日本の声をモバイルプロセッサに導入 AMD、東京に研究拠点新設

» 2004年06月24日 15時40分 公開
[中嶋嘉祐,ITmedia]

 米AMDは6月22日、モバイルプロセッサの研究開発拠点として日本AMD内に「AMD JEL(ジャパン・エンジニアリング・ラボ)」を新設したと発表した。日本のノートPCメーカーから要望を吸い上げ、求められる機能をモバイルプロセッサに組み込んでいく。

 「これまでは高性能なプロセッサの開発を優先し、調整してモバイル用のプロセッサにしていた。今後は一から開発することが必要だ」とアジア太平洋地域マーケティング本部長のサム・ローガン氏。JELを拠点に日本のノートPCメーカーが求める命令セット、機能、実装などについて意見を聞き、米国で開発するプロセッサに組み込んでいく。これまでモバイル分野の研究開発は米国、台北で進めていたが、従来の拠点はAMDの予定通りに製品を開発するだけだった。

 「ただ製造するのではなく、顧客のニーズを取り入れた製品を開発したい」とコンピュテーション製品グループ担当執行副社長のダーク・マイヤー氏。

photo ダーク・マイヤー氏(コンピュテーション製品グループ担当執行副社長)

 まずはノートPCなどのプリント基板レイアウトや温度設計など、実装関連のスペシャリストを配置。1年から1年半でエンジニア15−20人を採用する計画。2年以内に組織を整え、メーカー各社からAMDに対する要望を聞き出す担当者を追加、モバイルAthlon 64、Alchemy、Geodeの開発を支援する。当面は本社にニーズを伝えるだけだが、段階的にエンジニアを増やし、設計の担当も視野に入れている。

 デスクトップ代替型、A4型、B5型、サブノート型とあるうち、まずはB5型向けの開発を進める。「サブノート型のプロセッサも2006年以降には出したい」(マイヤー氏)。世界ノート市場で20%のシェア獲得を目標に掲げる。

 これまで日本AMDでもメーカーの声を聞いて米国本社に伝えていたが、「日本で判断する権限が大きくなった」と日本AMDの堺和夫社長は説明する。「AMDはCPU業界のリーダーになった。どことは言わないが、競合会社もマネをする状況だ。モバイルの世界的なトレンドを決めるのは日本のOEM。OEMと相談してアドバイスも送り、トレンドを生み出していきたい」。

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