タブレットPCなら、画面に直接「描く」ようにペンを動かして行くから、その方向や強さを思うようにコントロールが可能だ。プラグインフィルタのような、タップ or クリックして待ってるだけというオマカセのエフェクトでなく、使っている人の意思が直接反映してくると言う点で、これはもはや「絵画」と言っていい。ブラシの太さやオプションのスタイルなどをこまめに変えながら「描いて」行けば、誰でも印象派の気分。いや、気分だけでなく出来上がった「元写真」もすっかり印象派してくれるのだ。
もちろん最初のうちは中々思うようなブラシのストロークを得ることができないだろう。しかし描きながらスタイルや太さを調整したり、「描く」強さを変えたりして行くうちに、いつの間にか自分の思い通りの描き味を得ることができるようになってゆく。そんな中途半端な難しさも描く楽しみのひとつと言えるだろうし、そうして描き終わった後の達成感は、プラグインフィルタでは決して味わうことはできない。そして気分はすっかりゲージツ家なのである(笑)。
もちろん、タブレットPCならではの自由な作業スタイルも忘れちゃイケナイ。イスに座って抱えて作業してもいいし、ベッドに横になって使うのも構わない。そんな自由さがElementsの楽しさと良くマッチする。実際に使っている最中は、イスに座ってふんぞりかえってたりしながらしてたもんなあ。なんか「背筋をシャキーン」と伸ばして使う気になれないのだ。
しかもほとんどのタブレットPCは無線LAN内蔵だから、その気になればいつでもWebブラウジングもメールチェックも可能。タブレットPCがその人の作業スタイルや生活そのものを変えるだけの力を持っていることを改めて認識させられる。
そういうマシンの中に、このElementsのような万能で軽快で、しかも安いグラフィックアプリケーションがひとつあれば、実用面だけでなく、ホビーやクリエイティブな面でもその楽しみはさらに増してくるはずだ。単にデジタルカメラの写真を整理してサイズの調整や補正をするためだけでも全然オッケー。そして気が向いたらお絵描きもできるし。あれば便利なことこの上ない。
こうしてみると、ノートPCやデスクトップPCのマウスやタブレットなどのポインティングデバイスが、いかに「人間の自由」を奪ってきたのか(笑)を改めて知るハメになってしまった。
「仕事」として使う「Photoshop」や「Illustrator」では解らなかった、好きな時に好きなように使う自由と、仕事にも縛られない自由。マウスやタブレットが繋がっていない自由。ネットに繋がっている自由。
もしかしたらタブレットPCがパーソナルコンピューティングのスタイルを変えるだけのパフォーマンスを持っているのではないか、それを加速し、実感できるアプリケーションのひとつが、このPhotoshop Elements なのだとおもう。
つか、使ってて単にオモシロイです、いやマジで。
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