昨年末に発売した松下電器産業の“LUMIX”「DMC-FX5」は、従来ハイエンド向け機能と思われていた「光学式手ブレ補正」システムを、普及価格帯のコンパクト機に惜しげもなく採用した話題の1台だ。
小型化と高画素化が進む近年のコンパクト機では、これまで以上に“手ブレ”への対策が求められている。“手のひらサイズデジカメ”の1つの方向性を示した注目機を、あらためて実機レビューで紐解いてみた。
同社は2002年10月に発表した200万画素の光学12倍ズーム機「DMC-FZ1」で、光学式の手ブレ補正機能を採用。手ブレが発生しやすい高倍率ズームをサポートするこの機能はユーザーからも高い支持を獲得し、今回のFX5と同時に発表したFZ1/FZ2の上位機種となる4M・12倍機「DMC-FZ10」にも受け継がれた。
一方、“コンパクトLUMIX”「DMC-F1」の後継となる手のひらサイズのFX5は、最大でも105ミリ相当(35ミリ判換算)の望遠でしかない光学3倍ズーム機。一見オーバースペックな組み合わせだが、このような“フツー”のコンパクト機でも、いやむしろ小型ボディでこそ手ブレ補正が大いに活躍するのだ。
そしてその手ブレ補正は、暗所で実力を発揮する。
下の写真は、先日行われたゲームソフト発表会で、照明が落とされた暗い室内でスポットライトだけで照らされているという過酷な撮影条件での1コマ。さらに前方の席は開始1時間以上前から待機していた芸能カメラマンで埋め尽くされて被写体に近づくこともできないという、普通のコンパクトデジカメならお手上げの状況で、手ブレ補正オフとオンで撮影してみた。
美肌を写すために画質を優先させて(実は設定を間違えた)ISO 50に設定したため、1/10秒というスローシャッターになっている。最高倍率の105ミリ相当で撮影しているので、手ブレ発生の目安となる「1/焦点距離」にあてはめると、手ブレが発生して当たり前のシャッタースピードだ。
まったく同じ撮影条件下で手ブレ補正をオンにしてみた。
完全にブレを吸収できてはいないが、最初の写真とは雲泥の差だ。FX5の手ブレ補正は3段分程度のシャッタースピードを補正してくれるようで、このようなスローシャッターでも失敗せずに済む。
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