リビングPCのベストバランス──ソニー VAIO type HX PCV-HX81(1/2 ページ)

» 2004年05月27日 15時23分 公開
[小林哲雄,ITmedia]

VAIOはよりAVへ向けた第二章に

 ソニーのVAIOと言えば、かつて「メーカー製ながらトンガッタPC」として認知されていたマシンだった。特異なデザインと象徴的なボディカラー、ビジネスシーンではなくホームユースを意識した付属ソフトなど、PCが家庭に広く普及していない時代において、一般の人を振り向かせるのに十分なインパクトを持っていた。しかし、その後、ほかのメーカー製PCもホームユースを強く意識したコンセプトを持つようになるにつれ、登場当初に感じられたVAIOの独自性は相対的に薄れてしまった。

 そこでソニーが打ち立てたのが、かつての「AVっぽいPC」から「AVとネットワークのマシン群」ともいえるVAIO第二章である。イメージカラーは紫から黒へと変わり、メタリックな筐体が増えた今のPC市場でもオッと目を引くデザインになっている。

 モデル命名法も「type云々」と、これまた従来のPCらしくない。この新生VAIOの中で普及型省スペースPCに属するのがVAIO type HX、そして、その中でもハイエンドモデルとなるのが今回紹介する「PCV-HX81B9」だ。

VAIO type HXの最上位モデル「PCV-HX81B9」型番最初の“PCV-”が従来機種の継承であることを物語っている。価格はオープン。Sony Style価格は19インチ液晶ディスプレイセットのPCV-HX81B9で31万5000円

フライングの第二章?

 実のところ、VAIO type HXを見てデジャブを感じたのだが、それもそのはず。すでにHXシリーズは2004年の春モデルにおいて(2004年1月7日発表、同2月7日発売)、「新標準モデル」としてデビューを果しているのだ。ほかのデスクトップ系のVAIO type RやVと比べると、それほど「黒っぽくない」こともあって、「VAIO第二章」をフライングで実現した春モデルのHXを見ているような気もしてしまうのだ。よく見ると、黒パネルのフロントに青いイルミネーションが輝くあたりに第二章VAIOのイメージが見えなくもない。

 VAIO type HXの夏モデルシリーズは5製品。本体4種類に3種類の液晶を組み合わせて構成されている(そのほか、Sonystyleモデルも用意されている)。最下位モデルのCPUはCeleron/2.70GHz、それ以外はPentium 4/3E GHzとなっている。最上位CPUではないもののハイパースレッディングテクノロジー対応でL2キャッシュ1Mバイトと従来モデルと比べてスペックは向上している。

 そのほか、本モデルの主要なスペックは、チップセットにIntel 848P、メモリにPC3200512Mバイト(最大1Gバイト)。このコストパフォーマンスを意識した省スペースPCでは統合型チップセットの機能を使うことが多い、グラフィックもGeForce FX5200(ビデオメモリ容量64Mバイト)と専用のビデオカードを搭載。ハードディスクは7200rpmの250Gバイトと十分すぎるぐらい。下位モデルではハードディスクの容量が減り、チップセットが統合型のIntel 865GVになるなどの違いがある。

 ハードディスクは二つのパーティションに分けられていて、Cドライブが27.9Gバイト(初期状態で6.86Gバイト使用)、Dドライブが200Gバイトに分けられている。Dドライブに録画した画像データが保存されることになっており、カタログ値では高画質/標準/長時間の録画モードでそれぞれ58.5、111.5、177.5時間の録画が可能。

 特筆なのは、ユーザーによるハードディスクの増設が可能になっているところ。VAIO type HXの上位モデルはFDDがないかわりにHDDの増設が可能なのだ。従来モデルは、空いたドライブベイがあったもののコネクタがなかったため増設が不可であったり、ノートPCを分解すると「剥がしたら保証はなくなる」というテープで封印されていたことを思い出すと、増設のためのスペースが用意されており、ちゃんとHDDコネクタと電源ケーブルが用意されているのは劇的な変化だ。

カバーを外して筐体内部を見る。HDDの増設が可能になっただけでなく、メモリの増設も容易に行えるなど、作業性を考慮した作りになっている

 また、従来モデルではメディアカードリーダーで、「最大のライバル」SDカードをサポートしたものの、実際はCF-SDアダプタによる対応なので、携帯電話で使われているmini SDが利用できなかった。しかし、今回はXd Picture/CF/メモリースティック/PCカードに加えてSDカードの専用スロットもついた。

 それぞれ専用スロットなのでドライブレターが四つ(PC Cardは汎用スロットなので標準の割り当てなし)増えているが、「マイコンピューター」ではそれぞれのアイコンが専用なので迷うことはない。競合製品の多くがSD/メモリースティック兼用コネクタを採用しているのに対し、メモリースティックDUO対応のコネクタを使用しているところがソニーらしい。

シルバーのカバーを開けるとインタフェースが見えてくる。用意されているのは各種カードスロットとUSB 2.0、i.LINK。五つのスロットが並んでいるさまは見た目にも壮観だ
背面にはUSB 2.0、i.LINK、LAN以外にTVチューナーのアンテナ端子、ビデオ入力端子が用意されている

 最上位製品となる本モデルには今回から投入される19型クリアブラック液晶モニタ(VGP-D19SM2)がセットされる。コネクタは15ピングラフィック、USB、サウンド入力の3種類。USBは液晶リモコンの受光部、サウンドはスピーカー(5+5ワット)に使われる。サウンドはヘッドホンにも出せるが、TVチューナー、外部ビデオ入力機能は持たない、純粋なPC用ディスプレイだ。

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