パーソナルユースからオフィス需要まで幅広くカバーする複合機――キヤノン PIXUS MP710/740(1/3 ページ)

» 2004年03月19日 19時09分 公開
[リアクション,ITmedia]

 キヤノンの「PIXUS MP710(以下、MP710)」と「PIXUS MP740(以下、MP740)」は、2003年2月に発表された「PIXUS MP700/同730」の後継となるA4複合機だ。上位モデルのMP740はFAX機能とADFを搭載し、オフィス用途まで視野に入れている。ここではMP740をメインに紹介していくが、プリンタ部やスキャナ部などの基本スペックは、MP740とMP710で共通だ。

PIXUS MP710
PIXUS MP740

 最初に目を引くのは巨大な本体だ。もともとMP7xxシリーズは本体サイズが大きく、それなりの批判も受けているのだが、サイズよりも高性能・多機能を指向したモデルという位置付けを理解するべきだろう。当然、選択の際には「置き場所」が重要なポイントとなるのは間違いない。

 プリンタ部のエンジンは「PIXUS 560i」と同等で、インクは全色独立タンクのCMYBk基本4色だ。インクドロップが2ピコリットルのスーパーフォトノズルを備え、ノズル数はCMが512、Yが256、Bkが320、合計1600ノズルとなっている。

インクは全色独立タンクのCMYBk基本4色

 PIXUS740/710では、全面フチなし印刷と、CD/DVDメディアのレーベル印刷も可能だ。CD/DVD印刷には専用のトレイガイドとトレイを使い、8センチメディア用のアダプタも付属する。専用トレイガイドを前面の排紙トレイに装着し、専用トレイにCD/DVDメディアを乗せてトレイガイドにセットする。

専用トレイガイドを前面の排紙トレイに装着し、専用トレイにCD/DVDメディアを乗せてトレイガイドにセットすれば、CD/DVDメディアのレーベル印刷も可能だ

 スキャナ部の光学解像度は1200dpi、イメージセンサはCIS(コンタクトイメージセンサー)だ。インタフェースはUSB1.1相当のFull-Speedだが、スキャナやメモリカードリーダー/ライター機能があるのだから、USB2.0 Hi-Speedを搭載してほしかった。

 本体前面のメモリカードスロットには、SDメモリーカード/メモリースティック/スマートメディア/コンパクトフラッシュ(CF)/マイクロドライブの各メディアを直接セットし、デジカメ画像のダイレクト印刷が可能だ。xDピクチャーカードやminiSDメモリーカードなどはアダプタ経由で使用するが、メモリースティックPROには対応しない。

前面に配置されているメモリカードスロット

 ただ、メモリカードスロットは使用上の制限が厳しい。同じ種類のメディアを交換したり、違う種類のメディアに入れ替えるときは、本体の電源オフと再投入が必要とマニュアルに明記されている(試しに電源を入れたままでメディアを交換してみたところ、ダイレクト印刷モードでは交換後のメディアも認識した)。

 また、PCに追加されるリムーバブルドライブも1つで、最初にセットした種類のメディアしか認識しない。USBケーブルの抜き差しでもダメで、違う種類のメディアを認識させるにはMP740/710の電源オンオフが必要だった。さらに、PCからメモリカードに書き込むには、MP740/710の液晶メニューで「書き込み許可」に設定しなければならない(デフォルトでは書き込み禁止)。

 これらの制限は、メモリカードやデータの保護、および初心者への配慮を優先した結果だと思われる。複数のメディアを頻繁に入れ替える使い方でなければ、何とか我慢できなくはない。しかし、こうした使い方の人は、一般的な複数ドライブ仕様のメモリカードリーダー/ライターを使ったほうがよいだろう。

 なお、液晶ディスプレイは持たないため、複数の任意画像をダイレクト印刷するには、フォトナビシートを利用する。フォトナビシートはメディア内の画像をインデックス印刷し、用紙サイズとレイアウト、印刷画像と部数をマークシートで設定したのち、スキャナ機能で読み取ると、設定の通りに印刷されてくる。

 操作パネルの「フォトナビシート」ボタンを押し、プリントかスキャンを選んでスタートボタンを押すだけなので操作も簡単だ。デジカメ側のDPOF機能でも任意画像の印刷が行えるが、デジカメと直結して印刷するカメラダイレクト機能には対応していない。

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