先日行われたRADEON X800の国内発表会に、ブースを出していたMSI。何度か噂が上がっていたものの「ビデオカードはNVIDIA」という姿勢を崩さなかったMSIがRADEON X800の登場にあわせてコンシューマー向けビデオカードにATI製GPUを投入する理由について、MSIは、いや、まぁ、そこはいろいろ、とはっきりしたことは語ってくれない。
もちろん、ユーザーしては、そのあたりの事情よりも、MSIが投入するATI製GPUカードの素性のほうが気になるところなので、「台湾から届いたばかりで、すぐ返さなければならないんですよ」というところを、まあまあ、そうあわてずに、いいじゃないのいいじゃないの、と無理やり円満に借り受けて、台湾送還寸前の短い時間に急遽テストを行った。
RA800 Proは先日発表された「RADEON X800」シリーズのエントリークラスであるRADEON X800 Proを搭載した製品。バーテックスシェーダ6ユニットにピクセルパイプ12本と従来機種のハイエンドGPU「RADEON 9800 XT」からアーキテクチャを拡張。ビデオメモリはライバルNVIDIAのGeForce 6800でも採用されたGDDR3をサポートして、コアクロック475MHzにメモリクロックDDR900MHzとRADEON 9800 XTの412MHz/DDR 730MHzからさらに高速化している。
アーキテクチャの拡張と動作クロックの高速化によって「RADEON X800は従来製品からパフォーマンスを50%アップさせた」とATIはアピールしているが、これは上位機種であるRADEON X800 XTの場合。この上位バージョンの出荷は6月以降になる予定で価格も国内の店頭では6万円後半から7万円あたりをつけそうな感じだ。
RADEON X800 Proを搭載したビデオカードの価格が6万円前後と、Geforce 6800 Ultraの実売予想価格7万円とくらべても低く設定されている。このクラスのビデオカードでパフォーマンスを選ぶか価格を選ぶかは、ミドルレンジやバリュークラスと違って、かなり悩むところではあるが、とにかく、当面ユーザーが購入できるのはこのRADEON X800 Pro搭載カードしかない、というのは動かしようのない現実でもある。
ということで、いま気になるのはRADEON X800 Proのパフォーマンス。RADEON X800シリーズのパフォーマンスについてはATIからもデータが公開されており、製品発表会でもグラフが紹介されたが、RADEON 9800 XTと比較したRADEON X800 Proのパフォーマンスはおおよそ50%のアップ。一方、ゲームベンチで比較した(多分GeForce 6800 Ultraと想像される)「次世代NVIDIA製GPU」との相対性能は数%から20%アップということになっている。
気になるのが3DMark03の結果で、こちらはGeForce 6800 Ultraの結果を下回っている。ATIが公開している資料ではテストマシンの環境や、ベンチマークにおける個別のデータなどが明らかにされていないので、3DMark03における結果がどういう理由でこのようになったのかを、検証することは難しい。
そこで、時間がない状況のもと、いつもの環境で定番のベンチマークテストを行ったが、個別の結果と照らし合わせながら3DMark03における傾向を中心に、パフォーマンスを比較してみたい。なお、RADEON X800 Proのドライバとして使用したのは、ATIがビデオカードベンダーに供給しているベータバージョンの6.14.10.6444を適用した。現在開発中のものでパフォーマンスチューニングのレベルもこれから上がっていくということなので、今回のベンチマークの結果はあくまでも参考値としてとらえてほしい。
ベンチマークシステム環境 | |
CPU | Pentium 4/2.53GHz |
マザーボード | GNB Max-L |
メモリ | PC2700 256MB×2ch |
HDD | DiamondMax Plus9(120GB) |
OS | Windows XP Professional +SP1 |
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