例えば、6Gバイトのデータを記録するときに、レイヤ0の記録容量一杯にデータを記録し、残りをレイヤ1に記録したとしよう。この場合、レイヤ0は、すべてデータが記録されているが、レイヤ1では、メディアの外周から内側向けて約2Gバイトほどしかデータが記録されておらず、内周から約2Gバイト分の領域は未記録状態になっていることになる。
こういった状態のメディアは、「記録型メディア」ではあり得るかもしれないが、市販の片面2層の「DVD-ROM」では、想定されていない状態である。
このような状態を作ってしまうと、再生機によっては不都合を生じてしまう可能性があるのだ。DVD+R DLでは、この問題を回避するために、最終的に記録されたエリアの長さをレイヤ0とレイヤ1で均等にしたというわけである。
なお、DAOを使って記録を行うときに、記録するデータを均等に2分割して記録するか、レイヤ0を優先的に記録して残りをレイヤ1に記録するかは、ライティング(あるいはオーサリング)ソフトウェア次第のようだ。後者の手法を採用した場合は、レイヤ0の記録エリアの長さと均等になるよう、レイヤ1の余った領域にダミーデータを記録することになる。
次に、追記可能状態の場合を見てみよう。
追記の場合でも、レイヤ0の最初がリードイン、次にデータが書き込まれるまでは同じだが、データを書き込んだあとにリードアウトが書き込まれ、次のデータが書き込まれるのを待つ状態になる。
面白いのは、この状態で、レイヤ1の最後の部分(最内周)にリードアウトをすでに書き込んでおくということだ。しかも、このリードアウトはリードインよりも若干長く書き込まれること決められているようだ。
もちろん、これには理由がある。前述したが、レイヤ0の真下にあるレイヤ1の記録エリアが未記録状態だと、そこで再生に不都合が生じてしまうことがあるからだ。
しかも、追記可能な状態では、これは深刻な問題となる。レイヤ0のリードイン部分の真下の領域であるため、そもそも、メディアの認識ができない可能性が増大してしまうのだ。そこで、あえて先にリードアウトを書き込んでおき、マウントできる可能性を向上させているのである。言うまでもなく、リードインよりも長めのリードアウトを記録しておくのも、よりマウントしやすいようにするための配慮だ。
また、追記可能な状態のDVD+R DLメディアをクローズし追記不可の状態にするときは、最終データを記録した後に、事前に記録してあったリードアウトまでダミーデータで埋めるという処理が行われる。この処理は、未記録エリアが多いほど時間がかかるので、追記を行うときは、注意が必要だろう。
DVD+R DLは、2層のDVD-ROMに近いメディアなのだから、どの程度の割合の家庭用DVD機器やPC用DVDドライブで再生できるのかが気になるところだ。
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