高いコミュニケーションを可能にするモバイル性が注目されている。「場所を選ばず、時には立ったままでも操作できる」「手書きによって思考が深化し、さらに書いた情報を遠隔地同士で同時に共有できる」などの理由で、数あるPCの中からタブレットPCの採用を決定した。

 NECシステム建設では、遠隔電子会議システムと最新のタブレットPCを融合。本社、各地方拠点、そして海外など、24拠点をインターネットで結んだ最先端の遠隔電子会議を実践している。出席者は、カメラ・ヘッドセットを装備したタブレットPCとともに、それぞれ自分のいる場所から、会議に参加。映像や音声、データが自在に駆使できるタブレットPC活用により、会議のスタイルが大きく変貌した。

NECシステム建設の社内システム構成

デジタルデータとペーパーの使い勝手の両立によって、会議やワークスタイルが効率化

 遠隔電子会議では、タブレットPC画面の情報を遠隔地に分散している出席者全員で共有。会議中に修正したデータをリアルタイムで把握したり、その場で浮かんだアイデアを出席者が手書きでメモやイラスト化して、参加者全員のタブレットPC画面上へ、即座に表示することも可能。また会議の席上で出席者全員のタブレットPCに資料を配布したり、無線LANによって会議中でもサーバにアクセスして最新データを入手することもできる。さらに会議終了後には、議事録を直ちに作成して出席者へすばやく送付もできる。

NECシステム建設・情報ネットワークシステム事業部・第三SI部・主任の鷲山光洋氏

 デジタルデータ活用というPCの優位性と、手書きメモの活用などペーパー資料の優位性を1台で両立しているのがタブレットPC。その活用によって会議だけでなく、ビジネス現場におけるワークスタイルにも多くの変化が生まれている。

 「商談現場では、紙の資料と同様な感覚で話が進められるだけでなく、その場でデータを手書きで変更したり、商談先から会社のサーバへアクセスして必要な最新情報をすばやく取り出したりもできます。また手書きした情報を後から検索するのも簡単。手書きメモも、再入力の手間をかけずにそのままテキストデータとして変換して利用できるのも、いいですね」と鷲山主任は語る。

多大なTCO削減効果に加え、ひとりひとりの生産性向上によって、収益力の強化を実現

 NECシステム建設では、事業執行会議や経営会議などの全社会議をはじめ、営業連絡会議や支店長・拠点長会議などの部門会議、さらには社長の年頭訓示や営業・SE部門の遠隔プレゼンテーションなど、24拠点を自在に結んだ遠隔電子会議を積極的に展開。その大きな成果のひとつとして、TCO削減が挙げられる。会議や出張のための交通費・宿泊費の削減、ペーパーレス化による紙資源の低減、さらには移動時間の削減による業務効率アップや生産性の向上などによって、年間で約6,000万円にもおよぶコスト削減を実現している。

NECシステム建設・情報ネットワークシステム事業部・第三SI部・技術課長の佐藤陽一氏

 タブレットPC導入の成果は、コスト削減以外にもさまざまなカタチで現れている。遠隔地同士でも、Face to Faceのコミュニケーションが可能になり、会議参加者全員のすばやい意思統一や意見の活性化が図れるようになった。また、札幌と福岡など遠く離れた拠点同士が、まるでひとつの会議テーブルを囲んでいるような感覚で、共通の顧客に対するアプローチを討議するなど、営業、生産、保守の各部門で、距離を越えた会議が頻繁に行なわれるようになった。

 「薄さ15mm。紙の使用感にこだわったNECのタブレットPCは、我々SEのワークスタイルも大きく変えました。相手にイメージを伝えるため絵を描く時など、以前は席を立って、わざわざホワイトボードに描いたりしていましたが、このタブレットPCなら座ったまま相手の目の前で描けます。その上縮小・拡大も自由ですし、消してしまった部分がすぐ復元できるのも、大きな魅力です」と、佐藤課長は語る。

タブレットPC活用を拡大し、より高いビジネス価値を創造する

 「今後は、タブレットPC活用をさらに拡大して、モバイルビジネスの強化を図るとともに、たとえば出席者以外の人にも会議の結果をストリーミングによって提供したり、タブレットPCに接続したカメラを活用して保守現場の様子や進捗状況などをリアルタイムで本社に送信して、指示や判断の迅速化を図っていきたいと考えています」と、中村課長。

 NECシステム建設では経費削減のみならず、さまざまなビジネスシーンの中で、利益を生み出すための戦略ツールとしてタブレットPC活用を、これからもますます発展させていく予定だ。

NECシステム建設・総務部・総務・管理課長の中村宏氏

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