デザインとスペックのトレードオフとして、最も顕著な例なのがこの液晶パネルのサイズだ。デザイナーが求めたのは「エッジを鋭利に処理してシャープさとスマートさを演出する」こと。そのために、厚みのある液晶パネルモジュールと筐体の端にはある程度の間隔が必要とされ、モジュールの端からエッジまで徐々に薄くしていく処理が施されている。
このことが、小型ノートを数多く使ってきたベテランユーザーに「なんともったいないことを」と思わせてしまうのは避けられないだろう。このクラスのノートPCでは、少しでも液晶パネルのサイズを大きくして視認性を向上させるのが当然のことだったので、CV50Fの方向性は意外に感じられる。
その一方で、今やノートPCをスペックだけで差別化していくのが難しいのも確かだ。 ただ外で使うだけでなく、喫茶店や電車の中など「人前で取り出して使う道具」として捉えるユーザーにとって、ノートPCに求めるものがスペックだけでなくなっているのも、時代の流れとして十分ありえるだろう。
インタフェースはUSB2.0 が二つ。CFカードとSDカードスロットと現実的で充実。ただし、一見IEEE 1394と思いきやシャープ専用のDirectHDが用意されているのは評価が分かれるところ。
どのようなIEEE 1394デバイスを接続するかはユーザー次第であるが、コネクタを取り付けるスペースがあるならば、まずはより多様なインタフェースに対応するべきではないだろうか。
CF50Fには、リモコンを入力デバイスとして利用できる「ペンタグラム」がイントールされているが、これで文字入力やPCの操作をストレスなく行うには、かなりの修練が必要ではないだろうか。PCの操作パレットではメニューリストが表示されるが、事前に登録が必要なだけでなく、登録した項目がすべてのソフトで共通で表示されるなど、手間と柔軟性にかける嫌いがある。
ソフトのメニューバー情報を読み込んで動的に表示メニューを変更できると、けっこう使いやすくなると思うのだがどうだろうか。喫茶店でブラウジング主体の使い方では、片手にコーヒー片手で操作、というシーンが多いと思うが、そんなときに、CV50Fのようにリモコンで操作できると便利。ペンタグラムをもっと使いやすくなるようなチューニングを期待したい。
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