競合しているキャプチャーカードは複数同時動作をサポートしたコントロールソフトをすでに配布しているが、バッファローでもこの機能に対応した「PCast TV 1.50β」の配布をようやく開始した。
ほかのメーカーでは、同時に利用できるキャプチャーデバイスを、同じ型番の製品に限定しているケースが多いが、バッファローではUSB接続のPC-MV5DX/USBとPCI接続のPC-MV5DX/PCIの混在でも使用可能としている。
今回の評価では、PCI版のみでテストをしているが、ノートPC用としてUSB接続モデルを購入した場合などでも、両方のデバイスを1台のデスクトップPCで利用できるわけだ。
複数同時録画を可能とするためは、PCast TVのアップグレードが必要となる。具体的には、バッファローのサイトから、「PCastTV Multi アップデータ Ver 1.50b」をダウンロードして実行するのだが、この作業の前に、PCast TVを正式最新版のVer.1.42にアップグレードしておく必要がある。まずはこの作業を忘れないようにしたい。
さらに、アップデータのpcm150b1.exeを実行しても、展開処理だけが行われてインストールプログラムが実行されない場合がある。そのようなときは、「C:\Documents and Settings\(ユーザー名)\Local Settings\Temp\PCMP15B1」フォルダにあるpmup15b1.exeを実行することで、強制的にアップグレードが可能だった。
この「アップグレードできなかった原因」は、カードの認識に関係があるようだ。当初、PCast TVをアップグレードしてから、2枚めのカードを増設したのだが、アップグレードする前にカードの増設をしておく必要があるようだ。
さらに、最初にPCIの第2スロットと第3スロットに装着していたが、Ver.1.50βにアップグレードしたあとでも、第2スロットのカードは初期化に失敗してしまい、正常な動作ができなかった(筆者の場合、この現象はキャプチャーカードを第1スロットと第4スロットに差すことでようやく解決することができた)。
PCIスロットとの相性が厳しいようなので、うまく動作しないときには、いろいろなPCIスロットの組み合わせを試してみることをお勧めする。
正常に動作したあとも、筆者のテスト環境では、クリアしなければならなかった症状がいくつか発生している。
まず、PCastTVの起動時にマルチ対応のアプリケーションであることを説明するメッセージダイアログボックスが「必ず」表示される。そのたびマウスでクリックしなければならないのも面倒な話だが、さらに、このおかげで予約録画の動作に不具合が生じることもあるのだ。
予約録画の時間になった時点で、PCast TV本体が起動していればいいのだが、予約マネージャから録画が実行されると、このメッセージダイアログが表示され、録画状態にならなかったり、録画が行われても音声が録音されないなどの不具合が起こる場合がある。
このトラブルを回避するには、予約録画時にはあらかじめPCast TV本体を、装着したキャプチャーカードの数だけ起動しておく必要がある。この仕様のおかげで、休止状態からの録画や、録画終了後に休止状態やスタンバイモードへの移行処理が行えない。
また、複数のPCast TVが起動しても、EX-VISION 1500TVのマルチビューとは異なり、画面表示できるのは最初に起動したPCast TVだけに限られ、それ以降に起動したPCast TVは予約録画のためだけに起動しておくことになる。
録画予約に関しては、ユーザーが録画予約ごとに利用するキャプチャーカードを決定して、カードに対応するアプリケーションそれぞれで予約処理を行う必要がある。ひとつのPCcast TVで時間が重複した予約を行うとエラーとなってしまうので、これも注意が必要だ。
現時点では、いろいろと気を使わなければならないPCastTVの複数同時録画機能だが、なにぶん、まだβ版であり、これから徐々に改良されていくはず。
記事で紹介した使い方を間違わなければ、裏番組の録画が可能であるし、PCast TVならではの機能も利用できる。ユーザーが多いバッファローのキャプチャーカードでも複数同時録画が可能になった、ということだけでもPCastTV Ver.1.50βの登場は喜ばしい。
ただし、それはそれとして、多くのバッファローユーザーにしてみれば、より使いやすいバージョンができるだけ早い時期にリリースしてほしいところだろう。
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