Windows XP Media Center Editionがやってくる――最終回:ビジュアルテクノロジー VT-100(2/3 ページ)

» 2004年02月19日 19時57分 公開
[小林哲雄,ITmedia]

TV録画よりもCD再生環境を重視するマシンか

 VT-100では、当然ながらデフォルトのインタフェースである「メディアセンター」は利用できるが、DVDメディア用のライティングソフトが一切入っていない。

 他社マシンでは録画したTV番組を書き出すために「SONIC PrimeTime」や「Drug'n Drop」などが含まれているのだが、その代わり「WinDVD Platinum 5 for DVD-Audio」がプリインストールされており、DVD-Audio再生のできる機種となっている。

 ケースや静音化の度合い、初期ソフトウェア構成、そしてサウンドカードから判断すると、VT-100の本質は映像記録ではなくAVセンター、あるいは高級オーディオ機器の一種と判断するのが妥当なようだ。

 VT-100のWebサイトにある説明でも、「ハイエンドAVコンポーネント」、「オーディオマニアがオーディオルームに置きたくなるPC」とあり、本体に添付されるマニュアルにも、CDをリッピングしてオーディオトランスポートに使う方法が詳しくかかれている。要するに「高級CDプレーヤー(DVD-Audio再生能力あり)+付加機能としてのメディアセンター」と捕らえるのが適切なのかもしれない。

 また、これまで紹介したマシンの中では、唯一ブートアップ時にメディアセンターが起動しており、PC用のディスプレイに出力しなくても操作できそうだ。

 VT-100の価格を見ても、これまで紹介したPCが液晶モニタ込みで2〜3台買えるレベルであることを考えると、真のマニア向けと言えるだろう。価格が価格なのでCPUを最高スペックにしても問題ないと思うが、発熱量が上がって静音性が悪くなるのを避けるため、あえてクロックを落としているといった感じだ。

 ベンチマークテストを行って声高に性能を論議するようなマシンではないが、参考のために掲載しておこう。

PCMark2002のベンチマークテスト結果
3DMark2001SEのベンチマークテスト結果
3DMark03のベンチマークテスト結果
FINAL FANTASY XI Official BenchMark2のベンチマークテスト結果

Windows XP Media Center Editionは発展途上

 この連載で、ほとんどのWindows XP Media Center Edition搭載マシンを紹介したが、これまでの感想を述べてみると、本気で製品を投入したというよりは、「実験的」に出した感がある。

 筆者の本音を言えば、「家電的マシン」と言えば、誰でもやりたいことが直感的に分かり、ともかくハングアップしないということが望まれると思うのだが、まだまだ家電レベルの使いやすさには達してないようだ。

 Windows XP Media Center Editionは、日本では始めてお目見えする製品だが、すでに一年前に米国では投入されている。このため、それなりにこなれているのかと思ったが、触ってみるとそうでもない。

 一連のレビューの最中(2003年12月10日)に「重要な更新」(KB830786)が発表されたが、当初は十分なアナウンスがなく、しかもアンインストール不可能という、中級者ならば敬遠しそうな状態で公開されている。

 マイクロソフトに問い合わせたところ「こちらはTVPCに関してノウハウを持っている日本のメーカーを中心に受け取った、機能に関する安定性のフィードバックを反映させて出した修正モジュール」ということだった。

 だがユーザーの立場からすれば、このようなフィードバックを出す時間的余裕がないのは、製品作りとして中途半端なイメージを受け付けかねない。この修正の中には、TV録画が途中でストップするという致命的なバグの修正も含まれている。その後、「赤外線レシーバー用の重要な更新」(KB832418)も出たが、こちらもデフォルトの状態では、場合によってはハングアップするという問題を抱えていたわけだ。

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