2004年のグラフィックスカードネタは、PCI Expressが一つのキーワードになっている。ATI TechnologiesもNVIDIAも、先日米国で行われたIDFとタイミングを合わせて、PCI Express対応新世代GPUのデモンストレーションなどを行い、4月14日には、NVIDIAがGeForce 6シリーズを正式発表した。
と、新世代GPUが盛り上げてきたのに、ここにきて、PCI Expressの立ち上がりにチョット時間がかかりそうな情報が出てきている。グラフィックスカード側でPCI Express対応の製品が投入されても、カードを差すマザーボードが登場しないことには、ユーザーとしてはいかようにもできない。
そんなわけで、昨年登場したGeForce FXシリーズや、RADEON 9700以降のDirect X 9対応GPUに、もうしばらくお世話になりそうな予感である。
パーツショップで、依然として人気のあるボリュームゾーンは、ATI、NVIDIAのミドルレンジであるRADRON 9600 XTとGeForce FX 5700 Ultraであることは、この一連のレビューでも繰り返し紹介してきた。
RADEON 9600 XTにしても、GeForce 5700 Ultraにしても登場から時間が経過していて、最近投入される製品はクロックを早めに設定してパフォーマンスで差別化するか、静音性能を高めるためにファンレス化するケースが多い。
今回紹介するELSAの「GLADIAC FX 736 Ultra DDR3」(以下、FX 736 Ultra DDR3)は、製品名にもあるように、ビデオメモリに「GDDR3」を搭載することで差別化を図った製品だ(GDDR3を採用した製品としては、ほかにAlbatronのFX5700U3や、リードテックのWinFast A360 Ultra TDH GDDR3モデルなどがある)。搭載製品は各ベンダーとも3月末に発表して、先週末あたりから店頭に並び始めている。
FX 736 Ultra DDR3のパッケージにも「DDR3」と大きなシールが貼られていて、その仕様をアピールしているが、ここでいう「DDR3」は、あくまでもグラフィック専用メモリのGDDR3のこと。その最も大きな特徴は「消費電力を抑えて、かつメモリクロックを高速化したこと」にある。
GeForce FX 5700 Ultraの定格クロックはコアクロック475MHzに、メモリクロックが450MHz(DDRの転送レートで900MHz相当)。しかし、GDDR3を搭載したFX 736 Ultra DDR3のメモリクロックは475MHz(転送レートでなんと950MHz相当)。動作クロックだけで言えば、ワンランク上のGPUであるGeForce FX 5950と同じスペックになったことになる。
GDDRは以前からMOBILITY RADEON 9600でサポートされたGDDR2-Mなど、ノートPCでの採用が目立っていたが、製造コストや発生する熱の影響で、実際に製品に搭載されるケースはなかったと、MOBILITY RADEON 9600のベンダーであるATIは説明していた。
その後継といえるGDDR3が、今回デスクトップ用のビデオカードに搭載されて登場したわけだが、メモリを開発、製造しているSamsungでは、低消費電力駆動を可能にして高クロック動作を可能にしたと説明している。電圧を抑えて高クロック動作を実現する手法は、層間絶縁膜に低絶縁体を採用したMOBILITY RADEON 9700や RADEON 9600 XTにも見られるように、最近の流れでもある。同じように、GDDR3の搭載も発生する熱を抑えてその分速い速度で、動作させることに貢献している。
さて、GDDR3を搭載したことで、最上位機種のGeForce FX 5950にクロックで肩を並べてしまったFX 736 Ultra DDR3であるが、内部アーキテクチャ的にはいろいろと制約があるのも事実。はたして、パフォーマンスはどこまで迫ることが出来ただろうか。そして、定格動作のミドルレンジビデオカードとはどれだけ差がつくのだろか。PCUPdateの定番ベンチマークテストで、見てみることにしよう。
ベンチマークシステム環境 | |
CPU | Pentium 4/2.53GHz |
マザーボード | GNB Max-L |
メモリ | PC2700 256MB×2ch |
HDD | DiamondMax Plus9(120GB) |
OS | Windows XP Professional +SP1 |
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