そのENERMAX(日本拠点はクーラージャイアントという)が発売する「UC-9FATR2」は、一見しただけでもそこらのメモリカードリーダを上回るいろいろなポートやつまみ、そして液晶パネルが付いていて、いかにも多機能そうな製品だ。
と見かけはすごいものの、UC-9FATR2はそこいらによくある「6in1」や「8in1」といったメモリカードリーダとなにが違うのだろうか?
いろいろなポートやつまみが付いていることからも想像できるように、UC-9FATR2を特徴づけているのはその機能の豊富さである。「18in1」という、誤植かと思われるようなパッケージの文句は、そんなUC9FATR2の特異な仕様を物語っている。
しかし、多機能なのはいいとしても一般的に使われているメモリカードの種類は18もない。まさか懐かしのバブルメモリに対応しているわけでもあるまいとマニュアルで対応メモリカードを数えてみたところ、コンパクトフラッシュ(CF)とMicroDriveを別に数えるようなよくある上げ底手法を用いても、メモリースティック、メモリースティックPRO、メモリースティックDUO、メモリースティックDUO PRO、SDカード、MMC、スマートメディアと合計で9つしかなかった。
これでは「9in1」のはずである。18in1の半分でしかない。「じゃあ残りの“9”はなんだ?」という疑問が当然湧いてくる。
調べていくと、簡素なマニュアルには必要最小限のことしか書いてないのではっきりとはわからないのだが、どうやら「18in1」というのは、USB2.0(2つ)やIEEE 1394のポートはもとより、CPUのファンコントロール(二つ)や温度センサー(二つありそれぞれコントロール可能)、そしてSerial ATAポート(二つ)などの機能を含んだ数であるようだ。これらポート系を合計すると九つになるので、たしかに計算上は「18in1」でもおかしくない。あれこれと付いているポートやつまみもしっかり数に入れての「18in1」というわけだ。
かように台湾メーカーらしく仰々しい売り文句に彩られたUC-9FATR2だが、製品そのものは白をベースとしてすっかりしたデザインであり、台湾製光りものグッズにありがちな「くどさ」がない仕上がりになっている。
また、必要と思われるケーブル類もすべて同梱されているなど、製品パッケージもかなりしっかりしている印象を受ける。さらに、ケーブルの本数が多いためか、ケーブルをまとめるためのケーブルタイまで含まれていたりして、なかなか気が利いている。
メモリカードリーダ部分にはGenesys Logicのフラッシュメモリカードリーダコントローラである「GL816E」を採用している。このチップも9in1対応がウリのようだが、GL816Eの9in1の数えかたは、UC-9FATR2のスペックに挙げたものとは少々違うようだ。
具体的には、チップのデータシートにはxDピクチャカードへの対応が記載されているのに対して、UC-9FATR2の対応メディアには入っていない。となると、メモリカードの種類がそのぶん1つ減るハズだが、UC-9FATR2ではその代わりにメモリースティックDUOをカウントに入れているため“9”となっているようである。
メモリカードリーダについてはこれくらいにして、次にインタフェース周りについて見てみよう。といっても、IEEE 1394とUSB 2.0、そしてSerial ATAのポートに関しては、マザーボードから延長ケーブルを引っ張ってくるだけなので、とくに言うべきことはない。
Serial ATAポートは信号線だけを外部に引き出しても電源が供給されないので、使い道に困るだろうと思ったのだが、どっこい探せばあるものだ。たとえば恵安の「KA35USA」という3.5インチHDDケースのようなものを使えば、電源はケースに付属しているので問題なく使用できる。
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