ホームネットワークでライフスタイルを変えよう:ワイヤレス編活用提案

» 2004年06月28日 18時06分 公開
[平澤寿康,ITmedia]

 家庭内でネットワークを構築すれば、PCの活用の幅が大きく拡がる。複数のPCをネットワークに接続してインターネットアクセス回線を共有したり、PC間でのファイルのやりとりなどが簡単にできるようになるのはもちろんのこと、ホームAVサーバーとして機能するNECのHDD搭載DVDレコーダー「AX300」のようなネットワーク機能を持つAV機器をホームネットワークに接続すれば、家庭でのAVライフも大きく変化するはずだ。

 しかし、ホームネットワークを構築すると簡単に言っても、実際には難しい部分もあるだろう。なぜなら、家庭内で複数のPCが同じ部屋に設置されているとは限らないばかりか、AX300を設置する場所は、大画面テレビが置かれているリビングルームが基本であり、リビングルームとPCが設置されている部屋が別になっていることがほとんどだからだ。別々の部屋にあるPCやAX300をネットワークで接続するとなると、その別々の部屋の間にLANケーブルを敷設しなければならないことになってしまう。

 最近のIT設備の整ったマンションなどでは、あらかじめ各部屋にネットワークコネクタが用意され、ホームネットワークが簡単に構築できるように工夫されているところも多くなっている。とはいえ、それはまだまだ希なケースであり、一般的には、自力でLANケーブルを敷設しなければならないことがほとんどだ。

 家庭内で別々の部屋をまたいでLANケーブルを敷設するとなると、それはかなり大がかりな作業となってしまう。オフィスのように、床裏にケーブル敷設用のスペースが用意されているようなところならともかく、一般家庭では、ケーブルを床のすみ、壁などに這わせて敷設するしかない。部屋の配置によっては、ケーブルが廊下などを這い回ることになってしまうため、見た目だけでなく、ケーブルに足を引っかけてしまうなどの事故も起こりやすい。特にリビングルームではそういったことは避けたい。そこで、リビングルームに設置するネットワーク対応機器をホームネットワークに接続する場合には、ワイヤレスLANを活用しよう。

AVラックに並ぶAX300と、ワイヤレスLANに接続させるための子機

IEEE 802.11a準拠のワイヤレスLANシステムは、ホームネットワークの構築に最適

 ワイヤレスLANを利用したホームネットワークの構築は、かなり浸透してきている。特に、54Mbpsという高速な通信速度を安価に実現できる、IEEE 802.11g準拠のワイヤレスLANシステムの登場以降は、DVDビデオクラスの大容量データを転送しつつ、リアルタイムに表示させるといったことも余裕でできるようになっている。例えば、AX300で録画したデータを、別の部屋のPCに転送する場合でも、余裕のデータ転送速度を提供してくれる。

 ただ、IEEE 802.11gの弱点といえるのが、2.4GHzの周波数帯域を利用しているという点だ。この周波数帯域は、ワイヤレスLAN以外の電子機器や、電子レンジなどの家庭内の家電機器などでも利用されているため、他の電子機器からのノイズの影響を受けやすい。例えば、キッチンで電子レンジを使用したとすると、データ転送速度が極端に落ちてしまうことがある。

 それに対しIEEE 802.11aは、5.2GHzという周波数帯域を利用しているため、他の電子機器からのノイズなどの影響を受けにくく、安定したデータ転送速度を確保できる。もちろんデータ転送速度はIEEE 802.11g同様、54Mbpsと高速であり、大容量データの転送も高速に行える。IEEE 802.11a準拠のワイヤレスLAN機器は高価であるという大きな欠点も、現在ではかなり改善されており、気軽に購入できるようになっている。

