ホームネットワークでライフスタイルを変えよう:リビング編活用提案

» 2004年07月01日 20時49分 公開
[平澤寿康,ITmedia]

 前回までで、ライフスタイルを大きく変える可能性を持った、ホームネットワークの魅力について紹介してきた。書斎におけるパソコン環境の強化、ワイヤレスLANを利用することによる、家庭内全域をカバーするネットワーク環境の構築などにより、単にパソコンがより活用できるようになるというだけにとどまらず、AVライフまでも大きく変える可能性を秘めていることがわかってもらえたと思う。

 特に、ネットワーク対応のAV機器をリビングルームに設置すれば、それまでパソコンを使わなければ実現できなかったようなAV関連機能をリビングルームにいながら利用できることになり、リビングルームで過ごす時間が増えるのは間違いないだろう。とはいえ、せっかくの最新AV機能も、映像・音響環境が貧弱では、楽しみの幅も狭まってしまう。そこで、リビングルームの映像・音響環境を簡単に強化するいくつかのアイテムを紹介していくことにしよう。

100インチクラスの映像環境でホームシアターを実現しよう

 ここ数年、プラズマテレビや液晶を利用した大画面テレビの需要が大きく伸びている。ブラウン管のテレビは、36インチ程度がほぼ最大サイズとなっているが、そのサイズのテレビでは、奥行きが40cm以上、重量も90kgほどあるものがほとんどであり、その大きく重い本体を置く場所を確保するだけでも大変だし、テレビだけでリビングルームのかなりのスペースが消費されてしまう。

 それに対し、プラズマテレビや液晶テレビなどは、ディスプレイ部分の奥行きが10cm程度、スタンドを入れても20cm程度に収まるため、設置場所に苦労しないばかりか、設置スペース自体も少なくすむ。もちろん、重量も50インチクラスのもので50kg程度と、ブラウン管テレビに比べると非常に軽い。奥行きの短い小型のAVラックを利用すれば、リビングルーム自体も広く利用できるようになって、まさに一石二鳥以上の効果が期待できる。

 ただ、プラズマテレビや液晶テレビの最大の欠点といえるのが価格面だ。以前に比べるとかなり低価格になってきているとはいえ、50インチクラスの製品では100万円近い価格設定となっているものが中心であり、そう簡単に購入を決断できるようなものではない。また、比較的購入しやすい価格設定となっている、40インチ前後のサイズのものでは、12畳程度のリビングルームに設置した場合に、そのサイズにやや物足りなさを感じることもある。

 そこで利用したいのが、プロジェクターだ。プロジェクターを利用すれば、プラズマテレビや液晶テレビを凌駕する、100インチクラスの超大型映像表示環境を簡単に実現できるばかりか、50インチクラスのプラズマテレビや液晶テレビよりも安価に購入できる。迫力のある映像環境を、比較的安価に実現できるわけである。

 プロジェクターを利用する場合には、映像装置そのものであるプロジェクターに加え、映像を投影するスクリーンが必要となる。となると、プロジェクターを設置する場所に加え、100インチクラスのスクリーンを設置する場所も確保しなければならないことになるわけで、プラズマテレビや液晶テレビよりも設置場所の確保に困るのでは、と思うかもしれない。

 しかし、実際にはそういった懸念はあまり問題とはならない。最近のプロジェクターは小型化が進んでおり、リビングルームのテーブルの上にも簡単に置けるほどのサイズしかない。例えば、NECが発売しているプロジェクター「LT260SJK」は、本体サイズが260mm(幅)×120mm(高さ)×319mm(奥行き)しかなく、非常に小型となっている。しかも、重量は約3.2kgしかなく、手軽に持ち運びが可能だ。

 LT260SJKの特徴はそればかりではない。DLP方式のプロジェクターであるため若干高価だが、それに見合うだけの価値がある。デジタルでカラー再生をするため色再現性が高く、液晶プロジェクターに比べて高コントラスト比、高輝度であり、継ぎ目も目立たなくシームレスな映像を得ることができる。よりクオリティの高いホームシアターを考えるなら、DLP方式のプロジェクターを検討したほうがいいだろう。

 また、映像を投影するスクリーンにも、簡単に設置や収納が可能なポータブルタイプのものが用意されている。NECが発売している「VL-S100E」というスクリーンは、100インチというサイズを実現する大型スクリーンだが、独自のパンタグラフ式の支持構造を持つスタンドと一体型となっており、スクリーンをケースから引き上げるだけで簡単に設置でき、使用が終わればケースに戻して簡単に収納できる。このようなポータブルタイプのスクリーンを利用すれば、常設スクリーンを設置するスペースを用意する必要もなくなる。

 つまり、これら機器を利用することで、普段は手持ちのテレビを利用しておき、DVDビデオや、録画しておいた映画などを大画面で楽しみたいときにプロジェクターとスクリーンを設置して大画面で楽しむ、といったことが可能となるわけだ。しかもこれらは、50インチクラスのプラズマテレビや液晶テレビよりもはるかに安価に購入できる。手軽にホームシアターを実現するために最適の製品であると言っていいだろう。

NEC VL-S100E

音響面の強化もホームシアター実現に欠かせない要素

 映像面の強化を実現したら、次は音響面の強化だ。せっかく100インチクラスの映像環境を実現しても、単なるステレオの音響環境のみでは、映像の迫力に対して音が追いつかない。やはり、ホームシアターを実現するなら、最低でも5.1チャンネルの音響環境が必須と考えたい。

