きょうはIntel 915Gを搭載したmicroATXマザー「i915Gm-I」で愁眉を開いたマザーボード(1/2 ページ)

» 2004年08月17日 15時59分 公開
[長浜和也,ITmedia]

 先日紹介したキューブ型ベアボーンのレビューで「本拠地の台湾ではパーツベンダーとしてよりもベアボーンベンダーとして知られている」と紹介したAOpenであるが、そうはいっても日本では圧倒的にマザーボードやグラフィックスカード、光学ドライブのベンダーとして馴染み深い。

 そのAOpenが投入したのが、microATXながら、PCI Expressを導入した「i915Gm-I」。型番からも分かるようにIntel 915Gを搭載したマザーボードだ。

AOpen「i915Gm-I」

 従来、インテル製統合型チップセットの弱みだったのが3Dグラフィックス性能。競合するAMD対応プラットフォームの統合型チップセットには、登場してからだいぶ時間が経過したとはいえ、Direct X 8.1対応のGeForce 4 MX相当グラフィックスコアを内蔵しているNVIDIAのnForce2ファミリーが、Intel 865G内蔵のIntel Extreme Graphics 2(Intel EG2)を上回るパフォーマンスを誇っていた。

 WebブラウジングやDVD Videoの鑑賞ぐらいならば、そつなくこなしてくれるIntel 865Gマザーであるが、「ちょっとゲームもやってみたいなー」となったとたんに、Intel EG2では荷が重くなってしまう。

 もちろん、インテル対応の統合型チップセットにも、ATIの統合型チップセット「MOBILITY RADEON 9100 IGP」が登場して、ようやく3Dグラフィックス性能でもAMD対応プラットフォームに対抗できるようになったが、サウスブリッジが絡んでくる周辺機器インタフェース周りに不安を感じるユーザーも少なくない。

 最新のLGA775&PCI Express対応のチップセットIntel 915Gでは、内蔵グラフィックスコアにDirect X 9サポート、パイプライン4本を搭載したIntel Graphics Media Accelerator 900(Intel GMA 900)を採用。ようやくインテル純正でも「3Dグラフィックスに自信がもてます」といえるチップセットが登場したことになる。

 ほかのマザーボードベンダーからは、すでにIntel 915Gを搭載したmicroATXの製品が出荷されているが、それらと比べるとAOpenの製品はやや出遅れ、先週後半になってようやく店頭に姿を見せ始めている。このタイムラグについてエーオープンジャパンのスタッフは、「検証に時間をかけたためで、開発や製造で問題が発生したわけでない。我々は小さいケースに搭載したときの熱に対する耐性検証を念入りに行っている」と、説明している。

 バックパネルに搭載されたインテフェースはUSB 2.0×4に100/10BASE-TX、VGA、シリアル、パラレルとコンパクトにまとめられている。IEEE 1394はサポートしていない。ただし、サウンド系端子にはリアスピーカーにサイドスピーカー端子を用意している。

 サウスブリッジのICH6はUSB 2.0を8ポートまでサポートする。しかし、i915Gm-Iにはバックパネルの4ポートとオンボードピンヘッド2ポートの計6ポートしか実装されていない。スペックもWebサイトでバックパネル×4+オンボード×4と説明されているが、説明書ではバックパネル×4+オンボード×2と記述されている。

 これについて、エーオープンジャパンのスタッフは「コネクタとしてはi915Gmの単体でバックパネル×4にオンボード×2。ただし、オンボード側は(ハブを介さない)2ポート分のUSBインタフェースとして使用可能で、二股のUSBケーブルを装着することで、全体として8ポートのUSBをサポートする」と説明している。

 基板に搭載された拡張スロットは、PCI Express x16とPCI Express x1がそれぞれ一つ。PCIスロットは従来のmicro ATXより一つ少ない2基となっている。Serial ATAのコネクタはATXマザーと同じ4基を用意。コネクタの実装面積が少なくてすむため、micro ATXマザーでもATXマザー並みの拡張性を実現している。

