調査によって時期によって多少の違いはあるかもしれないが、ここ1〜2年における日本におけるデジカメシェアのトップ2がキヤノンとソニーというのは、ほぼ間違いないところだろう。その躍進を支えてきたヒットモデルは、キヤノンは「IXY DIGITAL」、ソニーはスティックスタイルで一世を風靡した「サイバーショット P」シリーズだ。
今は昨年末に登場した薄型大画面の「DSC-T1」が大ヒットしたため以前ほど目立たないようだが、Pシリーズもスティックタイプだった「DSC-P1」から徐々に薄く速く小さくなり、サイバーショットシリーズの定番モデルとして着実に完成度を上げてきた。その最新モデルが「DSC-P150」だ。
DSC-P150の基本デザイン自体は、ディテールや装飾は新しくなっているものの、春モデルの「DSC-P100」とほとんど同じ。フロントデザインこそ500万画素のDSC-P100よりシャープで高級感があるが、背面は並べてみても違いが分からないほどだ。
ただし、中身は着実に進化を遂げている。そこが重要なポイントだ。
レンズはカールツアイスブランドのバリオ・テッサーで38-114ミリでF2.8-5.2と、非常にオーソドックスな仕様。撮影距離は50センチからで、マクロモードにするとワイド端は6センチ、テレ端では30センチまで寄れる。
注目すべきはサイバーショットのマクロモードは通常モードのAFの範囲をマクロ側に広げたもの、つまり通常モードではAFを少しでも高速化するために50センチより近くは無視しているだけで、マクロモードにすると6センチから無限遠までシームレスでピントが合うということ。
だから普段からマクロモードにしておけば、シームレスマクロ的に使えるのだ。DSC-P150のAFは比較的高速なので、シームレスマクロ的に使ってもAFが遅いと感じることはほとんどないため、普段からマクロモードにして使うという人もいる。これはなかなか便利だ。
CCDは注目の720万画素で1/1.8インチサイズ。とうとう1/1.8インチで700万画素まで来たのである。
ISO感度は100から400と、画素数を上げても最低ISO感度は従来と同様100を確保している。
さて問題の画質だが、それがなかなかいい。テレ端ではやや甘く感じるのが気になるが、サイバーショットらしい、色は鮮やかだけど記憶色系の誇張をしてないナチュラル系の素直な絵。
銀塩フィルムっぽいこってりした絵を望む人には物足りないかもしれないが、デジタルらしい爽やかさで白を白くすっきり見せてくれる。
ノイズも目立たないし、エッジ強調もコントラストも強すぎない。さすがに拡大表示をするとディテールのアラは見えてくるが、コンパクト機としては上々のレベルだ。
また、ISO400まで増感してもノイズはさほど気にならない。もちろんノイズは増えてざらつき画質は低下するが、コンパクト機としては実用性が高く、なかなか使えるモードだ。
オートホワイトバランスはなかなか強力で、白いものを白く撮ろうとする強めの働きをする。でも白熱灯下では赤みを残してくれる。ホワイトバランスはオートとマニュアルのみで、カスタム設定がないのはやや残念である。
速度はストレスなし。起動は公称約1.3秒で実測でも約1.5秒と超高速ではないがストレスがない速さで、AFも高速で、レリーズタイムラグも公称で約0.01秒。撮影間隔も700万画素時で公称約1.5秒。その他モード切替もメニューの操作も含めてもたつくことはほとんどないのは快適だ。
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