 5.1チャンネルの音響環境とはいっても、それこそありとあらゆる選択肢がある。AVアンプを用意し、5.1チャンネル分のスピーカー、サブウーファーを別々に用意してもいいし、アンプやスピーカーがセットになったシアターサウンドシステムを活用してもいいだろう。お金をかけさえすれば、どのような音響環境でも実現可能だ。

 とはいえ、プロジェクターとスクリーンにそこそこの金額を割いてしまうと、音響環境にまでまわせる金額は限られるだろう。そこで、とりあえず比較的低価格なシアターサウンドシステムを活用しておく、というのはどうだろう。もちろん、安価なシアターサウンドシステムとはいっても、映像環境に負ける音しか出ないのでは意味がないので、映像に負けない迫力のある音が再生できる製品を選びたい。そこでおすすめとなるのが、クリエイティブメディアの「Creative Inspire GD580」だ。

 このシアターサウンドシステムは、5個のサテライトスピーカーにサブウーファー1個がセットになった5.1チャンネルサウンドシステムだ。中音から高音域は5個のサテライトスピーカーで再生し、低音域はサブウーファーによって再生することで、サイズからは考えられないような迫力のある音を再生する。5個のサテライトスピーカーは、非常に小型なため、設置場所に困ることはない。また、専用のスタンドを利用すれば、リビングルームにもスマートに設置可能だ。もちろん、ドルビーデジタル、dts、ドルビープロロジックIIに対応したデコーダを内蔵しており、DVDビデオなどの鑑賞にも最適。

 最近ではドルビーデジタルによる5.1チャンネルサウンドやドルビープロロジックIIに対応したゲームも増えてきており、ゲームを迫力のある音で楽しむといった用途にも活用できる。

 また、将来的によりハイエンドなサウンド環境を揃えた場合でも、このInspire GD580は書斎のパソコン用として活用できる。とくに、23インチワイド液晶ディスプレイ「F23W11」などを利用しているパソコンでは、5.1チャンネルサウンド環境を追加することで、AVパソコンとしてさらなる活用が可能となるだろう。そういった意味でも、このシアターサウンドシステムは非常に魅力的な製品なのである。

Creative Inspire GD580

ハードディスク搭載DVDレコーダーAX300を活用する

 映像環境と音響環境が整えば、リビングルームのAX300の活用の幅も大きく広がることになる。AX300で録画しておいた映画などを大画面で楽しめるようになるので、単なる予約録画も、もっとどんどん活用したいと思うようになるのではないだろうか。そういったときに活躍するのが、AX300に用意されている「おまかせ録画」機能だ。

 キーワードを登録しておけば、番組表データの中からキーワードに合致する番組を自動的に録画してくれる。例えば、「映画」というキーワードを登録しておけば、映画番組を自動的に録画してくれる。予約のし忘れといったこともなくなり、見たい映画などを確実に見られるようになる。また、多数の番組が録画されるとしても、300Gバイトという大容量HDDの搭載によって、最大で400時間以上もの録画が可能なので安心だ。

 さらに、録画したデータをAX300内でジャンル別にフォルダを作成して保管できるため、数多くの番組の管理も非常に簡単に行える。例えば100近い番組を取り貯めたとしても、番組ごとや家族の利用者ごとにフォルダ分けしておけば、見たい録画番組に簡単にすばやくたどり着くことができるのだ。

 また、通常の録画予約に関しても、「ADAMS-EPG」という電子番組表に対応しているため、画面に表示される番組表の中から録画したい番組を選択するだけと、非常に簡単だ。これまでのビデオデッキのような、録画開始日時や録画時間、録画チャンネルなどをいちいち設定するといった手間は一切かからない。

 さらに、番組録画中に録画済みの番組を視聴することも可能。ビデオデッキでは、録画中に録画済みの番組を見ると言ったことはできないが、AX300なら録画と再生を同時に行えるため、時間を有効に活用できるのだ。また、この機能を応用し、録画中の番組を録画中に再生させる「追っかけ再生」といった機能も用意されている。例えば、番組の録画途中に家に帰ってきたような場合でも、録画終了を待たずにその番組を最初からすぐに楽しめるのだ。

 録画したデータは、AX300内蔵のDVD-RAM/Rドライブを利用してDVDメディアにダビングしてもいいし、ネットワーク経由でパソコンに転送し、パソコンで視聴するなどの活用が可能。

 もちろん、DVD-RAM/Rドライブを利用してセルDVDビデオの鑑賞も可能だ。そしてその時こそ、プロジェクターと100インチのスクリーン、5.1チャンネルのシアターサウンドシステムがもっとも活躍する場面となる。大画面での迫力のある映像に加え、5.1チャンネルのサウンドシステムによって映画館にいるかのような迫力のあるサウンドが楽しめる。

ハードディスク搭載DVDレコーダー AX300

 このように、ホームネットワークの構築に加え、リビングルームの映像・音響環境の充実と、ネットワーク対応AV機器を利用することで、パソコンと家電の垣根がなくなり、まさしく次世代のホームAVネットワークが完成する。今後、AV環境の充実を考えているのであれば、ネットワークを介したパソコンとの連携も考慮することで、今までに体験できなかったようなホームAVネットワークを作ってみてはいかがだろうか。

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