PC内部の熱も外に追いやる電源ユニット──ENERMAX Coolergiant P/AX電源ユニット(1/2 ページ)

» 2004年08月10日 18時48分 公開
[河野寿,ITmedia]

電源メーカーとしてはメジャーなENERMAX

 真砂の数ほどもある電源メーカーの中でも、ENERMAXといえば名がとおったブランドのひとつ。かつてはOEM先のブランドとして我々の目に触れることも多かったENERMAXの製品だが、日本支社としてクーラージャイアントを設立するなど、ここへきて自社ブランドによる販売にも力を入れてきているようだ。

 現在、同社から発売されている電源ユニットで注目されているのがCoolergiantのPシリーズおよびAXシリーズがある。アクティブPFCやブロアファン、SFMA(自動シャットダウン)など、「電源も違いが分かる」自作ユーザーの心をがっちりつかむスペックが並ぶこの製品、さっそくレビューしてみよう。

赤色がAXシリーズ、金色がPシリーズ。写真は380ワットモデルだが、ほかに430ワット、480ワットモデルがある

ブロアーファンは何のため?

 CoolergiantのPシリーズとAXシリーズの違いはほとんどない。アクティブPFC回路を搭載しているのがAXシリーズ、搭載していないのがPシリーズとなる。AXシリーズは赤色、Pシリーズは金色という色分けがなされている。

アクティブPFCを搭載したEG335AX-VHB
廉価版のEG335P-VHB。アクティブPFCを搭載せず、通常の電源同様、115と230ボルトの切り替えスイッチが用意されている(左の赤いスイッチ)

 電源のケースはアルミ製。その質感のおかげか、全面赤色、もしくは金色という派手なカラーリングでも下品な感じはしない。おそらくアルマイト塗装ではないかと思われるが、アルミの質感をうまく表現したケースになっている。もちろん、放熱効率を考えても、スチール製と比べれば若干有利であろう。

 電源の外観をぐるっと見渡すと、3カ所にファンが付いているのが見て取れる。このうち2カ所は通常のファンだが、1カ所にブロアファンが使われているのがCoolergiantの特徴だ。

 ブロアファンというのは、吸い出した空気を90度曲がった方向に排出するタイプのファンである。浴室の換気などで使われることが多いが、これをパソコン用の電源に採用する意図は何だろうか?

 ENERMAXの説明によれば、このブロアファンによってPCケース内でもとりわけ熱いCPUやチップセット近辺の空気を、電源内部を通すことなくPC筐体の外へ排出できるのだという。

背面から見ると右下にある四角い穴がブロアファンの排気口。ここからPrescottの熱い吐息が出てくる
縦置きのPC筐体で考えると、マザーボードは下に来るので電源下部にあるブロアーファンから直接外へ熱が排出されるしくみだ

 そして、電源部分の冷却や、CPU以外のドライブなどの冷却はそのほかの二つのファンによって行える仕掛けも用意されている。

 これらのブロアファンによって、CPUやチップセットを冷却したときに発生する、最も熱い空気が電源内部を通らずに済むので、電源内部に組み込まれた部品に与える影響も少なくて済むという。

 たしかに、CPUだけでなく、GPUやHDDまでもがここまで熱くなってきたのでは、今までのようにケース内部の空気を漫然と流してもうまく冷却できるとは限らない。BTXなどもそうだが、ますます熱くなるPC内部への、これは電源メーカーからの回答とも言えるだろう。

ブロアファンを通った空気は電源ユニットの内部に流れることなくそのまま排出される

 なお、三つある冷却ファンのうち、8センチのファンとブロアファンには山洋電気製のものが使われていたが、7センチのファンは“Silencer”という文字があるのみで、どこのものかはわからなかった(PC Power&Coolong社のSilencerとは別のようである)。

 わざわざ山洋電気のファンを採用したおかげか、静音性はなかなかのものである。夜中、家人が寝静まってから単体でそっと動かしてみたが、その動作音はエアコンの音よりも小さい。ケースに入れてしまえばかなり静かになるものと思われる。もっとも、この手のブツはある程度時間が経ってから急にうるさくなることもあるので、油断は禁物ではあるが。なお、カタログスペックによれば、騒音は回転数が最低のときで16.4デシベル、最大で36.9デシベルとなっている。

アクティブPFCの価値はあるのか

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