E10はAV特化型ノートということで、高輝度液晶パネルだけでなく豊富な高画質動画再生支援機能を持つ。まず、TVチューナーに関してはハードウェアMPEG-2エンコードに加え、TBC/DNR/GR/3DYC分離など、最近のデスクトップPCで使われる高画質チューナーボードと同等の機能を備えている。また画像データそのものも、10ビットADコンバータの搭載によって、わずかな色の変化にも対応できる。
さらに高画質の動画再生のために「QosmioEngine」を導入している。これは合計11機能にわたる品質向上効果を施すものであるが、バリューモデルでは7種類の機能サポートに制限されている。
画像品質を向上させるエンジンは、従来モデルの「dynabook EX」でも採用されていたが、QosmioEngineはそれらをさらに改良したもの。QosmioEngineでサポートされている「デジタルオーバードライブ」は液晶の応答性をあげるための技術で、これによって残像感が軽減される。また「ホワイト・ブラックエンハンサ」はつぶれやすい白や黒の階調を補正するものだ。
いわゆる「テレパソ」の共通の悩みが「TV番組が見たいだけなのに、いちいちWindowsを起動してアプリが動作するまでずいぶんと待たされる」という苛立ちがある。デスクトップPCでは、チューナーを二つ搭載して解決する方法が多いが、Qosmioでは「Qosmio Player」というソフトウェア的手法で解決している。
Qosmio PlayerはWindowsを起動せずに動作する専用アプリで、電源オフの状態から本体の専用ボタン、またはリモコンによって起動する。おおむね10秒少々で起動する。
また、Qosmio Playerは録画も行え、タイムシフト再生も可能だ。Qosmio Player側で録画したファイルをWindowsで扱うための転送ツールも用意されている。もちろん、CD/DVDの再生もサポートしており、単なるコンテンツプレーヤーとしても活用できる。ただし、録画ができるようになったものの、Qosmio Player単体での予約録画には対応していない。
Windows上においてAV機能はInterVideo製ソフトが主役となっている。DVD再生は定評のあるWinDVD 5 for TOSHIBAを、ダイレクトDVD録画はWinDVD Creator 2 Platinum for TOSHIBA、そしてTV視聴と録画はWinDVR 3 for TOSHIBAを使用するなど、操作における統一感を意識した構成になっている。
使い勝手を左右する録画時間においても、普通モードで約56時間、最良モードでも15時間が可能。iEPGは複数の番組サイトから選べるようになっている。
さらに録画した画像を携帯電話やPDA用に変換できるUlead Video ToolBox 2.0 for dynabookも用意されている。このように、ほかのデバイスとのデータ交換における使い勝手に影響するのが、筐体で用意されているメディアカードスロットだが、こちらもPCカード(type II)に加え、SD/メモリースティック/xDに対応するスロットがサポートされている。
いわゆる専用アプリメニューキーはTV/DVD以外見当たらないが、タッチパッドの四隅を長押しすることでメニューがポップアップする機能がサポートされている。ユーザーによるカスタマイズも可能だ。
最新「テレパソ」ではTV機能のさらなるブラッシュアップが差別化の鍵になる。その一つの方向性というのが、今回のQosmioやVAIO type Vで示されたような液晶表示機能のグレードアップと言えるだろう。
このような機能の改善はメーカーの個性やノウハウが大きく影響する。ほかにマネのできない独自製品を出す意味合いでも、これから注目すべきポイントとなっていくだろう。
ただ、東芝はQosmioで採用した多種多様な画質改善機能そのものは紹介するが、これらの機能が開発された背景や自社技術を積極的にアピールしない。ソニーがMotion Realityという画質改善回路をこと細かく解説しているのと対照的であるとも言える。「テレパソ」を探しているユーザーは、ぜひ店頭でQosmioのデモムービーを見てほしい。type Vと同様の、画質にこだわったノートPCの片鱗を体験できると思う。
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