 例えば、Aterm WR6600H ワイヤレスセット(TE)(PA-WR6600H/TE)は、標準でIEEE 802.11a/b/gの3種類のワイヤレスLAN規格に対応していながら、非常に購入しやすい価格設定となっており、魅力が高い。しかも、Aterm WR6600H ワイヤレスセットには、ブロードバンドルーター機能を持つアクセスポイント(PA-WR6600H)と、ネットワークをワイヤレス化するワイヤレスボックス(PA-WL/54TE)がセットになっており、ワイヤレスLANを利用したホームネットワークを簡単に構築できる。

 しかも、アクセスポイントとワイヤレスボックスの双方ともIEEE 802.11a/b/gの3種類のワイヤレスLAN規格をサポートしているため、手持ちの既存ネットワークの規格に合わせて接続可能だ(ただしIEEE802.11bでの接続の場合、AX300から他PCへの番組配信のための推奨環境からは外れてしまうので注意が必要)。さらにワイヤレスボックスには2ポートのLANコネクタが用意されているので、AX300だけでなくゲーム機なども同時に接続して、リビングルームのネットワーク対応機器をホームネットワークに接続できる。家庭内でワイヤレスLANネットワークを構築するのに、最適の製品と言っていいだろう。

写真はAterm WR7600H ワイヤレスセット(本記事作成中に、より高速なワイヤレスLANを可能にするSuper AG対応のAterm WR6600H ワイヤレスセットが発売された)

AX300とワイヤレスLAN対応ノートPCを利用すれば、家庭内のどこでもテレビが楽しめる

 ワイヤレスLANを利用することで、簡単にホームネットワークを構築できるだけでなく、PCの活用の幅も大きく拡がることになる。特に、最近のノートPCにはワイヤレスLAN機能が標準で内蔵されていることが多いが、家庭内でワイヤレスLAN環境が整っていれば、そのノートPCは、ワイヤレスLANによって家庭内のどこでもネットワークに接続できることになり、どこにいてもノートPCを最大限に活用できることになる。

 例えば、インターネットのレシピサイトを参照しつつ、今夜の夕食を作ろうと思った場合、普段ならば、ネットワークに接続できる場所に設置したPCでレシピを調べ、プリンターでレシピをプリントアウトしたり、ノートなどにメモを取った上で、料理を作るだろう。しかし、ワイヤレスLANを利用したホームネットワークが構築されていれば、ワイヤレスLAN対応のノートPCをキッチンに持ち込み、キッチンで直接レシピサイトにアクセスしてレシピを参照しながら料理ができる。

 また、AX300があれば、キッチンのノートPCで録画した番組を見たり、テレビを見たりできる。AX300に付属している「SmartVision/PLAYER」をノートPCにインストールすることで、ノートPCとAX300がネットワーク経由で接続され、AX300で録画した番組をノートPCに転送してノートPCで視聴したり、現在放送されている番組をノートPCで楽しめるのだ。

 最近では、キッチン用として小型の液晶テレビを別に購入して設置したりしている人も多いようだが、キッチンにテレビを置くとなると、アンテナケーブルをキッチンまで引いてこなければならず、実際にはキッチンにテレビを置くことは難しい。しかし、ワイヤレスLAN対応のノートPCと、AX300があれば、ノートPCをテレビ代わりとして活用できるようになるため、キッチンでテレビを見るということを簡単に実現してくれる。

 もちろん、それはキッチンに限ったことではない。ワイヤレスLANが届く範囲内であれば、どこでもPCを活用できることになる。ベランダやテラスなどにノートPCを持って行き、インターネットやテレビを楽しむといったようなことももちろん可能だ。これからは、テラスで夜風を楽しむのにいい季節になってくるため、テラスでインターネットを楽しんだり、AX300で取り貯めた番組を楽しむというのも悪くないだろう。

LaVie GタイプNなら、キッチンのちょっとしたスペースにもよく似合う。もちろん水や油などから離れたところで楽しもう

外出先でもワイヤレスLAN対応ノートPCを活用しよう

 AX300をネットワークに接続してPCと連携させることの魅力は、AX300で録画したデータをPCに転送して活用できるという点にある。そして、それがノートPCであれば、さらに録画データの活用の幅が拡がることになる。

