エプソン“レンジファインダー”デジカメ、30万円弱で今夏登場

» 2004年03月11日 11時32分 公開
[西坂真人,ITmedia]

 セイコーエプソンは3月11日、レンジファインダー式のデジタルカメラ「Epson Rangefinder Digital Camera R-D1」を正式発表した。発売は今年夏頃で、価格はオープン。市場想定価格は30万円弱となる見込みだ。

photo 世界初のレンジファインダー式デジタルカメラ「Epson Rangefinder Digital Camera R-D1」

 R-D1は、今年2月に米国で開催したカメラ展「PMA 2004」で同社が参考出展したもの(別記事を参照)。開発にあたり、レンジファインダー式の銀塩カメラ「BESSA」シリーズを手がけるコシナと協業。ファインダーなど光学系システムをコシナが、デジタル画像処理システムをエプソンがそれぞれ担当した。

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 コシナ「BESSA-R2」をベースにしており、レンズマウントにはVMマウントを採用。ライカMマウントレンズのほか、マウント変換アダプタ(コシナ製M-バヨネットアダプターリング)を使うことで、ライカLマウント(ネジ式)のレンズも利用可能。往年の銘玉など、豊富なレンズ群を使うことができる。ただし、レンズ後玉部分がマウントから20.5ミリ以上後ろに飛び出るタイプのレンズは装着できない。

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 実像距離計式の等倍率ファインダーを新規で開発。レンジファインダーのメリットを生かして、両目で視野を確認することも可能だ。「等倍率ファインダーはデジカメでは世界初」(同社)。高精度でクリアな実像式レンジファインダーは、画角設定レバーの切り替えによって28/35/50ミリ(レンズの実焦点距離)のブライトフレームがファインダー内に表示される。

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 CCDは大型APS-Cサイズ(23.7×15.6ミリ)有効610万画素タイプ(原色フィルター)を使用。35ミリ判換算の焦点距離は約1.53倍となる。記録フォーマットはCCD-RAW(3008×2000ピクセル、12bit、9Mバイト/枚)とJPEG(3008×2000/2240×1488ピクセル)に対応。記録メディアはSDメモリーカード。電源は専用リチウムイオン充電池を使用する。

 背面に大型2インチ(23.5万画素)の低温ポリシリコンTFT液晶ディスプレイを採用。180度回転するフリーアングル機構で、使用しないときは裏向きに収納できる。焦点距離の換算表を背面液晶ディスプレイの裏側に装備した。液晶ディスプレイは画像再生/各種情報表示/撮影画質設定などにのみ利用でき、撮影時のリアルタイム表示はできない。

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 シャッターは電気制御式縦走行のフォーカルプレーンで、30秒〜1/2000秒(バルブも可)のシャッタースピードに対応。シャッターチャージを手動で行うため、巻き上げレバーも備える。露出補正は±2EVで1/3刻み、ストロボシンクロは1/125秒以上(シンクロターミナル装備)。露出モードはマニュアルのほか絞り優先AEを選択可能。

 ただし、オートフォーカス/セルフタイマー/デジタルズーム/マクロ/液晶リアルビュー/音声・動画の記録/ビデオ出力/USB接続・ダイレクトプリントなどは備えていない。

 サイズは142(幅)×88.5(高さ)×39.5(奥行き)ミリで重さは約590グラム(ボディのみ)。レンジファインダーならではの短いフランジバックを生かした薄型ボディだ。

 外装(上下カバー/裏ぶた/LCDカバー)にはマグネシウム合金を採用。レンズを支えるマウントベースやボディシャーシなどは堅牢なアルミダイキャスト製とするなど徹底的に金属化しているほか、各種パーツ類にも金属製のものを数多く使用して重量感あるボディに仕上げている。

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 本体上部には、腕時計のクロノグラフのようなアナログメーターを装備。撮影可能残枚数/ホワイトバランス/バッテリー残量/撮影クオリティといった情報を4つの針で表示するほか、フィルム巻き戻しツマミを模したジョグダイヤルとの組み合わせでホワイトバランスと撮影クオリティを機械的動作で変更できる。また、ISO感度/シャッター速度をダイレクトに設定できるダイヤルを装備。

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 同社製プリンタとの高い親和性を確保した専用RAWデータ現像アプリケーション「EPSON Photolier Ver.1.0」を同梱。サムネイルビューワとエディタを1画面に収めた使いやすいユーザーインタフェースで、大量のRAWデータの一括処理も行える。

 主な仕様は以下の通り。

製品名 Epson Rangefinder Digital Camera R-D1
型式 距離計連動フォーカルプレーンシャッターデジタルカメラ(レンズ交換式)
撮像素子 APS-Cサイズ(23.7×15.6ミリ)有効610万画素タイプ(原色フィルター)
記録フォーマット RAW(3008×2000ピクセル、12bit、9Mバイト/枚)、JPEG(3008×2000/2240×1488ピクセル)
レンズマウント VMマウント
ファインダー形式 実像式距離計式等倍逆ガリレオ透視ファインダー
ファインダー倍率 1.0倍(完全等倍)
距離計 二重像合致式、連動範囲 0.7メートル〜∞
視野枠 28/35/50mm対応、ブライトフレーム切り替え式、パララックス自動補正機能
視野率 85%
シャッター 電子制御式縦走行フォーカルプレーンシャッター
シャッター速度 1/2000〜1秒・バルブ
シンクロ接点 X接点(1/125秒より遅い速度で同調)
露出測光 TTL幕面ダイレクト実絞り中央部重点平均測光方式
露出補正 ±2EVで1/3刻み
露出モード マニュアル、絞り優先AE
ISO感度 ISO 200/400/800/1600
記録メディア SDメモリーカード
電源 専用リチウムイオン充電池
ボディ外装 マグネシウム合金(上カバー・下カバー・裏蓋)
大きさ 142(幅)×88.5(高さ)×39.5(奥行き)ミリ
重さ 約590グラム(ボディのみ)
価格 オープン(実売30万円弱)
発売時期 今年夏頃

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