10倍ズーム機の決定版?――手ブレ補正/動画/回転液晶の「PowerShot S1 IS」(1/3 ページ)

» 2004年02月27日 23時59分 公開
[西坂真人,ITmedia]

 デジカメの新カテゴリーとして人気となっている“コンパクト高倍率ズーム機”に、いよいよキヤノンが乗り出してきた。

 米国で先日開催したカメラショー「PMA 2004」に合わせて発表された「PowerShot S1 IS」は、コンパクトボディに光学10倍ズームと独自手ブレ補正システムを搭載した話題の1台だ。3月下旬の発売前に実機に触ることができたので、その実力をレビューで探ってみた。

photo 光学10倍ズーム搭載コンパクト機「PowerShot S1 IS」

 近年、10〜12倍の光学ズームを搭載したコンパクト機が人気となっているが、手のひらサイズボディと400ミリ前後(35ミリ判換算)までの望遠の組み合わせで問題となるのが「手ブレ」。ブーム火付け役ともいえる松下電器産業の12倍ズーム機「FZシリーズ」が安定した人気を誇るのは、コンパクトな高倍率ズーム機で光学式手ブレ補正機構を搭載している唯一のモデルだからだ。

 同社は今からちょうど3年前の2001年2月、まだ高倍率ズーム機がそれほど注目されていない時代に、ハイエンド向けの光学10倍ズーム機「PowerShot Pro90 IS」を発売している。銀塩一眼レフEOSシリーズに使われていたシフト式光学手ブレ補正機構「IS(IMAGE STABILIZER)」と10倍ズームの組み合わせで注目されたが、やや大柄なボディ(126.5×83.9×139.1ミリ)や16万円という価格などからヒット商品までには至らず、以後3年間、このカテゴリーで後継機は登場しなかった。

 同社としても久しぶりの高倍率ズーム機であるPowerShot S1 IS(以下S1)は、光学10倍ズームレンズに自慢のISをやはり搭載してきた。

photo

 振動ジャイロで手ブレを検知してブレを打ち消す方向にレンズを移動させる「シフト式防振機構」を採用したISは、シャッター速度にして2〜3段分の補正効果が得られるという。手ブレの危険性が出てくるシャッター速度は一般的には1/焦点距離といわれている。S1に搭載された光学10倍ズームの焦点距離は38-380ミリ相当(35ミリ判換算)なので、例えば最大望遠時にはシャッタースピードが1/400秒以下で手ブレの心配をしなくてはいけなくなるのだが、ISのうたい文句が正しく機能するならば手ブレ警告ラインが1/50〜1/100秒という使いやすいシャッター速度まで下がる計算だ。

小型ボディでの超望遠に強力な武器――IS

 手ブレの危険性があるシーンで、ISの性能を探ってみた。

 撮影シーンとして選んだのは、真っ暗の講演会場でスポットライトだけで照らされている花束。焦点距離は約160ミリ相当なので、シャッター速度は1/160秒以上にしないと手ブレが発生してしまう。開放絞り値の明るいレンズを使ってISO感度を高めない限り、コンパクト機ではこのような暗いシーンでの手持ち撮影は、下の写真のように普通はお手上げ状態だ。

photo IS機能をオフにして160ミリ相当で撮影。手ブレがひどい。プログラムAE、1/13秒、ISO 50、F3.1

 S1搭載レンズの開放絞り値はF2.8-3.1と明るいのだが、ISO 50に設定したためシャッター速度は1/13秒となってしまっている。このシャッター速度では、標準画角時でも手ブレが発生するぐらいなので上の画像は当然の結果だ。だが、同条件でもISをオンにするだけで下のような画像が撮影できる。

photo IS機能をオンにして160ミリ相当で撮影。プログラムAE、1/13秒、ISO 50、F3.1

 まだ若干ブレが残っているが、スポットライトのみの暗い屋内で望遠撮影が手持ちでできるのには驚きだ。160ミリ相当で1/13秒なので、実際には3段分以上のシャッター速度をカバーしてくれたことになる。

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