 ノートPCにAX300で録画した番組をまるごと転送する。そして、そのままそのノートPCを持って出掛ける。すると、外出先で転送した番組を楽しめることになる。前の日に録画した番組を、出掛ける間の電車の車内などで楽しんだり、外出先で友人と一緒に楽しむといったことも可能となる。

 また、ノートPCを持ち歩いていれば、外出先から家庭内のAX300のコントロールも不可能ではない。最近では、コーヒーショップやハンバーガーチェーン店、ファミリーレストランなど、様々な場所で、公衆ワイヤレスLANが普及しつつある。Yahoo! BBが展開している「Yahoo! BB モバイル」や、NTTコミュニケーションズが展開している「HOTSPOT」などを利用すれば、外出先でもワイヤレスLANを利用して簡単にインターネットにアクセスできる。

 そして、ホームネットワークに接続されたAX300が、インターネットの常時接続回線にも接続されていれば、外出先のノートPCからインターネット経由でメールを送信することによって、AX300の録画予約ができてしまう。もちろんE-mail機能搭載の携帯電話からでも予約が可能だ。見たい番組があったのに、急な用事で家に帰るのが遅くなってしまう、そういった場合でもその番組を見逃すことがなくなるわけだ。

 このように、ワイヤレスLANを利用してホームネットワークを構築し、ワイヤレスLANに対応したノートPCを用意するだけで、家庭内でのPCの活用シーンが大きく拡がることになる。それだけでなく、ネットワーク機能に対応したAX300のようなデジタルAV機器を利用することで、それまでのAVライフスタイルを一新してしまうと言っても過言ではないほどの、AV環境の変革を実現できる。

 そしてなにより、PCやAV機器などのネットワーク対応機器をそれぞれ単体で利用していた時には考えられないような、非常に多岐にわたった活用が可能となる。家庭内でのネットワーク構築は、PCの使い勝手を向上させるためだけのものではなく、よりよいAVライフを送るために必須なのである。

AX300をインターネット常時接続環境に追加するには、ワイヤレスLANの子機をこのようにつなぐだけでいい

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2024年04月18日 更新
  1. ついに8K対応した「Insta360 X4」の画質をX3と1インチ360度版で比較 今買うべき全天球カメラだと確信した (2024年04月16日)
  2. バッファロー製Wi-Fiルーターに脆弱性 対象機種は今すぐファームウェア更新を (2024年04月17日)
  3. 「JBL GO 4」でBluetoothスピーカーデビュー! 累計出荷台数5700万台を突破した人気製品の最新モデルを試す (2024年04月17日)
  4. SwitchBotのミニプラグに不具合 「断続的にオン/オフを繰り返す、異音」などで該当製品の交換を呼びかけ (2024年04月17日)
  5. AI対応でCore Ultraよりも高いパフォーマンスをアピール! 企業PC向け「Ryzen PRO 8000シリーズ」登場 (2024年04月16日)
  6. Synology「BeeStation」はNASより便利な一面も 家族の“秘密”も守れるストレージ、共有リンクや写真管理もある (2024年04月16日)
  7. あなたのPCのWindows 10/11の「ライセンス」はどうなっている? 調べる方法をチェック! (2023年10月20日)
  8. 「ASUS ZenScreen MB16QHG」は従来モデルの弱点を解消した高評価の16型モバイルディスプレイだ (2024年04月16日)
  9. 無線LANルーター「Aterm」シリーズの一部に複数の脆弱性 設定変更や買い替えをアナウンス (2024年04月11日)
  10. NVIDIA、Ampereアーキテクチャを採用したシングルスロット設計のデスクトップ向けGPU「NVIDIA RTX A400/A1000」を発表 (2024年04月17日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー