さて、今回はリチウムイオン電池の充電方法と、利用可能時間について考えてみよう。
電池の容量アップは当然ながら撮影枚数の増大へつながるので、大容量電池にメリットがあることは分かる。しかし、当然ながら充電時間も伸びる。充電時間を減らしつつ、実用に耐える使い方はないだろうか? というのが今回の目的だ。
ここで、Kiss Dの標準充電器「CB-5L」について少々説明しておこう。CB-5Lはカメラに付属するものだが、単独販売もされている。ただし別売品は、ワールドワイドのコンセントケーブルセットとなっているようだ。
CB-5Lの充電インジケーターは、5通りの意味合いを持っている。
表■CB-5Lの充電インジケーターの意味
インジケーター | 状態 |
---|---|
消灯 | 充電していない |
1回点滅 | 充電中(容量おおむね50%未満) |
2回点滅 | 充電中(容量おおむね75%未満) |
3回点滅 | 充電中(容量おおむね90%未満) |
連続点灯 | 充電中(容量90%以上) |
Kiss Dのマニュアルには、使い切った電池から連続点灯まで約90分で、完全フル充電を行うためには、連続点灯後一時間は充電する必要があると書かれている。大ざっぱだが、一目で充電状況が分かるのがCB-5Lのメリットだ。
リチウムイオン電池の充電は「定電流定電圧充電」という方法だ。
充電はまずセルが安全電圧圏(4.2〜2.9ボルト)にあり、かつ充電可能温度範囲(0〜45℃)にあることを確認したあと、標準電流(0.7Cに相当する電流)で充電を開始する。充電初期は充電電圧が低いが、充電が進むにつれ電圧は上昇する。
充電電圧がセル電圧安全圏上限の4.2ボルトに達した段階で、定電流充電が維持できなくなるので、この時点で4.2ボルトの定電圧充電に切り替わる。
定電圧充電は徐々に電流値が下がり、一定以下(0.1〜0.01Cに相当する電流)になった時点(あるいは安全タイマー作動)で充電完了だ。参考にした資料(PDFファイル:※)には充電フローチャートも載っているが、これが1ページ丸々使っているわけで、専門外でも「色々面倒くさい事をやっているな」というのは分かるだろう。
ちなみにニッケル水素電池の充電は、定電流充電で充電終了要素は電圧の変動(デルタピーク)、温度(と安全タイマー)と少ない。さらにリチウムイオン電池の場合は、電圧を+-0.05ボルトで確認する必要があるので、精度も必要だ。リチウムイオン電池の価格が高くなる原因はここにもある。
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