さらに同氏は米国内外でのiTunes Music Storeの成功を説明し、Airport Expressにも触れた。Airport Expressは802.11gに対応した無線ベースステーションで、ホームエンターテインメントシステムに直接接続して、iTunesから音楽をストリーミングできる。同氏は、特定のBMWのモデルで、カーステレオからiPodに格納した音楽とプレイリストを再生でき、ハンドルから操作ができるインタフェース「iPod Your BMW」の概略も説明し、「これは本当に素晴らしいスタートであり、近いうちにもっとたくさんの製品が登場する」と言い添えた。
同氏はAppleが最近、Power Mac G5シリーズを高速化し、最高速度を2.5GHzにまで引き上げたことにも触れた。しかし昨年のWWDCで、同氏は1年以内に3GHzのシステムを提供すると約束していた。PowerPC 970のアーキテクチャは複雑だと同氏は説明し、また半導体業界は90ナノメートル製造プロセスへの移行に際して「壁に突き当たっている」と語った。「IBMは業界他社と比べるとよくやっているが、当社が望んでいた点には達していない。Power Macは非常に高性能なシステムだと思う。われわれは3GHzに向けてがんばっていく」
さらに30インチディスプレイも紹介された。価格は3299ドルで、解像度は2560×1680ピクセル。Power Mac G5に対応する。これを利用するには、NVIDIAの新しいGeForceグラフィックスカードが必要になる。このカードは599ドルで、デュアルリンクDVIインタフェースを備える。
「Pantherへの移行期は終わった」
Mac OS X v10.3(コードネーム「Panther」)は2003年にリリースされて以来、すこぶる評判が良いとジョブズ氏は語った。現在Mac OS Xユーザーは合計で1200万人以上、同OS対応アプリケーションは1万2000以上に上り、「(同OSへの)移行期は終わったと言える」と同氏。同氏はMac OS Xがクリティカル・マスに達した証拠として、Borland、Quark、Oracle、PeopleSoft、Sunによる対応ソフト開発を挙げた。同氏は壇上にえり抜きのソフトメーカーを招き、彼らのMac OS Xアプリケーションの動作デモを行った。
それからMayaの開発元Aliasが基調講演の壇上に上がり、Macを使っている3Dグラフィックスのプロが首を長くして待っていたニュース――「Maya Unlimited」のMac OS X版が近く登場することを発表した。このソフトは、Mac OS Xなどのプラットフォーム向けに提供されている3Dパッケージ「Maya Complete」の機能性をすべて提供し、さらにMaya Fluid Effects、Maya Cloth、Maya Hair、Maya Fur、Maya Live機能を加えている。Aliasは最近SGIから売却され、今は投資会社Accel-KKRの後援の下で独立企業として動いている。
Tigerは2005年前半
ジョブズ氏によると、コードネームで「Tiger」と呼ばれる次期版Mac OS Xは2005年前半に出荷される予定。「他社はPantherをまねしようとしている」と同氏は語った。
Tigerには約150の新機能が含まれるとジョブズ氏は説明。その中には64ビット処理のフルサポートも含まれ、Power Mac G5に搭載されているPowerPC 970 CPUで昨年導入されたコアアーキテクチャの改善点の一部を、ついに活用できるようになった。また「Spotlight」と呼ばれる新しい検索技術も追加される。ジョブズ氏によると、この技術はMicrosoftの新OSよりも「数年先を行っている」という。この技術はiTunesの楽曲検索技術と同じように機能し、標準的なフォーマットのファイルとコンテンツを検索できる。さらにこれは拡張可能で、現行のほとんどのアプリケーションと連係する。この技術はFinder、アドレスブック、Mail、システム環境設定に統合されている。
RDF Site Summary(RSS)は、オンラインユーザーが定期的にアクセスするWebサイトの最新コンテンツをチェックする方法として人気が高まっている。多くのニュースサイトやブログでサポートされ、シェアウェア・フリーウェアのRSSリーダを手がける小さな業界も発展している。Tiger版のSafariブラウザには、新しいRSS検索フィードを含む、RSSアグリゲーションが統合される。
Core Image
Tigerでは新しいグラフィックス処理ライブラリ「Core Image」が導入される。ジョブズ氏はこれを、Mac OS Xの「Core Audio」技術と比較している。Core Audioは、開発者が容易にサウンドとデジタル信号処理を扱えるようにする。Core Imageとその仲間の「Core Video」技術は、Macのグラフィックスハードを使い、浮動小数点演算精度とリアルタイムフィルターサポートを利用してグラフィックスを処理する。この技術のデモでは、瞬時のガウスぼかしや、バンプのゆがみなどの3D効果が実行される様子を披露し、Funhouseというデモアプリケーションも利用された。Core Videoは、Appleが4月にNational Association of Broadcast(NAB)2004で発表した動画デザインパッケージ「Motion」の開発にも使われた。