 メモリスロットはPC3200などのDDRにのみ対応。コストを抑えたいミニケースに搭載する統合型チップセットマザーとしては、購入コストが高くつくDDR2に対応することは必ずしも求められない。そういう意味でi915Gm-Iのメモリ仕様は妥当なところだろう。

 静音性と冷却性能が求められる昨今のマザーボードでは、ハードウェア的にチップの温度やファンの回転数を監視して、状態に合わせた回転数にコントロールできるようにしているものが多い。マザーボードベンダーによるプライベートイベントなどでも、このようなユーティリティ技術をアピールするケースが多くなっている。

 AOpenはマザーボード用のユーティリティソフトを数種類用意しているが、このハードウェア監視とファンコントロールを兼ねたユーティリティとして「SilentTek」を以前から添付している。

状態監視とファン回転数制御用ユーティリティ「SilentTek」では、温度、電圧など測定できる値の上限下限値を設定し、それを超える状態になったらアラートを出す機能に加え、回転数や温度の時系列変化をグラフで表示することも可能
BIOSにも「Silent BIOS/HW Monitor」という状態監視とファン回転数制御を行うメニューが用意されている

 SilentTekはCPUとシステム温度、Vcoreや+3.3ボルト、+5ボルト、+12ボルトの供給電圧を監視して、あらかじめ設定された上限、下限の値から逸脱した場合にはアラートを発し(設定によっては自動的にシャットダウンも可能)、設定範囲内に温度を維持するように、CPUクーラーとケースそれぞれのファン回転数を制御できる。

 設定項目や監視項目、ファン回転数制御のモードは多岐にわたり、ファン回転数制御のモードでは、ユーザーが設定した温度を維持するようにファン回転数を制御する「Smart Fan Control」、回転数を固定してしまう「Fixed Fan Control」、温度を段階的に区分けし、それぞれの温度帯で回転数を設定する「Multiple Level Control」といった細かい制御も可能になっている。

 SilentTekに象徴されるように、静音性能に配慮したi915Gmであるが、さらなる静音性能を推し進めるためか、ノースブリッジの冷却は、最近のマザーで多くなってきたファン付きクーラーではなく、単なるヒートシンクで行っている。

 より高性能で、動作クロックもIntel EG2より早くなったIntel GMA 900を内蔵しているだけに、その発熱が心配なところでもある。そこで、3DMark03をループ動作モードにして連続運転を行い、温度がどこまで上がるのかを、ノースブリッジヒートシンク底部につけた温度計で測定してみることにした。

 測定当時の室温は「お上が推奨する」摂氏28.0度。お盆休み中のオフィスは人の出入りが少なく、ほぼ一定の温度を保っていた。この状態でi915Gm-lのノースブリッジヒートシンク温度も摂氏28度。それが、3DMark03実行直後からぐんぐん上がり始めGT1終了時では摂氏45度まで上昇してしまった。しかし、意外にもそこからは一進一退。結局45度前後で安定したままった。Intel GMA 900による発熱はそれほど大きなものではなく、政府推奨の室温でも、ヒートシンクによる放熱に問題はないようだ。

 i915Gm-Iの温度管理機能とその実態に感心したところで、マザーボードとしてのパフォーマンスを定番ベンチマークで測定してみることにしよう。

 テスト環境は、以下のようにPentium 4 540(動作クロック3.20GHz)とPC3200/512Mバイトを組み込んだシステムを利用。ただし、ほかのマザーボードとの比較のため、グラフィックスは専用のRADEON X600XT搭載のPCI Express対応カードを用意した。

テスト環境Aopen i915GmlECS 915P-AMSI 865PE Neo-2
CPUPentium 4/540(3.20GHz)Pentium 4/3.20E GHz
メモリPC3200 512Mバイト×2
ビデオRADEON X600XT(ビデオメモリ128Mバイト)RADEON 9600(ビデオメモリ128Mバイト)
HDDST3160023AS
OSWindows XP Professional(英語版)
ServicePack1、Directx9a

SYSmark2004i915Gm-l
SYSMark2004 Rating180
Internet Content Creation207
Office Productivity157

Sandra2004「CPU Arithmetic Benchmark」

Sandra2004「CPU Multi-Media Benchmark」

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